2010年09月04日

社内連絡

このブログの右になる「お気に入りリンク」の中に「ホーライ製薬の『給湯室』」を復活させました。
ご自由に皆様の情報交換、ぐちの言い合いなど、お気楽にご自由にご利用ください。

ちなみに「ホーライ製薬の『給湯室』」はこちらです。
       ↓
http://6009.teacup.com/horai_japan/bbs


さらに「ホーライ製薬の訪問記録」はこちらです。
       ↓
http://www3.azaq.net/bbs/851/horai45/

ついでに、「ホーライ製薬の回覧板」は」こちらです。
       ↓
http://www3.ezbbs.net/08/horai01/

ついでに、お気に入りリンクに登録しておきますね。




posted by ホーライ at 20:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

■その人の背中を押してやる

ある日、僕がまだ駆け出しのモニターをやっていた頃、部長が言った。

部長「お〜〜い、今、暇だろう?」

僕「いえ、暇じゃありません。」

部長「今から癌研(http://www.jfcr.or.jp/)の●●●先生に会いに行くから、一緒に来い!」

僕「だから暇じゃないっすって!!」

部長「下でタクシーを拾って行こう。」

僕「はぁ・・・」

ということで、タクシーの中で、その部長は、その●●●医師に何故、会いにいくかを細かに説明してきた。
どうやら、新しいプロトコルの検討委員になって欲しい、ということらしい。

僕は何しろ、その会社に入って、まだ3か月も経ってないので、オトナシク、その部長の話を聞いていた。
そして、癌研の前にタクシーが止まったので、僕がタクシーを降りたら、その部長がこう言った。

部長「じゃ、用件分かったな!俺は■■■病院の▲▲▲先生に会いにいくから、あとはよろしくな!」

タクシーは行ってしまい、僕は歩道で立ちすくんだ。

・・・・・・というように、これは実話なのだが、社員を教育するときに、泳げない人をプールに落とすように、あるいはスキーが滑れない人を無理矢理、リフトに乗せて山の頂上へ連れて行ったりする、やり方もあるが、普通はそうしない。

モニターをやり始めた後輩の中に、スキルや能力、知識もあるのに、度胸だけがない、自信がない、という人が、毎年、数人いる。
きっと、CRCになりたての人の中にも、そんな人がいるだろう。

そしたら、先輩のあなたは、その人の背中を、そっと押してあげればよい。

僕も、最初の頃は、担当する施設に行く時に、たくさん、資料を持っていかないと不安だった。
プロトコルはもちろんのこと、治験薬概要書、論文、社内資料など等。
でも、慣れてくると、そんな知識はだいたい、頭の中に入り、ほとんど手ぶらで、施設訪問した。
それも、これも、上述した部長のおかげだった。

フロアーに一つしかないタバコ部屋(喫煙室)に入ると、必ず、その部長がいて、僕にモニタリングのノウハウ、治験のやり方、新薬の開発戦略、等を教えてくれた。
そして、「なんで、おまえのとこのプロジェクトは予定より、遅いんだ?」と、いつも聞いてきた。
その都度、僕は理由を、原因を考えて、その対策を伝えたら「来週中に結果を出せ」と無茶ふりをしてくる。

こんな強引でなくてもいいので、不安にかられている後輩に自信をつけさせてあげよう。

誰だって、最初は初心者だったことを思い出そう。

自信をつけてもらうために、まず、必要なことは小さくてもいいので、ひとつの成功だ。

予定通り患者さんの登録が終わった、CRFを予定どおり回収した、SDVもひとりで出来た、なんでもいい。
そんな小さな成功体験ができるように、周りもサポートしてあげよう。

業界のセミナーや担当領域の学会に参加させるのも、雰囲気を掴むためにいい。

初心者をいじめない。貶めない。(あなただって、つい、この前までそうだったのだから。)

コツを教えてあげよう。
目指すべき目標となるような人を紹介してあげよう。
自分の大切な人脈を引き継がそう。

あなたの「成長させてあげたい」という気持ちを忘れないようにしよう。

3年かけて、一人前のモニター、CRCになるまで見届けていきます。
僕も私も。

その人の背中をソット押してあげる。

だから、諦めないで欲しい。

新薬はもう目の前だ、もうすぐだ。


(追伸)
僕を一人前にしてくれた上述の部長が、今年の2月、鬼籍に入った。ご冥福をお祈りします。



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2010年08月28日

■「お役所仕事」はどっちだ?

最近、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」と厚生労働省が、素敵なことをやってくれた。


●公知申請「新ルール」を了承‐30日に告示改正し新制度創設へ
        ↓
http://www.yakuji.co.jp/entry20325.html

●こちらも
  ↓
http://www.yakuji.co.jp/entry20300.html


画期的にあっぱれな英断だ。

日本では適応が取られていない既承認薬などを、海外での使用状況等を参考にして、「治験無し」で新効能を認めるというのが第一段で、さらに今回、保険適用の調査も無しで、医療の現場でいち早く使えるようになる。
まぁ、今回の該当品目は、成分そのものは、既に薬価基準収載なので、当たり前と言えば当たり前なのだが、それでも、患者には朗報であることは間違いない。

ここまでは、厚生労働省に「あっぱれ!」のところなのだが、ここから先は製薬企業に「かぁ〜〜つ!」なのだ。

どうして、そもそも「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬」が存在するのか?
それは、製薬企業が、「もともと薬価も低いし、新しい適応をとるには時間もお金もかかるから」開発していなかった、というところだろうか。
「ワーファリン」なんていう古典的良薬も、今回、該当している。
薬価も安い。

だから、なんなの?

今後も、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が開催され、患者が待ち望んでいる薬が、今回と同様なステップで臨床の現場に速やかに提供されるのはいいのだが、製薬会社はそれを待っていれば
、「棚からぼた餅」的で、僕は納得がいかない。
繰り返すけれど、患者のことを思えば、効果が既に証明されていれば、治験をやっている時間が患者の命に繋がるので、1日でも早く治験無しで臨床現場に出してもらえればいいのだ。

でも、やっぱり、それでも、「腑に落ちない」のだ。
製薬会社としては、まず市場規模が大きい領域(Aとしよう)で新薬を開発し、その効能・効果で製造販売の承認を得る。
そして、本当は、その薬が、別の病気(Bとしよう)にも効くだろうことが分かっても、そちらでは開発をしない(お金も時間もかかるので)。
そうこうしているうちに、海外でもAで承認を取っていたが、Bにも効果があることが、論文や臨床の現場での使用経験が積み重なって分かり、今回のように「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬」として認められれば、結局、日本で治験無しでBの効能をうたえるようになる、ことを期待する、なんていう、バカげたことを考えていないよね?

じゃ、『公知申請』というシステムに、おまえは反対なのか?と詰め寄られれば、「いえ、必要です!」と大きな声で答えます。

ちなみに、今回の制度は「日本で既に承認されている薬で、ある効能・効果だけが日本で認められていない薬」を対象としているので、世間で言うところのドラッグラグは根本的に解消されない。


今回のように新制度創設することは、顧客満足度が高いと思う。
お役所の仕事や行政はサービス業で、その顧客と言えば、国民だから、僕たちの満足度を高めてもらえるよう、これからも、CS(Customer Satisfaction)に注力して欲しい。
CS向上をはかるプロジェクトチームなんかを作ってやっていって欲しい。


さて、ここからが本当の話題なのだが、「お役所仕事」とか「官僚主義」、「前例主義」という言葉がある。決していい意味では使わない。
今回の「医療上の必要性の高い未承認薬・・・・・・」は、そういう言葉を打破する仕事だ。

僕はフリーターなので、いろんな製薬関連会社で働いた経験があるから、言うと、「お役所仕事」とはお役所に限った話ではない。
世の中にある組織は、「官僚主義的組織」と「そうでない組織」に分類される。「お役所」と「非お役所」ではない。

お役所にもいろんなお役所があり、柔軟に顧客満足サービスを実施しているお役所もある。
逆に、民間企業の中にも「官僚主義」がはびこっている会社もある。

僕が以前、働いていたA社とB社では両極端のはしっこどうしだった。
たとえば、A社でも、B社でもこんな言葉をよく聞いた。

「よその会社はどうしてる?」

これは、新しいことをやるかどうするかを検討する状況で使われる。
ところが、ここまでは同じ言葉、同じ意味なのだが、実は、そのあとに続く答えが真逆である。

A社では「ほかの会社がまだどこもやっていないのなら、うちが一番にやってやろう。二番煎じはダメだ。」

B社では「ほかの会社がまだとこもやっていないのなら、うちもやらない。もし、他がやり始めたら、うちでもやろう。」


A社はパイオニア精神だが、B社は「横並び主義」で「前例主義」だ。

どちらが企業の経営にいいのか分からない。
A社はリスクが高いし、B社はリスク回避的だ。

問題は、自分の会社がどちらなのかが、当人たちは分からないということだ。(よその会社で働いたことがないから。)

こういう風土はボディブローのように、じわじわだが、確実に会社活動、組織活動、経営判断に影響する。


だから、総合機構も民間企業に学ぶところがあれば学べばいいし、民間企業も総合機構に学ぶべきところを学べばいい。
どちらも、組織の活動は「患者のためにある」のだから。

あ、そうそう、民間企業にも蓮舫さんに来てもらって、事業仕分けをしてもらうのもいいかも。(おまけでした。)



そう言えば、最近、OTCを買ったことがありますか?
OTCの外箱に「副作用救済について連絡先」ということで総合機構への連絡先が書いてあるんだね。知らなかった・・・・。



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2010年08月21日

■10年後に医薬品業界を支えてくれる人たち

先週の水曜日(8月18日)から金曜日(8月20日)まで、東京のオフィスで「インターンシップ」を行った。
先々週は大阪での開催だった。

このインターンシップに参加してくれた学生は今、23歳ぐらいだ。
僕が定年を迎える10年後には33歳だから、今回参加してくれた学生たちが医薬品業界を背負っている、あるいは支えていることになる。

もちろん、治験関係だけでなく、「医療従事者」になっている人もいるだろう。
病院薬剤師、調剤薬局の薬剤師、あるいは、行政関係に勤めている人もいるだろう。

(とにかく、僕の年金暮らしは、彼ら・彼女らの活躍にかかっている。)

その頃には日本の治験環境、臨床試験環境はどうなっているだろう?
新薬の世界同時開発はあたりまえになっているのだろうか?
あるいは、モンゴリアンであれば、日本だろうが、韓国だろうが、中国だろうが、モンゴルだろうが、その国で実施した治験データをそのまま相互に各国で使えることになっていたりするのだろうか?
治験に関連する「手続き上の煩雑さ」は軽減されているだろうか?

下記の提言の中から、どれだけの提案が具現化しているだろうか?

●『日本における臨床治験の問題点と今後の対策』(平成20 年(2008 年)5 月22 日 日本学術会議 臨床医学委員会・薬学委員会合同 臨床試験・治験推進分科会)
     ↓
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t57-2.pdf


きっと、多くの改善点が今後の10年間で実施されるだろう。

しかし、どんな時代で、どんな環境だろうと、治験促進の唯一無二の促進策は「治験関係者の熱意」だ。
モニター、CRC、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、治験事務局、IRBのメンバー、製薬会社、CRO、SMO、医療機関、行政・・・・・・etc.
それぞれの立場で熱意を持って、効果的な方法を考えてほしい。

だから、インターンシップに参加してくださった学生の皆さん(だけでなく参加していない学生も)、是非、燃えてください。

過去10年間の治験環境も多くの人に熱意で、ここまでやってきた。

新GCPが施行された平成10年当時は『黒船がやってきた!』と「スッタモンダ」したものですが、治験関係者が、それぞれの創意工夫で治験の空洞化を防ごうとした。

これからは治験環境だけでなく、新薬開発の手法も変わっているかもしれない。
ブレイクスルーとなる画期的新薬を見つける方法が考えだされるかもしれない。
(かつての抗生物質やステロイド剤の発見とかのように。)


新しい船を動かすのは古い水夫ではなく、新しい水夫だ。
一人の水夫が船の行方を変えることもある。


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2010年08月14日

■薬害を学ぶ。薬害防止を潜在意識に刷り込め!

第一回「薬害教育」基礎研修講座が日本公定書協会主催で始まる。
とてもいいことだと思う。

詳細はこちらを見ていただければいい。
     ↓
平成22年12月15日(水)〜17日(金)

日本薬学会 長井記念ホール

http://www.sjp.jp/kenshu/html/files/yakuji/105/exspYAKU.pdf


この案内文にも書いてあるが、次のことが問題なのだ。

●個々の事件がどのような経緯で起こったのか
●なぜ防止できなかったのか
●得られた再発防止に向けた教訓は何か


僕が生まれてから、この50年間に有った薬害として次があげられる。

●スモン(SMON、subacute myelo-optico-neuropathyの略称、別名:亜急性脊髄視神経症)
整腸剤キノホルムによる薬害。1955年頃より発生し、1967〜1968年頃に多量発生した。


●サリドマイド (thalidomide)
1957年にグリュネンタール社から発売された睡眠薬の名称である。副作用により多くの奇形児が誕生した。
ただし、アメリカでは発生していない。
何故か?
アメリカでは1960年9月に販売許可の申請があったがFDA(食品医薬品局)の審査官フランシス・ケルシーがその安全性に疑問を抱き審査継続を行ったため、治験段階で数名の被害者を出しただけだった。
1962年にケルシーはケネディ大統領から表彰されている。

このフランシス・ケルシーさんのようなプロフェッショナルになりたくないかい?


●アンプル入り風邪薬
解熱鎮痛剤のピリン系製剤を水溶液にして飲用する形態の大衆薬製品群で、その組成上、血中濃度が急激に上昇し30人以上がショック死した。


●非加熱血液凝固因子製剤→薬害エイズ事件(1989年-1996年)
血友病の治療に用いる血液製剤がウイルスで汚染されている恐れがあるという指摘が無視され、多くのHIV感染者を出した。


●ソリブジン(1993年)
ヘルペスウイルス属に有効な抗ウイルス薬。フルオロウラシル系抗癌剤の代謝を抑制し、骨髄抑制などの重篤な副作用を増強した。
ソリブジンは、1993年9月の発売後1年間に15人の死者を出した。
その後、治験段階で投与された患者3人が死亡していたことが判明した。
また、最初の死亡例が企業に報告された9月20日から約3週間の間に、その会社の社員175名が同社株を売却していたことがわかり、インサイダー取引容疑で捜索された。


●フィブリノゲン問題→薬害肝炎(1998年-2008年)
止血目的で投与された血液製剤(血液凝固因子製剤即ちフィブリノゲン製剤、非加熱第IX因子製剤)によるC型肝炎(非A非B型肝炎)の感染被害。
投与数は約29万人であり、推定肝炎発生数1万人以上と試算している。


・・・・・・など等。

僕がモニターをやっていた時には、上記の「ソリブジン事件」があり、それを踏まえて、当時改定・検討されていた日本の新GCPでも「ほかに主治医がいる治験参加者がいた場合、その主治医に患者が治験に参加していることを連絡する」よう求めている。

その頃にも薬害再発防止策がいろいろと検討されたのだが、それでも、薬害肝炎が発生して、またまた、本年4月に「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」がまとめた
薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて」が出た。

僕たちには学習能力が無いのだろうか?

もしも、僕たちに学習能力が無いのなら、学習してもらうまで、繰り返し繰り返し、自分たち自身に学んでもらおう。
個人に確かめれば、「それは問題だ」という問題も、組織の上に行けば行くほど、問題意識が希釈されてしまう。

人間の健康回復のためにある「製薬業界」なのに、健康を害してしまう事件・事故が繰り返し、繰り返し、起こっている。
個人の倫理観は高いはずなのに(そう思うことこそが僕たちの「甘さ」なのかもしれないが)、組織としての倫理観が不足している。
誰かが、ストップ!と言わないといけないのだ。

同じこととして、人間の一人一人に聞いてみれば「戦争に反対」しているはずなのに、世界で戦火が消えた日は、一日すらない。
組織全体で見ると、個人とは別の見解になる、というこの悪習は、分野を超えて、人類共通なのかもしれない。

たとえ、そうだとしても、とにかく、製薬業界の人間は僕も含めて、一人一人の潜在意識に刷り込むほど、薬害の防止を考えるのだ。
そして、「僕/私が何か思っても、何も変わらないよ」と思わずに、「まず、自分の意識からだ」と思うことが重要だ。
「薬害を防止するシステム」が必要で、それができるまで無理だ、なんていうことは言わせない。

それができないなら、モニターなんて辞めてしまえ!




「薬害オンブズパースン会議」も見ておこう。
  ↓
http://www.yakugai.gr.jp/


これも読んでおこう。
  ↓
薬害再発防止策、土台をしっかりと(薬事日報)
http://www.yakuji.co.jp/entry5648.html


これもだ。
  ↓
『薬害予防』総合リンク集
http://www.sinbun.co.jp/kenkou/link1.html

ほかにもあるので、グーグルで(ヤフーでもいいけれど)「薬害防止」を検索してみてください。
あなたの知らないことがあるかもしれません。
そして、自分に何ができるかを考えてみてください。
お願い致します。

ホーライ



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2010年08月06日

■学生からの質問「何故、患者は治験に参加するのですか?」にタジタジする

水曜日から金曜日まで大阪支店で、関西の薬学系大学の学生を集めてインターンシップを行った。
東京は8月の下旬にやる予定だ。

今回のインターンシップで最も驚いたのは、学生の「治験」に関する知識だった。
例えば治験審査委員会(IRB)の構成要件まで知っていた。
大学によっては「薬事法と治験」などという授業もあるとのことだ。

今回のインターンシップに参加した学生は全員「薬学生の5年生」だ。(薬学が6年制になった、最初の第一期生だ。)
こういう治験についてかなり『知識』として知っている学生だったが、やはり治験の本質までは理解は深くはなかった。
知識だけはあるが、本質の考えまではなかった。

例えば、僕が担当した研修に「同意説明文書」という項目があったのだが、同意説明文書の中身を理解すればするほど学生は疑問に思うことがあったらしい。
講義がひと段落した時に、一番前に座っていた女子学生が僕に聞いた「どうして患者さんは治験に参加してくれるのですか?なにかメリットがあるのですか?」と。
また、さらに別の男子学生からの質問で「医師が治験を行うメリットは何ですか?」というのもあった。

治験に参加することに関して「参加する(行う)メリット・デメリット論」では実際の治験の状況を理解することには繋がらない。
本質を突いているようで、そうでもないと言える。


しかし、学生にとっては最も素朴で最も本質をつく質問だろう。(こういう素朴で本質を突いてくる質問がでるかどうかが、研修の良しあしのひとつの指標になる。)

「何故、患者は治験に参加してくれるのか?」という学生からの質問に対して、僕はこう応じた「どうしてだと思う? 何故、患者さんは治験に参加してくると思う?」

患者さんにしてみれば「効果」も「安全性」も確立していない訳の分からない化合物を飲まされるわけだ。
場合によっては補償もされるが、それだけ、治験は「危険」を伴うものだという証拠でもある。

僕の中には当然だが、いくつかの答えらしきもがあるのだが、それは敢えて、学生に教えない。
まず、学生自身がそれを考えることから、モニターとしての自覚が生まれてくるのだ。

前述の質問に対して、現役のモニターが全員、満足な答えを出されるとは限らない。(まぁ、正解はないのだが。)

当社のインターンシップに参加したことをきっかけに「何故、患者さんが治験に参加してくれるのか」ということを学生に考えてもらうことを宿題とした。



あなたなら、どう答えますか?

例えば治験責任医師から「この治験に参加する私のメリットは何?」とか「このフェーズ2ではプラセボ群もあるよね。そんな治験に患者さんが参加するメリットを教えてよ。そうでないと、同意説明の時に困るんだよ。」と問われたときに、どう答えるのか?

治験に関しての永遠の課題だ。

これは僕たちにとって、永遠の課題だ。

患者さんは何故、治験に参加してくれるのだろう? 
まだ薬なのか毒なのか分からない、そんな治験薬を自分の体で試験する、文字通り患者さんは「命をはって」治験に参加してくれる。

モニターは「命をはって」仕事をしているだろうか?


23、4歳の学生に刺激を受けて、こんなことを考えたのでした。

東京でのインターンシップで、どのような刺激を受けて、僕がどう成長するか、今から楽しみだ。



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2010年07月31日

なぜ、その医薬品を飲めるのか?

頭痛がひどかったとしよう。
その痛い頭を抱えながら、道路を歩いていた。
そこへ、ある男がやってきて、「どうだい、頭痛によく効く薬があるんだけれど、飲むかい?」と寄ってきた。

あなたは、この胡散臭い男から薬をもらって飲むだろうか?

普通、飲まない。

では、何故、医師からもらったアスピリンなら飲めるのだろう?
それは、患者が医師を信頼しているからだ。

では、医師は何故、アスピリンを患者に投与できるのだろう?
それは、厚生労働省が(国が)、アスピリンに対して製造販売の承認を出したという事実を信じているからだ。

では、何故、厚生労働省は、アスピリンを承認したのだろう?
別に、お役人さんは、自分でアスピリンを飲んで、有効性を、安全性を確かめたわけではない。
厚生労働省の担当官は、製薬会社が提出してきた「データ」を信じて、審査した結果、承認を出している。

その「データ」というのは、紙の上に印刷された数字だ。

では、その「データ」の信頼性はどこからくるのか?
それは、モニターがSDVを通して「データ」の信頼性を確認しているからだ。

ですよ!

その薬を生かすも殺すもモニター次第なのだ。


もう一つ、話がある。

たとえば、自動車というのは、その製造工程を見ると、シャーシがあり、エンジンがあり、車体があり、窓ガラスがあり、それらを徐々に組み合わせて自動車の形にしていく。

じゃ、今度はアセチルサリチル酸(アスピリン)を見てみよう。
そのアスピリンは最初、試験管の中で合成される。
このときは、有機化合物という、ただの「モノ」だ。

そのアスピリンを使って非臨床試験を行い、動物などに投与し、どうやら解熱・鎮痛作用があるらしいことが分かる。安全性も確保できそうだ。

そうこうするうちに、このアスピリンが、ある日、「治験薬」と名前が変わり、臨床試験(治験)で、人間へ使用される。
その結果、人間に対する作用が確認される。
そして、治験を通じて得られたデータをまとめ、国に提出する。

国は、そのデータを信頼し(前述のとおり)、承認を与える。
ここで、アスピリンは医薬品と名前を変える。

このようにして、アスピリンは「モノ」→「治験薬」→「医薬品」と名前を変えていくが、構造式は最初から全く変わっていない(アセチルサリチル酸のままだ)。

では、何故、その名前を変えていいのだろう?
名前が変化していく間に、何が変わったのだろか?

それは、「有効性」や「安全性」というデータ・情報が蓄積されて、そのデータ・情報によって名前が変わるのだ。

だから、私たちの業界は非常に高度な『情報社会』だと言える。


では、治験中、そのデータはどこに記載されているのだろう?
「治験薬概要書」だ。
治験薬を治験薬たらしめているのは「治験薬概要書」なのだ。

モニターはしっかりと治験薬概要書を読み込んでおこう。
非臨床試験のデータも読めるようになろう。

繰り返すと、治験を生かすも殺すもモニター次第なのだ。


最後に……。

「患者が怠けてもモニターは死なないが、モニターが怠けると患者は死にます。」



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2010年07月21日

『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬』解消の首謀者は誰だ?

問題は、臨床の現場で必要性が訴えられているのに、開発されていない、いわゆる「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬」だ。
それが、ようやく、メドが立ってきた。

私も50歳であり、この業界に入って25年以上も働いているので、本音と建前があることぐらい知っているが、だからといって、「その薬は、開発してもペイしないよ」等という言葉を許すわけではない。

製薬会社の中では「患者さんの声にお応えする」などという意味のキャッチフレーズを使っている所が多い。
『アンメット・メディカル・ニーズ』(未だ満たされない医療上の必要性。患者様や医師から強く望まれているにもかかわらず有効な既存薬や治療がないこと。)に応える、等とカタカナ用語で最先端の医療ニーズに応えるみたいな、ことを言っている会社もある。

その『アンメット・メディカル・ニーズ』を、新規の化合物や新規の対象疾患に求めるのではなく、今、現在、海外では当たり前にように使われていて、日本では使えない薬を日本で使えるようにする、のが先なのだ。


ところで、どうして、こんなに急に『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬』を解消する方向で動きが出てきたのだろう?
学会からの要望というのもあるが、その前に、そもそも、誰かが旗振りをした人がいるはずだ。
それは厚生労働省の官僚やお役人かもしれないし、学会の実力者かもしれない、あるいは、患者団体の代表者かもしれない。

いずれにしても、その旗振りをした人が「一番」偉い!

解決していない問題を看過することなく、そこにこだわりを持つ。
ひとくせもふたくせもある、製薬業界を忍耐を持って説得する、交渉する(あの手、この手で)。

さ、次はきみの番だ。
きみが旗振りをするのだ。

きみの決意と、意欲と情熱さえあれば、できる。(しかも「決意」とか「意欲」とか「情熱」などは全て、無料で手に入る。)

本当に患者が困っていることを、患者本人と患者の家族の立場に立って考えることができる人が私たちには必要なのだ。
奇麗事を言うだけでなく、評論家でもなく、地味で、儲けが少なくても、本当にニーズがある薬を開発しようという強力な意志。

これから、世界を変えるのは、そういう人だ。
そして、それはきみであっていけないことは全くない。



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2010年07月19日

●国際共同治験担当のモニター・CRCに英語は必要か?

最近、増加傾向にある『新薬の国際共同治験(世界同時開発)』だが、この治験を担当しているモニター・CRCに英語能力は必要だろうか?

私は、必要だと思う。
いや、国際共同治験を担当している、いない、に関わらず、モニター・CRCに英語は必須スキルです。
いやいや、モニター・CRCに関わらず、今のビジネスパーソンに英語は必須スキルです。

私も長い間、外資系製薬会社に勤めていたので、英語に関する必要性はヒシヒシと感じていました。
この時代、外資系だけでなく、内資系の製薬会社、CRO、SMO、小規模会社、ベンチャー会社・・・・・・など等、どこで何をやっていようが英語は必要です。

何故、英語が必要なのか?

英語で文字通り、世界が広がります。

転職する際にも、外資系だと英語能力は必須(多分、TOEICで800点前後)だし、内資系の会社に転職する際にも評価が高くなります。
また、英語ができると、社内で重宝がられます。

「英語だけ」できる人は不要ですが、仕事もできて、おまけに英語も普通にできる、というのがベストです。


私も、今、社内で「入門ビジネス英語」を週一でやっています。
医学英語の読解もやります。
英語を学ぶためのメルマガも社内で発行しています。

ちなみに、現在の私が勤めている会社は、地方出身のコテコテの内資系です。
ただし、海外にも拠点がありますし、そもそも毎日、社長(日本人)が英語でメルマガを社員全員に送ってきます。(毎日!)


自分の限界を決めるのは自分です。
モノに出来るものは、がっちりと貪欲にモノにしましょう。
もちろん、英語だけでなく、いろんなスキルを身につけ、仕事に対するマインドも崇高にいきましょうよ。背筋を伸ばしてさ。


そうそう、国際共同治験ではFDAに提出する資料(日本では求めていない)を、日本人の治験責任医師に求めている場合もありますね。
(例えば、『financial disclosure』などの書式等)

時代が進めば、常識も変わってきます。

フットワーク軽く生きましょう。



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2007年06月02日

新薬開発における『イノベーション25』

先日、『イノベーション25』の最終案がまとまった。

その中に下記の記述がある。


★イノベーションの創出・促進に関する政策は、国民一人ひとりの自由な発想と意欲的・挑戦的な取組を支援する「環境整備型」へと考え方を大きく転換していかねばならない。

長期戦略指針『イノベーション25』は、2025年までを視野に入れ、豊かで希望に溢れる日本の未来をどのように実現していくか、そのための研究開発、社会制度の改革、人材の育成等短期、中長期にわたって取り組むべき政策を示したものである。

イノベーションとは、技術の革新にとどまらず、これまでとは全く違った新たな考え方、仕組みを取り入れて、新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことである。

このためには、従来の発想、仕組みの延長線上での取組では不十分であるとともに、基盤となる人の能力が最大限に発揮できる環境づくりが最も大切であるといっても過言ではない。

そして、政府の取組のみならず、民間部門の取組、更には国民一人ひとりの価値観の大転換も必要となる。


したがって、イノベーションの創出・促進に関する政策は、従来の政府主導による「個別産業育成型」、「政府牽引型」から、国民一人ひとりの自由な発想と意欲的・挑戦的な取組を支援する「環境整備型」へと考え方を大きく転換していかねばならない。



★『イノベーション25』の基本的な考え方

長期戦略指針『イノベーション25』では、その特質を踏まえ、以下の5点を基本的な考え方とした。


1.未来に向けての高い目標設定と挑戦

2.グローバル化と情報化の進展への的確な対応

3.生活者の視点の重視

4.多様性を備えた変化と可能性に富む社会への変革

5.「出る杭」を伸ばす等人材育成が最重要





では、ここで、上の5つの基本的な考え方を製薬業界にあてはめて考えてみよう。


「1.未来に向けての高い目標設定と挑戦」

医薬品開発は常に「未来」に向かって挑戦し続けている。
しかし世界的な大企業でも新薬の「種」は尽きることもあり、現在は、ベンチャー企業が、その間隙を縫って活躍している、という状況だ。
これからの20年間は、今以上にベンチャー企業が頑張ることだろう。
大企業は、そういった特色あるベンチャーとの提携により(あるいは吸収合併により)、新薬の種を手中の納めるか、種だけを導入するという路線が進むはずだ。


じゃ、大企業は自らが高い目標を掲げて挑戦しなくてもいいかというと、もちろん、そんなことは無い。
せっかくベンチャーから導入した新薬もいつかは特許が切れるし、自社開発製品が出ないと、自社の研究所の「腕が鈍る」。

20年前はベンチャーだった「アムジェン」は、もはやベンチャーとは言えず、立派な大企業になった。
そのうちにベンチャー企業も他のベンチャー企業を頼るようになり、やがてはベンチャー同士の合併などが出てきて、新たな挑戦者がまたこの「新薬開発競争」に参戦するようになるだろう。

以上より「1.未来に向けての高い目標設定と挑戦」は、『イノベーション25』で言われるまでもなく、否が応でも製薬業界は常に目指すべきものである。


「2.グローバル化と情報化の進展への的確な対応」

『イノベーション25』の2番目の基本的考え方は、まさにたった今、我々が直面している課題だ。
グローバル化(新薬の世界同時開発)は、わずかながらも、その数を日本でも増やしてきた。
今後は中国やインド、台湾、韓国などのアジア勢の一員として、新薬の基礎から世界開発までを一手に担うエリアとなるだろう。

「情報化」と言う意味ではゲノム創薬、抗体医薬品など、複数のデータベースを有効に使いながらの基礎研究から応用研究を進める方向が定着している。
このような、言わば「新薬開発領域」という「閉じた」世界での「情報化」は進んでいるが、インターネットという「開いた」世界における「情報戦略」は、今のところ、あまり大きな成果が出ていない。
(ちなみに、先日、DNAのらせん構造を解明したワトソン博士のゲノム情報が一般に公開された。ある特定の個人のゲノムが公開されるとは、珍しい話だ。)


「3.生活者の視点の重視」

「生活者の視点」というくくりで言うならば「QOL向上」を目指した新薬の開発が数年前から加速されてきた。
「重病」とは言えないが、生活の質という立場で考えると本人にとっては「深刻な悩み」を解決するための薬だ。
今後は高齢者社会が加速度的に進むので、ますます、製剤的な工夫やDDS等の製剤化技術とともに基礎研究も[
生活者の視点に立って」進むことだろう。


「4.多様性を備えた変化と可能性に富む社会への変革」

新薬の開発は国際化して、世界同時開発になってきたとは言え、製薬会社そのものは、日本の場合、まだまだ多様性を持っているとは言えない。
もちろん、外資系の場合、会社のトップに外国人が多いが、一般的スタッフにはまだまだ受け入れが少ない。
僕の感覚ではアジア系の人たちが、最近、社内に多くなってきた、という会社が多い気がする。
いずれにしても、まずは、自分たちの世界を多様化させ、異質な文化同士がぶつかりあいながらブレークスルーを打ち出していく、というあたりを目指していけばいいな、と思っている。


「5.「出る杭」を伸ばす等人材育成が最重要」

さて、最後の項目はもっとも重要で、かつ、「う〜〜〜ん」的な問題だ。

ベンチャー企業はそもそも、会社自体が「出る杭」なので、その中で出る杭が自然発生的に育つ風土がある。
問題は「大企業」だ。

「僕の治験活性化計画」にも書いたが、製薬業界も歴史の長い、成熟産業だ(IT業界などに比べたら)。
ずいぶんと「一人ひとりの意識の中にある見えないタテの壁、そして大学、企業、府省等々どこの組織にもあるタテの壁」があると僕は思う。
また、これからの治験や新薬の世界同時開発を目指すとき、もっとも重要なことは「社会に存在する変化を拒む様々な壁と抵抗を撥ね退けてイノベーションを起こす」ことだ。

治験の活性化に頑張る製薬業界が目指すべき『イノベーション25』は10−20年を見据えれば、すべては人つくりなのである。

まぁ、これは製薬業界だけでなく全ての産業で言えることだけど、「人材」こそが「会社」なのだ。
もちろん、その人材に「あなた」が成って悪い理由はない。あなたこそが「人材」になるべきなのだ。

出世や報酬などを忘れて仕事に没頭することが好きな『ひときわ異彩を放つ“出る杭”』のあなたがた、皆さんが、これからの20年を創造していく主役であることだけは間違いない。





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2007年04月08日

企業倫理と治験の倫理

治験と言えば、まず真っ先に新入社員が習うのは「倫理」についてだろう。

そもそもGCPにこうある。「1) 治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び本基準を遵守して行われなければならない。」

治験は「倫理的原則」を遵守しないといけないのだ。



ところで「企業倫理」という概念もある。
日本経済団体連合会が「企業倫理徹底のお願い」等というのも出している。
   ↓
http://www.keidanren.or.jp/japanese/news/announce/20060919.html


この上のページを見ると分かるのだが「企業倫理」というと「コンプライアンスの浸透と徹底」というように「コンプライアンス」という言葉が必ず出てくる。

通常、この「コンプライアンス」とは「法律・規制の遵守」という意味で使われる。(医薬品業界、特に医療の現場で「コンプライアンス」という言葉を使うと「薬の服用率」を指す事があるので、新入社員は、この際、覚えておこう。)


では、法律を守っていれば、それで「倫理的」と言えるか、というとそうでもない。
例えば、麻薬に指定されていないが、それに類似する作用を発揮するモノを販売したら、それは直ちに法律違反ではないが、「倫理的ではない」だろう。
逆に、例えば「人種」によって仕事を差別する法律が仮にあったとして、それを守らずに「人種」による差別を無くし、公平に扱うマネジャーがいたら、それは法律違反だが、「倫理的」と言えるだろう。


もし、企業が起こした事故を隠蔽したり虚偽報告をするというのが仮に法律違反にあたらないとしても、それは「倫理的」と言えるだろうか?
もちろん、言えない。

会社ぐるみでそういうことをやっていたら、その会社は信用を失墜し、社会的に制裁される、と思っているが、最近はそれもどうかな?と思い始めている。


ところで「治験」の場合だが、治験で倫理の話になると「インフォームド・コンセント」とか文書による同意とか自発的意思による治験への参加、ということが思い浮かべるが、もちろん、治験における倫理的基準はそれだけではない。

例えば、副作用が発生したら、それを必ず創薬ボランティアに伝えないといけない。
また、治験全体で言えば、有効性だけでなく、有害事象のデータも全て集めて、そのデータをもって、新薬の承認審査を受ける。


人間の命に直接関わる薬のことだから当たり前と言えば当たり前だが、製薬会社から見たら「不都合」な「有害事象」(薬との因果関係を問わない)のデータを全て集めて、それを報告するというのは、とてもいいシステムだと思う。
だけど、そのシステムがどこかで壊れていたら、とても残念な話だ。


一般消費者から見て、「倫理的」というのは、こちらが考えて、やりすぎくらいが丁度いいのかもしれない。
間違っても、「認識が甘かった」とテレビの前でシャチョーが謝らなくて済む。と言うか、謝る、謝らないに関係なく、その事実が広く知れ渡る、渡らないに関係なく消費者の安全を守るのにやりすぎはないのだ。

企業の中で「倫理的」行動の見本、手本を新入社員に見せるのがマネジャーの仕事だ。それも、最も重要な仕事だろう。


「機体の点検・整備に対して認識が甘かった」という飛行機が有ったら、僕ならそれには絶対に乗りたくない、と思うのだ。(違うかな?)




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2007年03月24日

総合機構の人材育成だけでなく

医薬品医療機器総合機構が今後3年間で審査人員をほぼ倍増する計画が進んでいる。

審査期間が短くなるのは、僕たちとしては嬉しい限りだが、実は心配もある。


普通の会社でも、ある部署が3年間で倍増(それも2人が4人という程度ではなく、200人が400人という規模)は、そうそう有るものではない。

この人件費は、もちろん、承認申請料で賄うため、新薬は申請するだけでも数百万円から一千万円以上にもなる。

まぁ、お金のことはいいとして、問題は人材育成だ。


200人のところに2人、新入社員が入ってきたら、そりゃ、面倒見もよくなります。
それに、審査に対する影響もそう大きくない。

しかし、総合機構の場合、70〜80人程度、毎年、新入社員が入ってくるようなものだ。


しばらくは、書面調査や実地調査で、また、とんでもないことを言い出す新人審査官が出てきそうだ。

僕もかつて一回だけ、泣かされた。

治験薬の使い方を書いた紙を創薬ボランティアに渡すようにしていたら、これが「予定される用法・用量」にあたるから、これは薬事法違反ですね、と新人審査官にサラッと軽く言われたことがある。(最終的に、そのご意見は無かったことになったが。)



治験依頼者(承認申請者)も治験実施医療機関も、一緒になって、総合機構の新人教育をするくらいの覚悟がちょうどいい。


……と、そんなよそ様ばかりを心配している余裕は僕には無い。

新人教育ではまず教育研修部が導入研修を行い、その後、開発部などの実戦部隊にOJTをお願いする。


集合研修にしろ、OJTにしろ、一番大切なのは、無論、講師の質だ。

では、どんな資質が講師には必要だろうか?

昔、僕があるセミナーで「モニターとして優秀な人が講師としてもいいか?」という質問を受けたことがある。

その時、僕が答えたのは「モニターとして優秀であることに越したことはないが、それよりも、教えるのがうまい人」だ。

名選手が必ずしも名コーチになるとは限らない。

では、OJTをする先輩モニターが全て「教えることが上手」かというと、そうでもない。

そこで、どうするか?

できたら、自分がやっている仕事が好きな人に任せるのが一番だ。




よく小学生や中学生が「教える先生によって、その教科が好きになるかどうか、かかっている」と言うが、仕事も一緒だ。

嫌々モニターをやっている人に新人がついたところを想像して欲しい。

果たしてその不運な新人は立派なモニターになるだろうか?(反面教師ということもありえるが。)

一方で、モニターの仕事が好きで好きでしょうがなく、イキイキと顔を輝かせながら毎日を送っている先輩モニターについた新人はどうだろう?

優秀なモニターになれるかは分からないが、少なくとも、モニターの仕事が嫌いになることは少ないだろう。



だから、総合機構の先輩をはじめ、製薬会社、CRO、実施医療機関、SMOの皆さん、できたら、仕事が好きな人に新人の教育を任せましょうね。(できたら教えるのが上手い人ならなお良い。)

人材が育つかどうかは、最初の半年にかかっている。


僕はもちろん、講師の仕事が大好きです。



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2007年03月10日

★改革期に求められている人材は?

いよいよ新たな治験活性化5ヵ年計画が実行に移されようとしている。

思えば、今年(2007年)で、新GCP(死語か?)が施行されて10年目の節目になる。
そうか、あの黒船(ICH-GCP)の来襲から、もう10年経つのか・・・・・・・などと思う。

当時はまだSMOはおろかCROですら、まだ治験の世界で市民権を得ていなかった。
しかし、今や、新卒で初めっからCROに入社希望を出す学生も多い。(面接で、何故、製薬会社ではなくCROを希望するのか?と質問すると、モニターのプロ、専門家になりたい、というのが彼女ら/彼らの答えである。)


で、治験の活性化5ヵ年計画やイノベーティブ25等で、今年から暫くはあの黒船(ICH-GCP)の来襲以来の、地殻変動、パラダイムシフト、意識改革が進みそうな気配がする。
僕としては、とても楽しみだ。

こういう動乱のどさくさに紛れて、画期的なことをやっちまう、という手が太古の昔から有る。
戦後の動乱期しかり、明治維新しかり、大化の改新しかり。(改革大臣も「出た杭をひっぱる」イノベーティブを目指す、と言っていた。)


こんな改革の時代には、どんな人材が求められるのだろう?


まず、これからの数年間で大切なのは、治験の改革を望むなら、みんなが(もちろん、あなたを含めて、と言うか、まず、あなたから)、その方向に向かうことだ。

これはオーバークオリティだな、と思ったら、さっさと、自分からそんなことは止める。
それはちょっとやり過ぎでしょう、と総合機構の新前担当官に言う。(ただし、きっちりとやるべきことはきっちりとやる。)


国がやるのは、活性化のためのシステム作りだけであり、実際に動くのは僕たちなのだ。

治験拠点病院とか治験中核病院を設置したとしても、実際にそこで働く人たちが動いてもらわないといけないし、僕たちも協力しないといけない。(批判だけで何もしない人は、もう、いいです。この際、退場願いましょう。)

僕たちが願っている方向に自らの右足を(あるいは左足を)一歩踏み出すことから、治験の活性化が始まる。(あなたの一歩、いや、半歩からだ!)


そりゃ、少しはドタバタします。あたりまえです。まだ、日本では誰も経験したことがないことをやろうとしているのですから。

治験の空洞化を嘆く医療機関のひとがいたら、何故、製薬会社が治験を日本でやらないのか(やりたがらないのか)を考えてみる。

製薬会社の社員は、まずはさ、日本であるいは世界同時開発でやりましょうよ、と発言する。
あとでブリッジングしたほうが早いからと言って、海外先行するのはやめましょうよ、日本の患者さんが不憫ですよ、と会議で発言する。(発言するくらいなら、すぐにできるはず。例え、その発言が無視されてもいいのだ。それが小さな波紋となって少しずつ広がっているはずだ、と信じればいい。)

CROの社員はクライアントに、こんなふうにやったほうがシンプルでいいですよ、と提言する。(ついでに、「他の製薬会社はもうみんなやっていますよ」と一言付け加える。)


今、求められている人材は、楽天家で夢想家で活動家だ。

そして、それはもちろん、あなたのことだ。(僕のことだ。)





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2007年03月04日

社内評論家を育成しているのは誰か?

会議や研修などで『批判だけ』発言する人がいる。

発言だけで行動が伴っていない人もいる。


このような評論家、批評家ばかりの会社になると、衰退が始まる。

ところで、社内評論家、社内批評家を育てている人が、実は社内にいる。

それは、社内評論家、社内批評家としての先輩たちである。



この緒先輩方が会議や研修で『批判だけ』の発言をしていると、それを見て若い人たちが育つ。

何しろ、社会に出て初めて見る企業人が、そのような発言を繰り返すので、素直でまっさらな若い人たちの脳に見事に刷り込まれていく。

こうして社内評論(だけ)精神、批評(だけ)精神が世代を超えて引き継がれていく。



では、これをどう阻止するか? どう断ち切るか?



社内評論家、社内批評家の発言以上に、建設的な意見を言うように努力するしかない。

そのうち、批判だけ、評論だけの発言は恥ずかしい、と思うような空気が醸しだされてくるのを待つ。

あるいは、正しい会議方法の研修を積極的にやって、若い人から、どんどん意識を変えるようにする。



社内評論家が多い会社はありませんか?




『他者(特に上司への)依存症』を断つ!


次に『他者(特に上司への)依存症』が多い会社も有る。


例えば「どうしてうちの社員はみんな、上司を頼るんだろう?」という言葉を聴くことがある。

それは「そういうふうに育てたからなんです」と答えたい。


仕事を部下に依頼しておきながら、すぐにちょっかいを出してくる上司がいたり、できあがった報告書は必ず直しを入れないと気がすまない上司がいたりすると、往々にしてこうなる。

この手の会社では、権限の委譲が進んでおらず、部長クラスがいないと何も決まらない。

だから、必然的に仕事のスピードが遅かったり、社会の変化に対応できなかったりする。


仕事や権限をいったん、委譲したら、小さなミスは目をつぶることだ。

誰だって(僕だって、その上司だって)、最初は初心者で多くのミスをしてきた。

些細なミスを訂正するほうが大切なのか、部下が判断力と決断力を自力で養ってくれるのが大切なのか。

それは言うまでもないだろう。




上記の2つの場合を見ても分かるが、社員は上司の「言うとおり」には育たず、上司が「やっている」とおりに育つのだ。(これは子どもにも当てはまる。「親が言うとおり」には育たず、「親がやっている」とおりに育つ。)



治験の活性化を望むのならば、まずは、自分の頭の活性化が先だったりする。

いちいち「お上」に頼らなくても、自助努力でなんとかできるようにしないと、アジアの諸国からもどんどん置いていかれるよ。





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2007年02月24日

明日を創るもの

最近、社内でずっと「薬理のメカニズム基礎研修」をやっていた。

ちなみに、研修で使っている本は以下の本です。


やさしい薬理のメカニズム(楽天)

やさしい薬理のメカニズム―薬のはたらきを知る(アマゾン)



この研修をやりながら思ったことは、「決断する力」がいかに大切か、ということだ。

新薬の開発方法は、科学的アプローチが変わっただけで、本質は原始時代と変わらない。

まず、病気の痛みや苦痛から逃れたいという生命の根源的願いがある。

そして、それをかなえるための仮説と検証が繰り返されて(いろんな植物や動物、果ては土くれまで試して)、新薬が誕生する。

なかにはまだ病気の原因がよく分かっていないが、とりあえず、こういう薬が効くらしい、なんていうのもある。



「ゲノム創薬」という名前はスマートだが、ひとりひとりの研究者レベルで考えると、結局は「新薬を作りたい」という夢があり、それができるはずだという「信念(信じる力)」があり、どんな困難が有っても新薬を開発するぞ!という強力な「決断」があるだけだ。


僕がこうしてチンタラとしながらも生きている理由は自分なりの「小さな」夢があり、それは実現できるはずだと自分で信じて、毎日、何かしらを決断しながら行動しているからだ。

大事なことは「夢」を信じて「決断」し「行動」することだ。



有名な話だが「アルツハイマー」の薬を開発した研究者のひとりは自分の母親が「アルツハイマー」になったことから、この病気の治療薬を創るぞ!と決断し、行動した。

その結果として今の薬がある。


毎年、製薬業界に何千人という若者が入ってくるが、そのなかの少なからずのひとが「新薬を世の中に出して、病気で苦しんでいる人を助ける行為に参加したい」と願っているはずだ。


ひとつの夢がひとつの新薬を創る。
その夢はひとりひとりの胸の中にある。
夢を信じて、決断し、行動する。


これまで人類が繰り返してきたこの単純だけど、強力な作業を今日も僕たちは続ける。

たとえその結果、新薬が開発できなかったとしても、それは少なくとも「明日」を作ってくれるはずだ。



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2007年02月10日

僕たちが治験で死守しないといけないもの

不二家の事件で関係者から出てくる言葉に「認識が甘かった」という言葉がある。

これは「そういう認識が無かった」わけではない。
「それを認識していたけれど、対応が、考え方が甘かった」ということだろう。
知っていたけれど、まぁ、大丈夫、大丈夫ということか。


僕たちの治験で死守しないといけないのは「創薬ボランティア」の皆さんの安全だ。
まずはこれがないといけない。

「同意取得のための説明文書」にも「予期される臨床上の利益及び危険性」をきちんと書かないといけない。

また、治験は治験薬の「有効性」と「安全性」を調べるもので「有効性」だけを調べるものではない。

安全性は調べない、予期される危険性やあらたに入手した安全性に関する情報を創薬ボランティアに伝えないとなったら、それはただの「人体実験」だ。


「治験」がかろうじて「ただの非人道的な人体実験」にならないのは、創薬ボランティアにきちんと「危険性」や重篤な副作用情報を伝えて、それでも治験に参加、継続してくださるかを常に確認しているからだ。

その「認識が甘く」て「予期される危険性」を創薬ボランティアに過小に説明したり「治験への参加の継続について被験者又はその代諾者の意思に影響を与える可能性のある情報」を入手したのに、それを創薬ボランティアに伝えないと、これは「倫理的でない」し「非人道的」でもある。


自分がそんな治験の創薬ボランティアだったらどうだろう?



僕たちが死守しないといけないのは「治験のスピード」でもなく「治験のコストを抑える」ことでもなく「製造販売の承認申請の予定されている期日」でもない。

今さら言うまでもないが僕たちが死守しないといけないのは「創薬ボランティアの安全性」だ。


ナショナルが自社のファンヒーターに欠陥があることが分かり、最悪の場合、死者もでる恐れがあるため、テレビや新聞でさかんに全国民に注意を促していた。
僕が驚いたことは日本の『全世帯』に注意を促すハガキを出したことだ。(当然、我が家にも来た。)


治験では「予測できない重篤な副作用」については、その治験に参加している全ての医療機関の長と治験責任医師に報告する義務がGCPで規定されている。


ナショナルが日本の『全世帯』に連絡したことと比べると、治験の関係者などの数は微々たるものだ。たかが知れている。


「認識が甘かった」という言葉は死者の前では何の意味もなさない。

「認識が甘かった」という認識を持つこと自体が許されるものではない。


もし、そういう組織にいたら、どうやってそういう風土、モラルの低下を改善できるだろうか?
どういう方法で、そんなことが起こらない組織にすればいいのだろう?


少なくともモニターの教育担当者としては「創薬ボランティアの安全性」を最優先に考えるモニターを育てるのが「死守すべき」ラインだ。



臨床試験と治験を考える「医薬品ができるまで」
http://iyakuhin.web.fc2.com/index.html

架空の製薬会社「ホーライ製薬」
http://horaiseiyaku.web.fc2.com/

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2007年02月01日

治験の活性化はあなたしだいだ。

治験事務局、IRB事務局の皆さんは、今の日本の治験をフルサポートしているのは(実質、動かしているのは)自分なんだと知っておいて欲しい。

あんなに複雑なGCPの手続を滞りなく院内で(しかもほとんど治験に理解を示さない人たちの間で)やってくださっていることには、本当に頭が下がる。(時にはGCPをまだあまり理解していないモニターなんかがいて、困ることもあるでしょう。)

これからも、是非、治験の促進、日本の治験の空洞化阻止には、治験をスムーズに行わせている自分が必要なんだと治験事務局やIRB事務局の方には思って欲しい。

煩わしいと言われながらも、手続き上で省けないものは省かず、省略できるところは簡略化して、治験を少しでも早く進めることが出来るのは、治験の資料、手続を受け持つ事務局の私しだいだということを是非、意識しよう。

IRB事務局の人も、IRBメンバーの都合やら会議室の都合から、膨大な副作用情報の処理など、困っていることも多いでしょう。
しかし、今度の改正GCP省令をご覧頂くと分かるように、IRBとIRB事務局の仕事の重要性は増すばかりです。

治験が倫理的に、創薬ボランティアの人権、安全、福祉を守って行えるのはIRBの委員と事務局の自分たちがあるからこそだということを強く誇りに思うべきです。

そして、これからも日本の治験の活性化には、治験事務局、IRB事務局であるあなたの創意工夫や熱意が必要なのです。





治験責任医師や治験分担医師はまず「自分がしっかりしないと治験は進まない」ことを強く思うことです。

日本の治験を促進させる、なおかつ質を保つのは、治験責任医師や治験分担医師の仕事だということ。

そのためにはまず、自分が担当した治験薬の特徴をしっかりと認識して欲しい。

今、目の前にいる患者さんにこの治験薬を投与した時のメリットは何だろう?あるいはリスクはどんなことがあるのか、などを考える。

また、この治験薬が新薬として臨床の現場に出てきたときのインパクトも考えよう。

自分の治療方針のどの位置にこの治験薬はポジショニングされるのか、どのような患者さんに有効で、どのような疾患、どの程度の症状なら治癒できるのか・・・・・・etc.

そのような治験薬を一日も早く世の中に出すためには、まず、治験実施計画書をしっかり守って欲しい。
「こんな臨床の現場を無視したようなプロトコルなんて、守られるかい!」と思うなら、その言葉を是非、治験依頼者にぶつけるべきだ。

そして、もし納得して治験を実施するのであれば、治験に参加して頂ける創薬ボランティアの発掘に是非、力を注いで欲しい。

とにかく、医療の現場の最先端にいて、今の日本の治験の現状を救えるのは自分なんだと治験責任医師や治験分担医師の方には思って欲しい。

治験の活性化に治験責任医師、治験分担医師が果たす役割は計り知れない(というか欠かせない)。



CRC(治験コーディネーター、臨床試験コーディネータ)の皆さんは、「これからの日本の治験は私の肩にかかっている」という気概を持って欲しい。

まさに、CRCはかつての日本の治験の空洞化を救ってくれた救世主なのだ。

そして、それは、これからの治験でも同じだ。

僕も商売柄、多くのモニターの話を聴くが「しっかりとしたCRCがいる病院は治験がやりやすいし、創薬ボランティアの登録も早く、データの信頼性も高い」と評判がいい。

だから、日本の「治験の質」と「スピード」はCRCである私にかかっていると思うこと。

CRCがしっかりしないで、これからの日本の治験はありえない。「日本の治験の将来は私次第だ」とCRCは思って欲しい。




モニターは『治験を生かすも殺すもモニター次第』という言葉を忘れないこと。

(「モニターの一日http://horai01-web.hp.infoseek.co.jp/monitor/monitor_1.html より。)

まさにそのとおりで、どんなに素晴らしい新薬の卵だろうと、どんなに優れたプロトコルだろうと、それを生かすも殺すもモニター次第だ。
モニターは治験依頼者と治験実施医療機関のあいだの情報伝達の主役だ(GCPに書いてあるとおり)。

治験を実施するにふさわしい治験責任医師、医療機関を調査し、速やかに治験の依頼・契約をすませ、治験がスムーズに進むようにモニタリングを実施し、プロトコル違反、GCP不遵守が発生しないように、関係者に注意を促す。

もし、それを怠ったら、新薬が世の中にでるのが、数年は遅れるかもしれない。最悪は二度と日の目を見ないことになりかねない(そうなった新薬の卵を僕は身近に知っている)ことを常に意識しよう。


監査やDM、統計解析、治験薬の管理、品質管理者、教育担当者、ありとあらゆる治験業務に関わっている人は、治験の活性化は自分しだいであることを再認識しよう。

自分ごときがいくら言っても、何をやっても日本の治験なんて変わらないさ、とか、何年たっても日本の治験の状況は変わらないじゃないか、いったい、当局は何をやっているんだ、と思っているうちは「あなたの治験の活性化」は変わらない。

日本の治験の活性化計画なんて自分には関係ないと思うか、自分のことでもあると(と言うか、これこそ治験で生活している自分の課題だと)思うのかによって、あなたの治験の活性化」は変わり、そして何よりも「あなたの世界」が変わる。



架空の製薬会社「ホーライ製薬」
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治験と臨床試験を考える「医薬品ができるまで」
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2007年01月13日

『新たな治験活性化5ヵ年計(案)』達成のキモ

『新たな治験活性化5ヵ年計(案)』が発表された。
現在は、この案に対するパブリックコメントが求められているところだ。

この『新たな治験活性化5ヵ年計(案)』達成のキモは何と言っても、治験を活性化せずにいられない新薬の開発だ。


画期的な新薬の場合、黙っていても治験責任医師は治験に関心を寄せてくれる。
僕がかつて担当していた抗がん剤(当時としては全くの新薬理機序を持っていた)では、こちらから断らないといけないほど、創薬ボランティアの登録を熱心にしてくれた。


現行の治験で最も時間がかかるのは言うまでも無く創薬ボランティアの登録(参加)である。
もちろん、GCPに関連する手続きの煩雑さは否定しないが、それでも、その手の手続きは長引いたと言っても、数週間で終わる。
しかし、創薬ボランティアの登録はそうそう簡単にはいかないし、事実、治験依頼者が一番、頭を悩ませているのが「創薬ボランティアの登録促進」だ。

仮にひとつの病院で12人の創薬ボランティアを集めようとしたら、(治験薬のモノにもよるが)普通、半年以上はかかるだろう。
(治験の手続きで半年以上かかるものはない。)

もしその治験薬が画期的な効果を示し、新たな治療方法を提供するものであれば、1ヶ月で12人の創薬ボランティア登録も可能だ。

以上より、治験を活性化できるキモの第一位は「画期的新薬につながる種」の発掘だ。


次に大切な活性化要因は「人材の育成」である。(もちろん、GCPに関連する手続きの煩雑さは否定しない。その2)

今でも治験に熱心な先生(主に医師、治験事務局等の医療関係者を指す)は多いが、それでも十分とはほど遠い。
そして、今現在、治験に熱心な先生というのは「新GCP誕生」の頃からの方々だ。
あの混乱の中をなんとか、日本でも治験ができるようにご尽力していただいた人たちなのだが、その人たちの次の世代が、是非、もっと頑 張って欲しい。


『新たな治験活性化5ヵ年計(案)』にもチラッと書かれているが「治験受託実績のあるネットワーク事務局」を分析すると、そのようなネットワークにおいては「熱意があり、 周りとの協力関係を構築する指導的な中核となる人物・組織」が存在する。

すなわち「治験ネットワークを有効なものとするには治験を実施する“意義”を医療機関で共有すること」が大切であると、活性化5ヵ年計画(案)にもイミジクモ書かれている。

そして「ネットワークは形成されるだけでは治験の活性化にはつながらず、それを動かす目的と計画を持って治験を主導する中核となる人物、組織」が必要とも計画(案)では結論づけている。


僕もモニターの教育担当者として働いているが、人材(それも逸材)を育てるには最低でも5年はかかる。(ちょうど治験活性化と同じ年数だ。)

治験を活性化するには、国、独立法人、民間(治験依頼者も含む)が一致協力して(よってたかって)人材を育成することが必要だ。

そのためのノウハウ(優秀な人材を育てるノウハウ)はきっと民間のほうが持っていると思うので、是非、『新たな治験活性化5ヵ年計(案)』を達成するために、そのような民間の力を利用すると良い。

そのために費用が多少高くついたところで、インフラを使いこなせる人材がいないよりはましだ。
民間(製薬会社やCROやSMO)にしてみても、治験実施施設側に優秀な人材がいることを望んでいるので、きっと労を惜しまないだろう。


「画期的新薬の種の発掘」と「優秀な人材育成」、どちらも困難であり、しかも不可欠で、そして5ヵ年計画になる事業だ。



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2007年01月06日

『成人式を迎える皆様へ』

もう、フリーターと言う言葉もしっかり定着した。

フリーターでなかったとしても、一つの会社に定年まで働く人だけでなく、転職をする人も増えてきた。
(大きな声で言うが、僕は転職を繰り返しているので、ある意味、フリーターである。)

フリーターが増えると困る、という考えも有るが、そんなことを気にしなくていい。
もし、そういう時代になったら、それでなんとかするのが世界というものだ。


江戸時代まで「士農工商」だったのに、明治維新で一夜にして「商」が「農」になったり、「農」が「工」になった。
よく考えると、とんでもない時代だったわけだ。
商人が多くなりすぎて困るとか、武士がいない世の中なんて考えられない、という人も多かっただろう。

さらに、第二次世界大戦の前後でも、「お国のため」だったのがいきなり「デモクラシー」なんてことになったわけだ。
(バブルの崩壊なんて目じゃない、って感じだよね。)


こういう『パラダイムシフト』は歴史を振り返ると何度か有る。

ひょっとしたら、あと20年もすると「フリーター」が当たり前で「ええ〜〜?!昔は一つの会社でずっと働いていたの?どうして、そんな不自由なことをしていたんだろう?」なんてことになるかもしれない。


治験の世界だって、大昔はインフォームド・コンセントすら無い(と言うか、何の規制も無い)時代から、旧GCPの時代になった。
これも、相当インパクトの有った『パラダイムシフト』だったことだろう。

その後も、皆さんご存知のように「黒船」のICH−GCPが日本にやってきて、同意は文書が基本、CRFはカルテと照合してデータの信頼性確保のこと、なんて叫ばれ「治験の国内空洞化」が起こった。
しかし、今の新入社員にしてみれば「え?!CRFとカルテの照合をしていなかったんですか?それって、やばくないですか? ひょっとしたら、データの信頼性がソートー無いかも」ということだ。


ただ、言えることは、治験のような狭い世界だろうが、産業革命のように大きな時代のウネリのような『パラダイムシフト』だろうが、その時代を生きているのは民衆という集団ではなく、「あなた」という個人なのだ。
だから、どんな『パラダイムシフト』が来ても、あなたはそれを生きるしかない。

かつて、不平不満の無かった時代なんて皆無であり、今後もそんなユートピアが生まれるとは思えない(たとえ、生まれたとしても、人間は、さらに上を望むものだから。)
どんな時代になっても、大切なのはあなたの心だ。


「医師主導型の治験をやります。」「あは、バカ言ってら、そんなことできっこないじゃん。」

「海外のデータを申請に使えるようガイドラインが作られました。」「そんな夢物語を信じているの? あれはね、お役人が作ったもの。どうやって人種のるつぼのアメリカの治験データを使うっていうの?」

これは、僕が研修中に実際に聞いた言葉だ。


明日が晴れたらいいけれど、雨かもしれない。でも、雨音を聴くのも実は僕は好きなんだよね。

いや〜〜、第一志望の会社の就職試験に落ちたけれど、行かなくてよかったよ、まさか、倒産するとはね。

そういうもんだ。

「万事塞翁が馬」。

世界がどんなに変革しても、あなたの心が大丈夫なら、あなたは大丈夫です。





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2007年01月01日

『究極の成功方程式』


どうも40歳後半に入るとパワーやら持続力が減るらしい。
そこで、今年の僕の目標は「行動する」だ。

それはそうと、治験活性化計画が引き続き検討されている。
例えば、以下のことが案として出ている。


・厚生労働省が適切な治験ができる「病院の認定制度」を作り、認定された病院の公表を考えているらしい。(僕の私見:ブラックリストが有ったら、もっといい。もちろん病院側からも治験依頼者のブラックリストを作って欲しいという意見が出れば、作って公表してしまう。)

・全国30箇所の「治験拠点病院」と「治験中核病院」の設置。

・総合機構の審査官を2011年を目処に倍増予定。(僕の私見:給料が良ければ、もっといい。)



今後は全国の、全治験実施状況もどんどん公表して欲しいよね。(数年前、僕が直接、機構に電話してお願いした時は駄目でしたが、そろそろ、いいんじゃないでしょうか?)


さて、勝負師に聞くと「優勢」と「勝ち」は決定的に違う、と言う。
「優勢」は、その後、どう転ぶか分からないのが勝負の世界。逆転負けということもよく有る話だ。
ところが、「勝ち」は、もう決定済みなので、「事実」だ。

治験の活性化も絵に描いた餅にならないように、どんどん実行して欲しい。


ここに「一瞬で自分を変える法―世界No.1カリスマコーチが教える」という本がある。(楽天はこちら⇒「一瞬で自分を変える法
」)


この本の中で『究極の成功方程式』という代物を紹介している。
それは次のとおりだ。


(1)成功の第一歩は「目標」を持つこと。
(2)その次は「行動」すること。
(3)自分の行動が目標に近づいているのか、遠ざかっているのかを速やかに判別すること。
(4)柔軟性を身につけること。(希望どおりの結果を手にするために臨機応変に、臆することなく実行に移すこと。)


『究極の成功方程式』と言っても、たった、この4つのステップだ。

この『究極の成功方程式』を利用した例として、この本では映画監督のスティーブン・スピルバーグを例に挙げている。

スティーブン・スピルバーグは12,3歳から映画監督になりたいと考えた。(目標を持つ)
彼が17歳のとき、ツアーでユニバーサルスタジオを見学に行く。(行動する)
しかし、そのツアーではスタジオの中まで見られないので、勝手に途中で抜け出し、映画製作の現場を見に行った。(判断する)
最後には、ユニバーサルの編集部長と話をした。
1時間ほど話をすると、相手はスピルバーグの作品を見たいと言った。

普通なら、ここで話が終わるが、スピルバーグは並みの人間ではなかった。
翌日、スーツを着込み、また、スタジオを訪れ、そして使われていないトレーラーを見つけると、ドアに「スティーブン・スピルバーグ監督」という名札を勝手にぶらさげた。(臆することなく実行に移す)

その後、彼がどうなったかは、もう皆さん、ご存知のとおりだ。


最初の話に戻るが……。

どうも40歳後半に入るとパワーやら持続力が減るらしい。
そこで、今年の僕の目標は「行動する」だ。

今年も、よろしく!





■臨床試験、治験を考える「医薬品ができるまで」
http://www.geocities.jp/iyakuhin_ga_dekirumade/


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