2014年07月12日

やれやれ。

「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」の公表について という通知が出た。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/sogosayo


もう、次から次へと通知が出るよね。

覚えるのも大変だ。

だから、僕は自分のために「治験の通知集」というサイトを作った。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/home


いちいち覚えてられない、というか、覚えられないので、とりあえず、何かあったら、このサイトを見て、関連する通知がないかを見る。

それと、リアルの社内で同僚から「●●に関連する通知ってありますか?」と聞かれた場合にもこのサイトを見る。

このようにネット上に自分の道具箱を作ると便利だ。

会社を転職しても、自分のパソコンを買い替えたりしても、ネット上に便利ツールを作っておけば、どこからでも、ネット環境さえあれば使える。


ほかにも、最近は、クラウド関係が進んでいて、自分のファイルを他者と共有する場合や、重たいファイルでメールで送れないような場合に、ファイルをネット上に保存するというサービスも使える。

たとえば、ヤフーなら下記のサイト。
    ↓
http://info.box.yahoo.co.jp/index.html


転職の多い僕のような場合、連絡先として会社のメールにしておくと、転職する際に知人に連絡するのがいちいち、大変だ。

自宅のメールもプロバイダーを変えた場合に連絡が大変だ。

だから、僕は知り合いにはグーグルメールを連絡している。

家族全員との連絡はラインが便利だ。

ここまで来ると、僕らの時代には考えられないことがおこる。

つまり、よく連絡する友人だけど、住んでいる場所は知らない、という現象だ。

ラインではIDで登録すると電話番号すら知らないという友人も出てくる。


粘土板にくさび文字を刻んだ時代から時は流れ、電子に文字を刻む時代が到来した。

粘土板に刻んだくさび文字は5000年たっても読めるけれど、この電子に刻んだ文字は5000年後でも読めるのだろうか?と考えると楽しい。(考えが歪?)


それにしたって、クラウドなんて知りません、なんて言ってると治験の申請もできないし、「IT化は嫌いだ」なんて言い訳していると新薬の申請すらできなくなる。

やれやれ。


posted by ホーライ at 09:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月24日

治験の限界について考える

今年の夏の猛暑はしんどかった。(まだ、夏は終わっておらず、「猛暑日」は続くようだけれど。)

「ゲリラ豪雨」という言葉もいつのまにか定着するほど天候も荒れた。(今日、明日と西日本では「記録的な豪雨」のようです。ご注意のほどを。身の安全を第一にね。)

気象庁では8月30日から「特別警報」という言葉も使うということだ。
  ↓
http://www.jma.go.jp/jma/press/1308/23a/tokukei-event.html

とは言っても、地球の歴史から考えると気候変動や地殻変動なんて、「常態」であって、「予測できない、想定外の災害」」とか「今年は世界中で異常気象が発生して、地球はどうかしたんじゃないでしょうかと思ってしまいます」と日曜日の朝8時から関口さんがTBSテレビで言っているけれど、それも地球にとっては些細なこと。



科学の力はこの100年で(人類の眼で見ると)飛躍的に発展した。

医学の力も、(まだまだだけど)かなり頑張っている。

でも、科学なんて(医学も含めて)「極めてシンプルにモデル化」した特殊な事例でしか通用しない「法則」を見出しているにすぎない。

よくぞ、この程度の科学で宇宙に飛び出したり、列車を200Kmの速度で走らせたりしているものだ、と僕は思ったりしている(もちろん、その恩恵を僕も預かっているのですが)。


治験も「選択基準」とか「除外基準」をたくさん設けて、とても実際の臨床の現場ではあり得ない「限定された」患者さんだけを対象にしていて、これでひとたび世の中に出たら、様々な、それこそ、想定外の患者さんにも投与されてしまうのだから怖いと言えば恐ろしく怖い。

僕たちが関わっている治験は「極めて限定された」環境で行われていることを意識しておこう。

治験は「試験」なのだ。

「試験」だから、背景を統一しなければならないし、手技も統一しなければならない、という呪縛に縛られている。

そのためにプロトコルがあるし、モニターもCRCも存在意義がある。

不自由だけど仕方がない。

これが今のところ人類の科学の限界なのだから。



「限界を感じる」という感覚は人間だけのものだろう。

そして、その限界を広げるという魅力を知っているのも人類だけのものだろう(それとも、これもまた人類の奢り?)


猛暑に打ちのめされ、ゲリラ豪雨に濡れながら、僕は治験の限界について考えている。


きっと、その答えにも僕は打つのめされることだろう。



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2013年08月10日

戦争を知らない子どもたちの子どもたちの子どもたちよ

僕らは「戦争を知らない子どもたち」だ。

この秋に結婚する僕の長女たちは「戦争を知らない子どもたちの子どもたち」。

そして、もし僕に孫ができたら(僕らの世代にはもう孫が何人かいる人もいる)、彼ら・彼女らは「戦争を知らない子どもたちの子どもたちの子どもたち」だ。


今年も8月がやってきた。

今年の8月は猛暑と「かつてないほどの豪雨」で日本が荒れ狂っている。

福島の原発事故の終わりは見えず、避難民の皆さんは帰るあてがない。


世界には地球上の人類すべてを何回も全滅させることができるほど、「たっぷり」と原爆を存在している。

まるで狂気の世界に舞い込んでくる戦争を知らない子どもたちの三代目はどうやって生き残ったらいいのか、途方に暮れることだろう。


僕たちの仕事の治験は科学の一端を担っているが、科学は人類を救うこと以上に傷つけることができる能力を持っている。

その能力をコントロールできるのは科学を発展させた人類そのものだけだ。


運を天にまかすことしかできないような世界になるのだろうか?

そうさせてはいけない。

そのために、まず隣人を愛すことだ。

隣人はその隣人を愛す(せめて傷つけない)。


5年ぶりに復活した「サザンオールスターズ」は「ピースとハイライト」というメッセージソングをひっさげて僕たちの目の前にやってきた。

(幸いなことにこの曲はオリコンの上位にある。)


今年も8月がやってきた。

でも、来年も8月がやってくるかは分からない。

戦争を知らない子どもたちの三代目は何を見上げているだろう?(青い空か? 放射能の雲か?)

地球の上に人類は存在しているだろうか?


戦争を知らない子どもたちの子どもたちの子どもたちよ。

それは、あなたたちにかかっている。




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2013年04月28日

今日も生きる

新入社員の研修の前半がどうやら無事に終了して、ホッとしているホーライです。

昨日までの2週間の研修でしたが、優秀なモニターになれそうな人は既に片鱗を見せています。

知識の習得が速い、努力をする、コミュニケーション能力が高い、講師に積極的に質問をする・・・・など等。

これはどこで差が出るのでしょう?

多分、「性格」です。

持って生まれた性格はなかなかなおせません。

しかし、「習慣は第二の天性」と言いますし、それを僕自身も実践して、実感しています。



そうは言っても、ハッキリ言って、モニターにはむいている人とむいていない人がいることも間違いありません。

自分はモニターに向いているかどうかを早く見極めることも人生を無駄にしないために大事です。

GCPは覚えられるけれど、他人とコミュニケーションを取るのが大の苦手だっり、外勤はきついけれど内勤は好き、他人と話すよりも書類のチェックのほうが向いている、等の場合、ひょっとしたらQCやQAのほうがいいかもしれません。

モニター希望で就職しても、自分が想像していた仕事とは違った、なんてことはいくらでもあります。

世の中の仕事はモニターだけじゃありません。

モニターをやっていることがあまりにも苦しい場合は別の道を探したほうが自分のためです。

健康を害してまでモニターにしがみついているのは得策ではありません。




世界には様々な仕事があります。

その中に自分に適した仕事がきっとあります。

仕事の内容も仕事のやり方も10年前に比べたら飛躍的に選択肢が増えました。


「やっていて楽しい!」、そういう仕事を探してみましょう。

「そんなの見つからない!!」という人は、仕事は生活するだけのものだと割り切って、趣味等で「生きがい」を探してみましょう。

「それも見つからないんだよ!」という場合は、ゆっくりと昼寝をしていてもOKです。


大事なことは「今日も生きる」ということです。


・・・・・・・というようなことを若い社員に伝えるようになった昨今です。

そうなんだよね。

世の中には「生きることが苦手」という人も、いるんだよね。


そういう人でも生きていける、そういう世界であってほしいものです。




posted by ホーライ at 09:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月12日

20歳になる君に。

君は君が思うままに、好きなように生きていいんだ。

学生の君、浪人中の君、働いている君、働いていない君、何もしてない君、病に伏している君。


なんと呼ばれていようが、構うもんか。

フリーター?

僕も転職ばかりしているので妻から「フリーター」と呼ばれていて「我が家で一番、落ち着きのない子」と呼ばれている。



ヒキコモリ?

全然、問題無い。

僕も会社内で引きこもっているし、土日は自分の部屋に引きこもっている。

今はネットもあるし、スマホもある。

ネット経由でも十分だ。




オチコボレ?

世の中に、何かから落ちこぼれていない人なんていない。

みんな、オチコボレなんだ。




放浪者? 

路上生活者?

ホームレス?

鎖に縛られていない、ということだね。

自分が帰れる場所があってもなくても構わない。

家があるからと言って幸福とは限らない。






地球上では戦争が絶えない。

政治家はころころ変わる。

日本という国は頼りない。

だから、国や政治に頼らないほうがいい。

基本はね、他人は頼りにならない、と思っていたほうがいいよ。

(でも、選挙にはいったほうがいい。自分の希望のためにね。)





やりたいことが見つからない?

実は正直言って、52歳の僕も(もうすぐ53歳になるけれど)、いまだに、自分が何をやりたいのか全然、分かっていないんだ。(ホントに!)

その場、その場の思い付きで生きている。(今までも、そして、これからも、きっと。)




世の中に正解なんて無い。

やりたいことが無くて悩んで、自信が無くて悩んでいても、そのままでいい。

それでいいんだ。

君は今のそのままの君でいいんだ。

他人に迷惑さえかけなければ、何をしてもいいし、何もしなくてもいい。



ありのまままの君で生き続けていい。

自分はかけがえのない唯一の存在なのだから。




元気の時も落ち込んだ時も悩んだ時も、それは君が生きているからだ。

それが生きるということだと思う。


生きることに目的なんてない。(目標はあってもいいけれどね。)

生きることに理由もいらない。




君は生きていていいんだ。

頑張ってもいいし、頑張らなくてもいい。

いじめられたら、すぐに逃げればいい。


この人生や社会なんてしょせん碌(ろく)でもないものなんだ。

だから、ちょっとでも自分の思っていることが叶えられたら、それはもう僥倖(ぎょうこう)と言っていい。




20歳になる君に。

君は君が思うままに、好きなように生きていいんだ。


posted by ホーライ at 13:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月03日

『計画された偶然』で、何と出会う?

今週の(と言うか、来週のというか)ホーライ製薬のテーマは「GCP解説・GCP超入門」だったのだけれど、書いているうちにどんどん逸脱していって、いつのまにか「勝手な言い分」になっていった。

こういうことは、公式の文章や会社の文章を作成している時はダメだけれど、自分で何かのアイデアを練っている時には、どんどん逸脱してみよう。

すると、思わぬ発見がある。

これは人生でも同じだ。



ときどき、予定に無い途中下車をしたり道に迷ってみたり、遠回りしたり(あるいは遠回りせざるを得ない状況だったり)すると、まっすぐ歩いていたら見ることができない景色を見ることができる。


自分のキャリアパスを考える時も「予定していない偶然」を積極的に利用する、という手が知られている。


「計画された偶然論理(Planned HappenstanceTheory)」(Krumboltz,et.1999)で「予定外の出来事は望ましいものである」と主張しています。
  ↓
「計画された偶然論理(Planned HappenstanceTheory)


この「計画された偶然理論」とは、つまり想定していなかった「社内異動」を命じられたら、その機会を積極的に利用して、異動先のその分野のことを深く追求してみると、自分のキャリアに繋がるものが発見される、ということ。

すると、実は、それが自分にはとても合った仕事だった、ということもよくある話だ。



僕も製薬工場のQCから、治験を担当するモニターになり、されに監査担当者になって、さらにSOPを作成していたら、会社から「教育・研修担当者」を命じられ、講師をやってみた。

これが、結構、快感だったので、今の自分がある。



ちなみに、最近はさ、何でも「カリスマ●●」という言葉が流行っているよね。

カリスマ美容師とかカリスマ主婦とか。

これって、言ったもんがちだ。

例えば、今、ネットで検索してみたけれど「カリスマGCP講師」という言葉は完全にはヒットしない。

そこで、僕は勝手に、自分のことを「カリスマGCP講師です」と、ここで書いてしまう。

すると、もう今から、僕はカリスマGCP講師だ。(自称カリスマGCP講師の誕生だ。)

これで、ネットで「カリスマGCP講師」を検索すると、僕がヒットする。(まぁ、だから、なんなんだ?!ということですが。)



あなたも、さっさと、自分で自分が何のカリスマに成れるか考えて、宣言してみよう!

「カリスマCRC」とか「カリスマ治験事務局」とか「カリスマ治験責任医師」とか。なんでもありだ。

何を持って「カリスマ」というのか漠然としているし、それが(僕が果たしてカリスマGCP講師ということが)事実かどうかは別として。



と、ここでもテーマから遠回り(脱線)をしていますが。


「偶然」や「ことの成り行き」を大切にするのは仕事のことだけではない。

趣味や生き方も出会いも、これらを大切にすると思わぬ発見がある。

たとえば、僕も「ことの成り行き」で「俳句」に出会い、そうこうするうちに自分でも俳句を作ったり、GCPのメルマガなのに、俳句を紹介したりと、今では「ことの成り行き」にとても感謝しています。

10年ほど前にも「ことの成り行き」で「フルマラソン」を完走したり、「スノーボード」を攻略したり、小説を書いたりした。

それが人生というものさ。



これから大きく成長が期待できる若い人は、特に、初めから自分のキャリアや人生を想定しないほうがいいと思います。

もちろん、それなりの戦略を持って仕事や人生に立ち向かうという姿勢も大切ですが、あまり窮屈にならないほうが意外な成長が望めます。

どんなに戦略を練ったとしても、人生、何があるか分からないしね。

それに、なにより、そのほうが「楽しい」。


思わぬ出会いを大切にしましょう、と何もこれは「婚カツ」の話だけではない。


この世界は「ろくでもない世界」だけれど、この世界に誕生したからには楽しまないと、損ですよ。



ね、そう思わない?ヨーコさん。

「そうですね。そうかもしれませんね。」

だよね、デーモン部長?

「わしはコーヒーの王道をまっしぐら!カリスマコーヒー博士だ。」

はいはい。


あなたも「何か」に出会いましたか?



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posted by ホーライ at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月06日

二十歳になるきみへ(そして我が家の次女へ)

今年、成人を迎える皆さん、おめでとう!

そして、ようこそ!成人の世界へ。



最初に言ってしまいますが、この世界は「不条理」がまかり通る世界です。

だから、それに対する「武器」を持たないといけません。

その「武器」とは不条理をかわす方法であったり、不条理を受けつつも、自分の道を見失わない覚悟です。

その覚悟を作るためにおすすめの本はD.カーネギーの「道は開ける」です。

【アマゾン】
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【楽天】
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さて、高村光太郎が言うように、「あなたの前に道はありません。」

道がない草原どころか、原生林や砂漠や嵐の海原を旅することになるかもしれません。

まったくマニュアルが無い世界であり、自分であれこれ考えながら進まないと、とんでもないことになる世界です。


でも、だからと言って、「つまらない世界」かと言えば、私が52年間生きてみた実感としては「面白い世界」です。

どう、面白いかというと・・・・・

まずは、自分の成長を目指しましょう。

皆さんも「初めて自転車に乗られたとき」「初めて25m泳げたとき」「初めてピアノが弾けたとき」、「英検3級に合格したとき」・・・などの時に、達成感がありませんでしたか?

その達成感は、嬉しいですよね?

そうです。

この世界では仕事をしながら、あるいは仕事を通じて、自分の成長が望めます。




最初は「チャチ」な仕事しか任されませんが、そういう「チャチ」な仕事をやるにも「人柄」がでます。(必ず出ます!)

「きっちり」とこなすタイプ。

「雑に」終わらせてしまうタイプ。

「自分なりに工夫をこらす」タイプ等など。

はっきり言って、どんな仕事でも、それから得るものはありますが、それに気づくか、気づかないかは自分しだいです。

レンガを積むにも、「ただレンガを積んでいる」と思うのか、「私は、今、みんなが楽しめる学校の校舎のレンガを積んでいるんだ」と思うかは、個人次第です。



これから原生林や砂漠や海原に出て、自分の手で草をかったり、オアシスを探したり、オールで水をかいたりしないと、ほかの誰もやってくれません。

あなたの人生を動かすのは、あなた自身です。

あなたの人生の「ご主人様」はあなた自身です。

あなたの人生の責任を誰もとってはくれません。

あなたの人生の責任を取るのは、あなた自身です。




「おちこぼれ」「フリーター」「ひきこもり」「プータロー」・・・・など等、世間があなたを何と呼ぶかなんて、全然、気にしなくていいです。

大丈夫。

あなたがそれで満足して、他人に迷惑をかけないのなら、堂々と生きてください。

そして、昨日よりも少しだけ(ほんのチョットだけ)良い今日を過ごすようにしましょう。

現代では「ひきこもり」でもネットを通じて社会貢献できます。

(ここだけの話しだけど、僕は「週末ひきこもり」を自負していますし、会社を転々としているフリーターを30年やっています。)



繰り返しますが、この世の中は不合理で、不平等で、不条理で、無念なことがたくさんあります。

それをどう受け止めるかは、あなた次第です。

そして、成人式で感じた思いを大切にして、未来へ向かっていきましょう。


ぐだぐだしながら過ごしても80年。

はつらつに過ごしても80年。

淀まずに、スカッといきましょう!!

そして、自分の成長を感じられることをやってみましょう。

達成感を感じていきましょう。(たとえば「ブログで毎日、日記を100日書いた記念日」でもいいです。)



もう一度・・・・

ようこそ!成人の世界へ。

ここは「面白い世界」です。







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posted by ホーライ at 20:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月17日

モニターの仕事(治験を担当するモニターは「背広を着た科学者」だ。)

科学者になったからといって(と言うか、人間はいつから「科学者」と言うのだろう?)、成功するとは言えない。

科学者になっても画期的な科学技術の発見につながるどころか、従来の延長線上のテクニックの改良に留まることが多い。

それでも、科学者はその科学的冒険を止めない。

特に新薬の開発に携わっている科学者は「諦めが悪い」ほうが成功する。

1万個に1個、あるかないかの新薬のシーズを探している基礎研究者だけではなく、臨床開発に関係している「現場」の科学者も同様だ。

諦めの早い科学者は日の目を見ない。


治験を担当するモニターは「背広を着た科学者」だ。


誰もが寝静まった深夜、研究室でフラスコを振っている研究者は、仮眠室で2時間寝ると、再び起きて、モノが結晶化しているか観に行く。

30度を超える炎天下、汗を流しながら医療機関に足を運ぶモニターは、外来受付で少し涼み、汗がひいてから医師に会いにいく。


基礎研究だろうが臨床試験だろうが、どんなに画期的な新薬の種でも、この過程は外せない。

アリセプトにしろ、メバロチンにしろ、プログラフにしろ、タケプロンにしろ、それは変わらない。

科学者の寝不足とモニターの体力が無いと新薬は実用化されない。


「こんなのモノにならならないよね」と物わかりの「良い」モニターは成功しない。

「これは絶対、成功するはずだ」と悪あがきするモニターは成功する。


それは誰かがやらないといけない「仕事」なのだ。

新薬の開発にはクールでタフなモニターが必要だ。



全国にモニターは何人いるだろう?


CRO協会に所属している会社だけでも2009年には全従業員が1万人いるので、その半分がモニターとして5千人。

製薬会社も考えると7千人近くはいるだろう。


7千分の1でいいと考えるか、7千人のトップの1人になると考えるか。

どちらで考えても、あなたはあなたひとりだ。



繰り返すけれど、モニターの仕事は新薬開発には欠かせない仕事だ。

汗がひいたら、また、次の病院へ行こう。

そこに患者が待っている。

未来の患者も。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


●モニタリングとは? モニターの仕事とは?
(日本CRO協会のホームページより)


臨床試験が、関連法規や実施計画書に従って実施、記録、報告されていること、また被験者さんの人権・安全・福祉が保護されていることを保証する業務です。

具体的には、臨床試験に参加する医療機関を訪問して担当医師と面談し、臨床試験の目的やデザイン、方法、統計学的な考察、組織・責任体制を記載した実施計画書の説明を行います。

また、臨床試験の進捗状況を調べ、症例報告書の記入依頼・回収・精査までを行います。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





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2011年03月14日

東北地方太平洋沖地震の被災者義援金について

■■■楽天★東北地方太平洋沖地震の被災者義援金について


東北地方で発生した地震及び津波による被災者とそのご家族に対して、心からお見舞いを申し上げます。

楽天銀行では、被災者の方々に対する義援金受付口座を開設いたしました。

寄付していただいた義援金は日本赤十字社を通じて、全額、被災者救済のための救援活動及び復興支援活動等資金として贈呈いたします。

なお、義援金の受付期間は、本日より2011年5月31日(火)までを予定しております。



詳細はこちら
  ↓
http://www.rakuten-bank.co.jp/company/contribution/110313/?scid=wi_blg_11031302




■■■NHK、中央共同募金会、日本赤十字社、NHK厚生文化事業団


「東北関東大震災義援金」の受付について



NHK、中央共同募金会、日本赤十字社、NHK厚生文化事業団では、「東北関東大震災」により被災された方々に対して、以下の要領で義援金の受付を行います。

1.主催  NHK、中央共同募金会、日本赤十字社、NHK厚生文化事業団

2.実施期間  平成23年3月14日(月)〜 9月30日(金)【201日間】

3.受付方法 
(1) 窓口受付
・全国のNHK放送局の窓口
・中央および各都道府県共同募金会
・日本赤十字社本社および各都道府県支部
※ただし大きな被害を受けている、青森県、岩手県、秋田県、山形県、宮城県、福島県については、受付体制が整い次第窓口を開設いたします。

(2) 郵便振替
振替口座
 (口座名義)
 中央共同募金会(ちゅうおうきょうどうぼきんかい)
 東北関東大震災義援金(とうほくかんとうだいしんさいぎえんきん)
 (口座番号) 00170-6-518

 (口座名義)
 日本赤十字社(にっぽんせきじゅうじしゃ)
 東北関東大震災義援金(とうほくかんとうだいしんさいぎえんきん)
 (口座番号) 00140-8-507

 ※いずれも通信欄に「東北関東大震災義援金」と記入すると、手数料は無料です。


4.そ の 他   募集は現金に限ります。物品は、受付できません。

5.問い合わせ
中央共同募金会 電話03−3581−3846
日本赤十字社 電話03―3437―7081


詳細はこちら
  ↓
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/otherpress/110314-001.html





■■■日本テレビ24時間テレビ★東日本大地震 緊急募金受け付け中


詳細はこちら
  ↓
https://cr.ntv.co.jp/24htv/charity/





■■■<フジネットワーク募金> 緊急募金

東北地方太平洋沖地震被災地救援

平成23年3月11日(金)14時46分頃、三陸沖を震源地とするマグニチュード9.0の大地震が発生しました。

こうした状況を踏まえ、フジネットワーク募金では被災した多くの方を救うために「東北地方太平洋沖地震被災地救援募金」を受け付けています。

皆さまのご協力をどうぞお願いいたします。


詳細はこちら
  ↓
http://www.fujitv.co.jp/kokuchi/110313.html





■■■Yahoo!インターネット募金■緊急災害募金

2011年3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」などの被害に対して、Yahoo!基金は義援金による支援を実施いたします。


詳細はこちら
  ↓
http://volunteer.yahoo.co.jp/donation/detail/1630001/index.html


posted by ホーライ at 17:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月05日

ロジック!ロジック!ロジック!

お上に頼らない。

護送船団はやめよう。


たとえば治験薬を宅配業者に輸送してもらうことがまだ一般的に行われていなかった時、ある製薬会社ではこう考えた。

「既に承認されている新薬は宅配便を使えるのだから治験薬だっていいのではないか?何故、ダメなんだろう?」

その製薬会社のメンバー達がみんなで考えた。

「治験薬は承認された薬と違って、まだ安全性などが確立していないので、取り扱いを厳重にしなければならないからじゃないか?」

「既承認薬でも取り扱いには注意が必要だよね。」

「だから、より厳重にってことじゃないの?」

「だったら、宅配業者に輸送を依頼することは取扱い上の安全性に問題があるというの?」

「そう考えているんじゃないかな・・・・・。」

「OK.それなら宅配業者に運ぶ時のSOPを作ったり、宅配業者との契約や輸送するドライバーの人たちへのトレーニングすればいいとしよう。」

「モニターが運ぶのだって、電車の網棚に忘れたり、タクシーの中に忘れたり、ということがありうるからね。それを考えると、実はモニターが運ぶより確実かも。」

「冷凍保存のように温度管理が厳しい治験薬では、モニターが運ぶの間、温度を一定にするのが大変だったよね。発砲スチロールや保冷箱にドライアイスをいれたりさ。」

「そんな治験薬でも宅配業者ならクール便とかあるから、これまたモニターが運ぶより温度管理ができるしね。」

・・・・・・・というような検討会があり、さっさと、宅配業者に治験薬を運んでもらうことにした。

もちろん、当局に聴くまでもない、ということで。



他にもこんな例があった。

最近の製薬協のシンポジウムで「安全性データの収集について」みたいなものがあったが、それよりもはるか以前に、有害事象と治験薬との因果関係を「あり」と「なし」だけをCRFに記載するデザインを採用した。

彼らはこう考えた。

「有害事象の因果関係ってさ、1)因果関係あり  2)関連あるかもしれない   3)多分関連無し  4)関連無し の4段階で評価判定しているけれどさ、こんなに細かく判定してもらう必要があるの?」

「統計処理するときは、最終的に「関連無し」と「関連無し以外」の2つにまとめるんだから、CRFの記載も1)関連あり と2)関連なし だけにしよう。」

「併用薬剤の剤型とかも不要じゃない?」

「そうだね。名前だけ分かればいいよ。併用薬剤の剤型なんて統計解析の対象になってないし。」

「あとさ、ドクターのコメント欄を極力減らそうよ。有害事象が「関連無し」と判断した時に、今までコメントを貰っていたけれど、意味がないものが多い。これもやめよう。」

・・・・・・とかね。


僕たちの仕事は最終的に当局が承認の判断をするので、つい当局の顔色をうかがいながら仕事をすることが少なくない。

許認可権限をもっている役所に、まず、おうかがいを立てて、それからでないと改革ができない、というふうになっていない?

自分たちでロジックを組み立てて、それが正しいと思ったら、それで押し通せばいいのだ。



たとえば、こんなこともあった。

ある製薬会社に実地調査が入った時に、「監査部門」が「臨床開発本部長」の下に、臨床開発部門と並列してあった。

それを見た当局の若手担当官が「監査部門」の独立性に疑問を呈した。

そこで、すぐにその製薬会社は監査部門を社長直結にした。

一方で、別の会社では、同じように監査部門が開発本部長の下に、臨床開発部門と並列にあり、そのことを当局から指摘されたが、「監査はモニタリング部門に直接関係していないので、独立性は十分保たれている」という会社のコメントを出した。

また、後日、別の治験薬の実地調査で同様のことを当局の別の担当官から指摘されたが、これにも上記のコメントを出して、監査部門を移動させることはなかった。

さらにさらに、また別の治験薬の実地調査が有った時に、その製薬会社は先手をとり、指摘されるまえに実地調査の開始のプレゼンで監査部門は独立していることを説明したら、担当官から、「あ、それはもういいです。」となった。




僕たちはお上に頼りすぎて、自分たちで考えることができなくなったのではないだろうか?

考えることを放棄した、と言ってもいい。ということは、つまり「責任」も放棄したことになる。

「事前に当局におうかがいを立て、おすみつきをもらいました」という状態は、だから、その件に関して問題が発生しても「いや、事前に許可をもらいましたから」という発言につながりやすい。

そこには「当局がいいと言ったからやったのであって、私たちには責任がありません」というふうに僕には見える。



自分たちでロジックを組み立てて、それが第三者から見ても成立すると判断したら、どんどん改革していけばいい。

僕たちは新入社員じゃないのだから、いちいち上に(お上に)おうかがい立てない。


科学的に妥当か、倫理的か、プロセスも正しいか、被験者の福祉を侵していないか、データの信頼性を損なうことはないか、そういうったことで判断すればいいのだ。

そろそろ、そういう時代に入らないと、日本の治験環境は『韓国』の10年前と変わらない、と言われることになる。

だから、ロジック!ロジック!ロジック!




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2010年11月13日

糖尿病との戦い インスリンの歴史

『糖尿病』は人類と同じだけの歴史がある病気だ。
古代エジプトの遺跡にも古代中国の医学書にも載っている。
古代中国の医学書には尿の糖を検出する面白い方法が書かれている。
患者は広く平らなレンガに放尿し、アリが来るかどうかを見るというものだ。

今日ではアメリカで1800万人以上が、日本では240万人が糖尿病である。

今では、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが無くなっているか、利用できなくなることが糖尿病の原因であることが分かっている。

しかし、19世紀後半まで膵臓の機能についてはあまりよく知られていなかった。
1869年、23歳の学生ポール・ランゲルハンスは、膵臓には100万個もの小さな島状組織が含まれていることを観察した。(機能はこの時点では不明。)

糖尿病と膵臓の関係の最初の証拠は1889年に得られた。
ストラスブルグ大学のオスカー・ミンコフスキーとジョセフ・F・メーリングが驚くべき発見をした。
イヌの膵臓を外科的に切除してみたら、24時間後にイヌの尿が5%も糖を含み、ひどい糖尿病になっているのを見た。(この時点では、ランゲルハンス島との関係は不明。)

1901年、ジョンズ・ホプキンス大学のユージン・オピーは、死んだばかりの糖尿病患者の膵臓に埋まっている小球状の組織で生産され内分泌されるものとして「インスリン」と命名した。
(インスリンの機能はこの時点では不明。)


糖尿病治療で圧倒的に重要なブレークスルーは、1921年、トロント大学フレデリック・パンティングによるインスリンの発見である。
これは実際、20世紀最大の医学的ブレークスルーとして、ペニシリンやポリオワクチンの発見に並ぶものである。

パンティングは試行錯誤のうえ、イヌの膵臓分泌腺の内分泌に関する部分の活性抽出物を得ることに成功する。
彼はこの抽出物を糖尿病のイヌに注射した。結果は見事、血糖の減少だった。

1921年から22年にかけて、パンティングらは膵臓の内分泌について最初の論文を発表している。

イーライリリーの生化学研究部長ジョージ・クロウズは、パンティングらの研究報告を聞いた。
クロウズは講演のあと、インスリンの生産について協力をパンティングらにほのめかしたが、研究者らは利益追求の単一企業との関係を好まなかった。

だがクロウズは諦めなかった。
彼と社長のイーライ・リリー(創業者の孫)は、トロント大学を訪問し、説得。
大学側はイーライリリー社に1年間、アメリカでインスリンを製造販売する専属ライセンスを与えることに同意する。

人類で最初にインスリンで治療されたのは、トロント総合病院で重症の少年、レオナルド・トンプソンであり、彼の症状はすぐに改善され始めた。

1923年、パンティングはノーベル賞を受賞する。

イーライリリーは初めて商業的にインスリンを提供できる製薬会社になった。

1950年代には、もうひとつのブレークスルーが起き、糖尿病分野の生化学者に2つ目のノーベル賞が与えられることになる。

イギリスのフレデリック・サンガーが1958年、インスリン分子のアミノ酸配列を正確に決定した。
サンガーの発見は、タンパク質の分子構造を決定した最初の例である。

さらに、1979年にはリリーの研究陣が組換えDNA技術により生物学的に活性なヒトインスリンの結晶を発表した。
この結晶は組換え遺伝子で作られたタンパク質の世界最初の結晶である。

世界最初のインスリン製造業者になって60年、イーライリリーはパンティングとサンガーによる大発見以来、最大のブレークスルーを成し遂げる。
1982年にFDAは、『ヒュームリン』と呼ばれる世界初の組換えヒトインスリンを承認した。
この薬はまた、組換えDNA技術によって作られた最初の人間用医薬品である。

・・・・・・と、こんなに華々しく、凄い歴史を持つ、リリー社のインスリン製剤なのだが、まだ、勢いをとめない。

インスリンそのものを改善する方針をリリー社は考えた。
インスリンよりも即効性がある物質を求めたのだ。
全く新しいインスリンだ。

リリー社の研究陣はインスリンのタンパク構造を変換していくことにした。

本当に、『本物』よりもよいインスリンなんて、あるのだろうか?



長くなったので、この続きは来週へ。




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2010年11月06日

世界を変えた喘息薬

本題に入る前の情報提供です。


★産業革新機構が新薬開発に取り組むベンチャー企業に出資 ←ホーライ一押しニュース
         ↓
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=32748

うれしいね。これからもベンチャー企業に力を貸してあげて欲しい。


ここからが本題。

我が家の一番下のこどもは娘で、小さい時から喘息とアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症に悩まされている。
そんな末娘だが、中学生の時は合唱団、高校ではブラスバンド部のトランペットを吹いて、大学ではオーケストラでホルンを吹いている。

鼻炎と喘息を持ちながらホルンを吹くというのは、普通なら大変だ。
だけど、彼女には強い味方がある。

吸収用のステロイド剤だ。(喘息用)

そんな吸入用ステロイド剤にグラクソ・スミスクラインの「アドエア」がある。
この医薬品ができるまでには、多くのドラマと歴史がある。

1816年、フランス人医師レーヌ・レネックが聴診器を発明し、医学の発展に大きな貢献をした。
この発明により、喘息の特徴であるゼイゼイ鳴る音を聴くことができるようになった。

20世紀に入ってから喘息は外部の様々な因子によって引き起こされることが分かった。
そして、喘息とは複数の原因を持つ肉体的な疾患だと結論づけた。

喘息治療の大きなブレイクスルーは、20世紀に変わる頃に起こる。
フィラデルフィアの医師、ソロモン・ソリス・コーエンが喘息発作の治療に副腎抽出物を使い効果を確かめた。

高峰譲吉が同じころ、ウシの副腎髄質からアドレナリンを精製単離した。(アドレナリンの名づけの親は高峰譲吉・・・タカジアズターゼの発見もやっているし、三共の初代社長(現在、第一三共)でもある。)


このアドレナリンはパーク・デービス社が「アドレナリン」の商品名で製造、販売を始めた。
これは20世紀最初のブロッグバスターである。

このアドレナリンが喘息の激しい発作に対し使われていた。(副作用も多かった。)


そもそも気道と閉塞を起こしている喘息発作は、文字通り息を求めてあえぐ状態である。


喘息の薬は、世紀(19から20への)の変わり目以来、ほろんど進歩がなかった。
しかし、1969年、グラクソがイギリスで「ベントリン(アルブテロール)」を発売する。
これは気管支拡張剤であるが、ブレークスルー医薬品とされた。
最初の選択的β2アゴニストであるために得た名誉である。(副作用がかなり減った。)

ベントリンは気管支の平滑筋を弛緩することにより気道を拡張する。


グラクソは他にも抗炎症薬の分野でも長い歴史があった。
1960年代にはコルチコステロイドの局所適用製剤を作った。
ベントリン発売の3年後、プロピオン酸ベクロメタゾンという抗炎症ステロイドの呼吸器疾患への局所投与を研究していた。

当時の研究所長はデビッド・ジャック卿であった。
独創的なジャックは、ステロイドが皮膚の炎症に居所投与で使えるなら、気道の炎症にも使えるかもしれないという、当時、まったく新しいアイデアにたどり着く。

プロピオン酸ベクロメタゾンを吸入剤として使い、効果を確かめた。
こうして、グラクソは、β2アゴニストの気管支拡張薬に加えて、最初の吸入コルチコステロイドに到達した。

その後、気管支に長時間留まるようにサルメテロールを合成した。


また、グラクソの研究・経営陣は1日2回という長時間作用型の薬を開発するというアイデアを追求していた。
長時間作用型βアゴニストのサルメテロールとステロイド剤で治療している患者を、1つの配合剤で治そうと戦略を固めた。

ここまでで重要なことは、優秀な(あるいは天才的な)研究者の弛まぬ努力とアイデアを持続させるといことだ。



●配合剤の挑戦


配合剤を作るということは、製薬学的なチャレンジでもある。
薬を混ぜるということは、いつも簡単というわけではない。
なぜなら、個々の成分は違った性質、異なる安定性のプロフィールを持っているからだ。

2つを1つにするとき、両薬の安定性を維持するのに、大きな課題を抱えている。

グラクソの研究者のタチ・ヤマダは言っている「釣り餌をいかに早く見限るか、人より早く判断できることにプライドを持っている人々がいるようです。
しかし、製薬業界では、彼らのようにすれば、新しい薬のパイプラインに何もなくなってしまうだろう。難しいのは、勝ち率が有利でないとき、いつまで魚釣りを続けているかを見極めることだ。」

いずれにしても、グラクソはそれにチャレンジし、そして成功した。

サルメテロールとフルカチゾンを同時に喘息患者に吸入させると、気道の周りの筋肉を弛緩させながら、フルカチゾンが同時に炎症を抑えた。

アドエア(両者の配合剤)は、2001年4月、アメリカで販売された。

我が家の末娘は喘息が悪化するとアドエアディスカスを利用している。
みるみるうちに咳が止まるのが分かる。

世界の喘息治療を根本的に変えてしまった薬だ。


多くの発想豊かな研究者と堅実なプランニング担当者と経営陣の忍耐を要求される長い時間を乗り越えて、患者の前に現れた福音。


さ、次はあなたです。



●アドエア
 ↓
http://glaxosmithkline.co.jp/healthcare/medicine/adoair/index.html


●ディスカス
 ↓
http://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2007_01/P1000410.html





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2010年10月30日

■バイオベンチャーを育てる 奇跡のバイオ医薬品「レミケード」とiPad

レミケードはジョンソン・エンド・ジョンソンの子会社セントコアによって作られた奇跡の医薬品で、1998年、最初にクローン病治療薬として承認された。
今日、レミケードはさらにリウマチ、乾癬、潰瘍性大腸炎、強直性脊椎炎など、多くの病気に使われている。


●レミケード ⇒ http://www.riumachi21.info/patient/antibody.html



1つの薬がなぜ、そんなに多くの違った病気に効くのか?
レミケードを作った研究者は、ある病気の根底にある原因が、関係なさそうに見える病気のそれと共通していることを発見した。

先に述べた病気はすべて、免疫介在性炎症疾患(IMID)と呼ばれ、普通に体内にある物質や組織に対して免疫反応が起きてしまう病気である。
この種の病気で共通に関与しているものはサイトカインである。

サイトカインの一種に腫瘍壊死因子(TNF)がある。
TNFは、もともと健常人の体内で炎症や免疫活動に関係しているタンパク質だ。
しかし、これが過剰に生産されると有害となり、特に慢性炎症状態や自己免疫疾患などでは非常によくない働きをする。
だから、TNFの作用を抑えることは、炎症反応を抑えることになる。

こういう話は僕が大学を卒業して働き始めた頃に、出始めた夢物語だった。
原理は分かっているけれど、じゃ、どうすればコントロールできるのか、暗中模索だった。

TNFの抑制はバイオテクノロジー産業での飛躍的な進歩によって可能になった。
ほんの10年前のころだ。


セントコア社は1979年、生化学者フーベルト・シューメーカー(28歳)とベンチャー投資家マイケル・ウォールの2人によって設立された。

バイオ企業を興すにはいい時期だった。
セントコアが設立された頃、ウォール街の投資家たちはバイオテクノロジー産業を、可能性を秘めた大鉱脈とみなしていた。

同じ頃、1975年にビル・ゲイツがマイクロソフトを創業し、1976年にスティーブ・ジョブスがアップルを設立している。


セントコアは、モノクローナル抗体が多くの病気を特異的に治療・診断するのに使われ得るという前提で設立された。

1982年にセントコアは初めての製品として、狂犬病ウィルスを検出する診断キットを発売する。

ハーラン・ワイスマンはジョンズ・ホプキンス大学医学部の助教授から1990年にセントコアに入る。
90年代にセントコアの臨床開発部門の責任者を務め、後に研究開発全体の責任者になった。

89年夏、ワイスマンはヘッドハンターからの電話で、セントコアの名前を聞かされた。「そんな会社は聞いたことがない」とワイスマンは言った。
「ジョンズ・ホプキンスでの仕事にたいへん満足している」とヘッドハンターに言った。
ところが「ちょっとだけでいいので、そこの人たちと会ってみないか」と勧められる。


「僕は、そんな話、しばらく放っていたんだけれど、10月になってセントコアに行きました。
そこで会社の重役や研究者と会って、すっかりセントコアが気に入ってしまった。
以前はジョンズ・ホプキンスのような、名声ある最先端のアカデミアの研究施設にいれば、何か面白いことにぶつかると信じていました。
セントコアの人たちに会ってみると、そのエネルギー、わくわくした感じ、そして情熱が信じがたいものでした。
まるでサイエンスに常に革命が起こっているように見えるほどでした。」


そうなのだ。これなのだ。(やっと言いたいとこまでやってきた。)

熱く語る人がいなかったら、相手に情熱なんて伝染しない。


アップルを作ったスティーブ・ジョブスもその『情熱と夢を語る熱いやつ』だけで、優秀な天才技術者と資金を集める天才だった。

今、日本で、製薬関係のバイオベンチャー企業はどれだけあるのだろうか?

(参考 ⇒ http://tng.blog37.fc2.com/blog-entry-246.html )



●大阪ではこんなこともやっている。
    ↓
http://www.drugtech-patent.jp/j/

大阪商工会議所がシーズを持っている人と開発できる人を結び付けてくれる仕組みだ。


●さらに大阪では、こんところでも頑張っている。
    ↓
http://www.osaka-bio.jp/chiken/index.html



●国立がん研究センターも頑張ってくれそうだ。
    ↓
http://mainichi.jp/select/science/news/20101022ddm008040068000c.html


●九州大学も負けていない。
    ↓
http://sankei.jp.msn.com/region/kyushu/fukuoka/101022/fkk1010220315002-n1.htm


このようなネットワークやベンチャー企業は熱い魂を持っている数人の人たちで成り立っていると言ってよい。

みんなも新薬にかける熱い夢を語ってください。
その熱い魂が天才研究者の心を掴み、ベンチャー投資家から資金を集めてくれます。

次なるブロッグバスターを自力で開発できなかったビッグファーマが、この手のバイオベンチャーを吸収・合併している昨今。

あなたもバイオベンチャーの社長として大学で眠っているシーズを発掘し、ベンチャー投資家を説得して、夢の新薬を世の中に出してみませんか?

え?ムリだって?

そう思うなら、これを見て。
   ↓
http://www.papa-okusuri.jp/

(あるいは、こちら ⇒ http://blog.goo.ne.jp/kobeyanikkinew/e/278ab22554d15bd158aa3c2432d84fbe )

(さらに、こちら ⇒小さな命が呼ぶとき ⇒ http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4796677844/horaihonoyomu-22

7月24日公開のハリソン・フォード&ブレンダン・ブレイザー主演『小さな命が呼ぶとき』のモデル自身が明かす、感動の手記。
4万人に1人しか発症しないといわれる「ポンペ病」=遺伝子の先天代謝異常であるこの病気には、薬がない。筋肉が衰え、成人するまでに死に至るという難病である。
ポンペ病と診断されたわが子2人を救うため、ジョン・F・クローリーは知識もないままに医療界に飛び込んだ。新薬を開発するために。
バイオテック・ベンチャーを起ち上げ、自らの力で奇跡を起こした男の半生と家族の絆を綴った感涙の物語。



事実、僕の20年前の同僚が、何人もベンチャーの社長や取締役に収まっている。

どう、やる気になってみた?

え?僕? 人に言うばかりで自分はしないの? 僕はホーライ製薬があるので・・・・・・。




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2010年10月23日

■例えば、韓国、中国の治験データが無条件で使えたら?

現在、治験環境が急速に改善されつつある韓国や中国。
もし、これらの韓国や中国の治験データが無条件で、日本でも使えるようになったら、日本の治験環境はどうなるだろうか?

まず、患者の立場で考えるなら、どこの国のデータで新薬が承認されようが、構わない。
どこの国のデータを使ってもいいから、とにかく1日でも早く治療薬が欲しい、というのが患者の立場でないだろうか。
たとえば、僕や家族が「がん」になり、アメリカなどで使われている有効な抗がん剤が、日本でまだ承認されていなかったら、まず、間違いなく、どこの国の治験データだろうと構わないから、さっさと日本で使えるようにしろ!と叫びたくなり、厚生労働省や製薬会社へ圧力をかけるだろう。

ICH−GCPが日本に入ってきた時、日本の治験の空洞化が問題視された。(今でも、あまり改善されていにない。)
なぜ、日本の治験が空洞化すると問題なのか?

実は、当時から僕はこの「日本の治験の空洞化」の問題がよく分からなかった。
たとえば、日本の製薬会社が海外で治験を進めることが多くなり、海外での販売が先になる、というものがあった(ドラッグラグの問題)。
これは、確かに問題だが、もし、海外での治験データが完全に利用できるようになったら、こういう問題は消える。

「治験の空洞化」は「臨床試験の空洞化」に繋がり、日本の科学力低下にも繋がり、大学の基礎試験⇒臨床への応用、という流れが停滞する、というのも、当時出された「問題」のひとつだった。

でも、これまた、患者の立場なら、新薬が日本の大学や製薬企業での研究から生まれようが、アメリカやフランス、イギリス、ドイツ、スイス、ベルギー等で開発されたものだろうと、気にならない。

臨床薬理等の医師による日本での臨床試験の空洞化が問題というのは、大学や研究機関内の自分たちで何とかしろ、と言いたくなる。


もし、韓国や中国等のモンゴリアンの国、地方のデータを相互利用可能となったら、僕が今、勤めているCRO業界もオチオチしていられない。
日本での治験が少なくなるのだから、CROの受託数も必然的に減ってくる。

だから、現在、まさにそういうことを考慮して、中国や韓国に進出しているCROも多い。

こういったパラダイムシフトは、企業の思惑とは全く別のところから発生することもある。

「韓国や中国等のモンゴリアンの国、地方のデータを相互利用可能」なんて、あり得ない、という人もいるだろう。
でも、「ブリッジ試験」が登場した当時にも、「そんなことムリだ」と言っていた人も多かった(恩恵をこうむる外資系にいながら)。
日本と韓国、中国とは医療環境も生活環境も違うから、無理です、というのも全く説得力が無いように思う。
下戸の僕と「ザル」の日本人のAさんより、やっぱり下戸の中国人のBさんとのほうが、僕と薬の効き方、代謝のされ方は近い。
ベジタリアンの日本人と肉食系の日本人どうしより、ベジタリアンの日本人と同じくベジタリアンの韓国人のほうが、生活環境は近い。


そもそも、アングロサクソンだろうがゲルマンだろうが、モンゴリアンだろうが、アフリカンだろうが、ヒスパニックだろうが、なんでもありの人種の「るつぼ」のアメリカで治験が成り立っているのだ。
アメリカ在中の時に「がん」になり、アメリカの病院に行ったら、「日本人のデータがないから」といって治療できない、となるだろうか?
それは、ならない。


日本で「命」に関わることが、政治的な判断・権利・権限や一部の企業(しかも製薬企業)の思惑で、失われるようでは、何のための「医薬品業界」なのか、分からない。

大事なのは患者の判断・権利・権限なのだ。







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2010年10月17日

■病気に対する偏見、誤解

病気に対する偏見や誤解は多い。


●例えば、ハンセン病。
   ↓
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/01/h0131-5/histry.html


●例えば、AIDS
   ↓
http://aids-hiv.jp/gakusyuu/sabetu.html


●例えば、うつ病や統合失調症
   ↓
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/423365.html



病気への理解が、一般市民よりも高いと思われる「医療従事者」や「医薬品業界」の人たちですら、偏見や誤解があるのが悲しい。
僕もうつ病なので、そのあたりは他人ごとではなく、当事者として苦しむことが多い。
最近は多少、理解も進んでいるが、それでもまだ誤解されている点がある。


うつ病の僕に「気合いだ」というのは「糖尿病ぐらい、気合いで治せ」というのと同じでムリだ。

うつ病の僕に「心技体を鍛えろ」というのは「肝がんだろうけれど、心技体を鍛えて治せ」というのと同じでムリだ。

うつ病の僕に「気の持ちようだ」というのは、「高血圧は気の持ちようで治る」とうのと同じでムリだ。

うつ病の僕に「やる気の問題だ」というのは、「肺炎はやる気の問題だ」というのと同じでムリだ。



うつ病は「糖尿病」「肝がん」「高血圧」「肺炎」等と同じで「病気」なのだ。
うつ病は病気だから薬だってある。

原因もほぼ同定されている(脳内でのセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンが減っている)。

うつ病以上に誤解されているのが「そう病」だろう。
周囲も「そう病」だという認識が少ない。
病気というよりも、「性格」「キャラクター」として誤解されている。



●病気の特徴や実態が正しく理解されていない「そううつ病」
   ↓
https://www.lilly.co.jp/pressrelease/2010/news_2010_23.aspx



うつ病の苦しさは(うつ病に限らず)、病気になった人にしか分からない。

「重たい物が心に蓋をしている」というのが、僕の感じだ。
眼も半分ぐらいしか開けられない。
いつもやっていることが簡単にできなくなる。
睡眠障害もあり、睡眠薬が欠かせない。
何をやっても楽しくない。
人と話すのもおっくうだ。
いつもなら、楽しみに行く、友人たちとの飲み会も、ドタキャンする。

朝、起きたとき、全身に力が入らない。
立ち上がることすら、気力を振り絞る。

うつ病が悪化すると、活動も鈍くなる。

治療を続けていていも、一進一退するので、「本当に治るのだろうか?」と不安になり、絶望感が襲ってくることもある。

周囲から言われるまでもなく、当然、自分でも早く治りたい。

「体調管理をきちんとしろ」と言う人もいるが、もちろん、僕は僕なりに精一杯、体調管理している(何しろ苦しいのだ。そこから早く脱却したいと当然、思っているのだから。)

好き好んで会社を休んでいるわけではない。

僕だって元気よく会社に行って、一日、充実した会社生活を送りたい。



僕たち、医薬品業界ですら、病気の誤解について、そうなのだから、一般社会ではもっと誤解があることだろう。

まずは、僕たち、医薬品業界の人たちから、理解して、とまでは言わないから、せめて誤解しないで、欲しい。


病気は病気で、治療すべきものなのだ。

そして、そのために僕たちがいる。





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2010年10月09日

■致死率100%の病

それは「人間」という病だ。

長いか短いか、それぞれだが、長くてもせいぜい100年程度だ。
僕の余命は、あと20年位だ。

それを知ったうえで(普通、知っているが)、生きていこう。

後悔しないように次の10項目をチェックしよう。


▼主体的に生きているか?

この人生の主人はあなただ。あなたの人生は全て、あなたが決めたほうがいい。
誰かに振り回されていないか?
自分の人生に100%責任を持っているだろうか?



▼出来事を最大限に活用しているか?

あなたは景気をコントロールできない。親や上司の言動もコントロールできない。
しかし、それらの状況に自分がどう反応するかということなら、コントロールできる。
人生で何が起ころうとも、その出来事を最大限に活用することを考えるべきだ。



▼『夢』を持っているか? そこに向かっているか?

あなたの夢は何だろう?そもそも夢を持っているだろうか?
そして、その夢に向かって歩んでいるだろうか?
無為に過ごせるほど、人生には余裕がない。



▼仕事にやりがいを感じているか?

やりがいを感じていない。それどころか、苦しいだけだ、ということになっていないだろうか?
多少の苦しさはどんな仕事でもついて回るが、そこには、必ず「やりがい」も付随していないと、辛い。
下手すると、ある人から人格攻撃されているような場合もある。
自分が「死んでいる」と思ったら、今の仕事を続けていいのか、考え直したほうがいい。



▼自分は重要な存在と思っているか?

あなたの、この世の中への貢献はこの上なく重要だ。
その他の日々の活動も、全て他の人の生活に価値を創造している。

あなたは社会から切り離されて生きているわけではない。
あなたの行動は周囲の人たちだけに影響を及ぼしているのではない。
あなたの全ての行動の影響は、地球上の全ての人と物に影響を与えている。
(間違いなく)

重要でない人なんて、この世にひとりもいない。



▼自分を信じているか?

あなたにとっての壁は何だろう?
あなたは一体、自分の力の何分の1のところに壁を置いてしまっているのだろうか?
そして、それは本当にあるのだろうか?

かつて人間の百メートル走の人類の限界は十秒だと言われていた。
ところが、手動による記録とは言え、ボブ・ヘイズが1963年、九秒九を記録すると、次々に九秒台の選手が現れた。
(ウサイン・ボルトは北京オリンピックで「欽ちゃんバシリ」しながら、ゴールして9秒69を出した。)

自分の可能性に限界を設けてはいけない。たとえ誰が何と言っても、これまで誰があなたに何と言ってきたのだとしても、あなたにはもっと可能性がある。

あなたは一生、壁の前で立ち尽くしているのだろうか?
あなたが乗り超えれば、きっと他の人たちもいっせいにあとに続くだろう。



▼自分が主人公の物語を脚本しよう

あなたは「明日のあなた」にどんなイメージを持っていますか?
明るく、前向きで幸せなイメージですか?

今、ここにいるあなたは、昨日までイメージしてきた通りのあなたなのです。
私たちは誰でも、幸せになれることも事実です。

仕事や恋愛が充実していて魅力的な人は、心の中に「明るく、幸せなストーリー(ハッピーストーリー)」を描いています。
たとえ、それが単なる希望や願いであったとしても、心の中に「ハッピーストーリー」を描いている人は、表情も明るく、前向きで、印象も魅力的であることは言うまでもありません。

仕事は自己イメージを創り、あなたの生きる道を「ハッピーストーリー」に描いてゆくのはもってこいのツールです。



▼「毎日、目標を立てる」

「今日は、これからの人生の最初の日だ」

あなたはこの格言を聞いたことがあるかもしれません。
しかし、その意味を真剣に考えたことがあるだろうか?

毎朝、目覚めたときに、新しい1日を喜んで迎えるようにしたい。
全ての瞬間を最大限に生かすためにどうすればいいかを考えよう。
1日の計画を立て、自分を磨きながら、全ての瞬間を充実させて生きよう。

あなたにとって決して悔いのない選択ができるはずだ。



▼くじけない心を持っているか?

幸せな人生を送るためには、自尊心を育てることが欠かせない。
ここで言う自尊心は「ブライド」のことではなく、人間としての尊厳を大切にする気持ちのことである。

自尊心は人生を構築するための土台だ。
自尊心とは傲慢になることではなく、自分の価値を信じることだ。

自尊心がしっかりいていなければ、人生もしっかりしない。

健全な自尊心がもたらす恩恵は、数え上げたらきりがない。
その中でもとくに重要なのは、より幸せを感じ、より友好的になり、よりポジティブになり、自分に自信が湧いてきて、自立できることである。

自立できれば、他の人に依存する必要がなくなり、誰にも利用されずすむ。

自分に自信が持てるようになれば、自分を好きになる。
その結果、世界を見る目が変わり、想像していた以上の大きな喜びと自由を手にすることができる。



▼会いたい人に会っているか?

この最後の項目は「死ぬときに後悔すること25」という本からとっている。
            ↓
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4884748522/horaihonoyomu-22


死ぬということは、会えなくなる、ということなのだ。

もう一度、あの人に会いたい、という人に会う。





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2010年10月02日

■今月(10月)は乳がんについて考えよう

ピンクリボンフェステバルについて( http://www.pinkribbonfestival.jp/ )


「ピンクリボン」は、乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝えるシンボルマークです。

ピンクリボン運動は、8人に1人の女性が乳がんを患うといわれているアメリカで、1980年代から盛んになりました。
行政、市民団体、企業などが乳がんの早期発見を啓発するためのイベントを開催したり、ピンクリボンをあしらった商品を販売して、その売上の一部を、財団や研究団体に寄付するなど、ピンクリボン運動に積極的に取り組みました。
その結果、乳がん検診受診率が高まり死亡率は低下しました。


・・・・・・と言うことで、今月は乳がんについて考えてみよう。

実は、私の家内は、10年前、乳がんが右乳房に見つかり、手術した。

乳がんが発見されたきっかけは、乳離れしていなかった小学校3年生の息子だ。
10歳になっても母親の乳房を触ってないと眠れないという息子に、「はやく乳離れしなさい」と言っていたのだが、この息子がある日「お母さん、こりこりがあるよ」と家内に言った。
(この時点で私は何も知らなかった。)

気になった家内は、近所の内科医にまず診察してもらった。
「たぶん、大丈夫だと思うけれど、近所の外科医にみてもらって」と言われた。
そこで、今度は外科にいった家内は、今度は「隣の市にある中央病院で精密検査をしてもらったらいい」となった。
(この時点でも、まだ私は何もしらなかった。)


隣の市にある大きめの中央病院の外科で家内はマンモグラフィーと組織診をしてもらう。
担当医から「結果は来週出るので、ご主人と一緒に来てください。」と言われた。

ここで、初めて私は、家内のグリグリについて知らされる。

検査の結果を聞きにいった時、家内がまず先に診察室に入り、少ししたら、涙を浮かべながら、「入ってきて」と私を呼んだ。

診察室に入ったら医師から「奥さん、乳がんです。」とはっきりと言われた。
カルテにも「breast cancer」と書かれているのが見えた。

そこで、私はまっしろになった。

その先、何故そんなことを言ったのか、今でもよく分からないが、こんなことを私は言った。

「あの、私、タキソテールを開発していました。卵巣がんですけど」と。

すると、医師は「あぁ、それなら話が早い。私はタキソテールの乳がんの治験をやっていましたよ」と、家内の乳がんのステージ等について話し始めた。

結局、ステージ1の早期発見だった。
腫瘍の大きさは1センチ程度。

家内と医師と私の三人での相談で乳房温存法ではなく、右乳房とリンパ節の完全切除にした。

手術には私が立ち会い、切除された、青白い乳房を見せられながら、医師の説明を聞いた。


医師「ここが癌だね。ずっとこのリンパに沿ってあとで検査するけれど、多分、リンパへの転移もないだろう。」

私「はい、わかりました。」

医師「これから子どもを作るつもりある?」

私「いえ、ありません。」

医師「あぁ、そう。それなら、再発防止のためにリュープリンを5年以上、使いたいけれど、どう?」

私「はい、それでお願いします。」



●リュープリン
   ↓
http://www.gsic.jp/medicine/mc_01/leuplin/



医師「さいわい、タキソテールを使わなくてもよさそうだな。」

私「助かりました。」



●タキソテール
   ↓
http://www.gsic.jp/medicine/mc_01/06/




医師「ところで、息子さんが乳がんを見つけたんだって?」

私「はい。親孝行の息子です。」

医師「普通は、ダンナが見つけるんだけどな。」

私「はぁ。」

この家内の乳がんの発見⇒手術⇒リハビリという間、実は私はビジネスシーンで、かつてないほど、多忙を極めていた。
日本QA研究会( http://www.jsqa.com/ )で、あるチームのリーダーを任されていて、「システム監査について」というパネルディスカッションを企画、開催を計画していた。
また、私が勤めていたローヌ・プーランローラーがヘキスト ジャパンと合併することになっており、私はローヌ・プーランローラー側の合併隊長をやらされていた。
その合間をぬって、家内の手術、入院があった。
家庭的には、3人の子どもの面倒を見ながら、家事もやっていた。

これだけ、多忙を極め、肉体的にも精神的にも限界にきている時は、私はいつも「これはドラマの一部で、僕は、たまたまその役割を演じているのだ。そして、この役割は3月で終わりだ」と思い込んでやることにしていた。
そうでなかったら、きっと「変になっていた」だろう。


家内はそれから毎年1回、マンモグラフィーと骨シンチを、場合によってはエコーやMRIも使って診察されているが、本当に幸いなことに、今のところ再発はない。
(今も、通院している。)

リュープリン等で治療していた時は、治療費の高さが気になった。
今でも、がん患者は経済的な理由で、治療を断念している人もいるという。
また、高度先進医療などにかかりたいと思ったら、300万円程度は覚悟しないといけない。(最近は、この高度先進医療をカバーできる医療保険もあるが。)

風邪薬などの自己負担率を7割以上にしてもいいので、その分、薬の値段が高い疾患領域(がんに限らず)では自己負担率を下げてほしいものだ。


会社に勤めていると年に1回、健康診断があるけれど、専業主婦やパートの主婦は健康診断が無い。(やろうと思えば、いくらでもできるけれど。)
がんの治療は何と言っても「早期発見」だ。
そのためにも、40歳を超えたら年に1回、マンモグラフィを受けよう。
乳がんは自分でも乳房を探ることで見つかることもあるので、定期的に自分で(あるいはパートナーに)、検査してみよう。


●乳がん患者の読売新聞記者のブログ
    ↓
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=243




私の場合、今年の健康診断から「前立腺がん」の検査も入ってきた。
PSAの検査だ。


●前立腺がんのPSA検査
  ↓
http://www.beckmancoulter.co.jp/campaign/blue_clover.html


■がん対策情報 〜 がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会の実現のために 〜
平成22年度がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペーン
  ↓
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan.html



秋の健康診断がくると、毎年、「今年もなんとか1年、生き延びた」と思うのでした。



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2010年09月25日

■私たちは、どこまで耐えられるか?

京都大学、山中教授のiPS細胞(http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/index.html)についての番組をNHKで見た。(9月23日、NHK特集)

そこでは、キメラ(異種動物のかけあわせ。例えばマウスとラット等)の可能性や、デザイナーズベイビー(設計されたとおりに造った人間)などの倫理的な問題から、そもそも「生命」とは何か?という問いまで出てきた。

その番組で立花隆(http://chez.tachibanaseminar.org/)は、「基礎研究の段階ではキメラを作ってもいい。」と発言し、司会者のNHKの女性アナウンサーの眉をひそめさせた。

なぜ、そこまで彼は発言したのか?
それは、たとえば、人間の肝臓をブタの体内で作り(これでキメラだ)、その肝臓を取り出し、肝機能不全の患者さんに移植して治療するという、可能性もあるからだ。
そういう可能性を将来的に予想して、すでに研究している科学者もいる。

たとえば、マウスにラットの膵臓を作らせることに東大医科学研究所の中内啓光教授らが成功している。
   ↓
http://sankei.jp.msn.com/science/science/100903/scn1009030102000-n1.htm


●東大の医科研
   ↓
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/


中内教授の実験はそのまま人間とブタとの間でも原理的に可能であることを示している。



また、男性同士のカップルの間に二人の子どもを作ることが可能だ。
一方の男性の皮膚等の細胞から精子を創り、もう片方の男性の細胞から作った卵子を受精させ、誕生させる、というわけだ。
この話を男性同士のカップルに話したら、「それは素敵だ、もし可能なら、絶対に二人の子どもをつくりたい」と感激している場面も放映されていた。

番組の中ではALSの患者さんについての話も有った。
現在、ALS(筋萎縮性側索硬化症)に有効な治療薬はない。
   ↓
筋萎縮性側索硬化症とは?
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/021.htm


ただ、ALSの病気の進行を少しだが遅らせる薬はある。
サノフィ・アベンテイスのリルテックだ。
   ↓
http://di.sanofi-aventis.co.jp/tenpu/rilutek.pdf

(ちなみに、この「リルテック」の開発段階だった治験のデータを僕は監査(QA)した。治験段階では「リルゾール」と社内で呼んでいたが。)


NHKの番組の中では、ALSの患者から取った細胞で作ったiPS細胞から作った神経細胞の画像も出てきた。
その画面の中で、正常な神経細胞はお互いがニューロンをだし、ネットワークを作るのに対して、患者の神経細胞は他の神経細胞から攻撃されて死滅していく画像が明確に映しだされていた。

この研究から二つの応用が考えられる。
ひとつは、正常な神経細胞を作り、それをALS患者に移植する方法(これは困難を極めそうだ)。
もうひとつは、作られた病気の神経細胞を使って治療薬を開発すること(こちらのほうが、まだ可能性はある)。

今後は、このような人間の疾病細胞を使った新薬の開発が進むことだろう。
シャーレの中にあるALSの神経細胞を新薬開発のスクリーニングに使うことが可能だ。

では、たとえば、あなたの肝臓細胞から作った人間というのはどうだろう?
新薬の開発段階の実験だけのためだけの対象とした生まれた1個の人間は受け入れらるだろうか?

ぎゃくに、今の霊長類に対する非臨床試験は問題無いだろうか?
EUでは、動物実験を大幅制限 霊長類の使用は原則禁止にする。
   ↓
http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010090801001190.html

猿を使った実験は禁止だが、人間の皮膚細胞から作った「人類」に対する人体実験は認めらるかもしれない。



これからの医療と言うことで、マスコミでも取り上げられる「再生医療」。

(再生医療学会)
   ↓
http://www.jsrm.jp/index.html


その再生医療は期待したいが、クリアしなければならない問題が多い(科学的、技術的な問題だけでなく、倫理的な問題も含めて)。

科学の発達に私たちは、どれくらい耐えられるだろうか?

昔、ジェンナーは牛から作った種痘(牛痘)を人間に使った。
これなども、当時の人たちにとっては、かなり気持ち悪いことだっただろう。

江戸時代に人体を解剖した杉田玄白も偉い。
がんの告知も、体外受精も、脳死も、臓器移植も過去のタブーに挑戦していった。


私たちは新薬を世の中に出していくことを生業としているが、この世界でも、これから度肝を抜くようなことが起こるかもしれない。

私たちの倫理観を180度転換させられることがあるかもしれない。

以前(7〜9年前、脊髄小脳変性症の「わしさん」が、自分の息子に同じ病気が遺伝しているかどうか遺伝子検査を病院にやってもらおうとしたら、その病院の倫理委員会が、「未成年者の遺伝子検査は倫理的に許容できない」と判断し、検査ができなかった。

今なら、どうだろう?


●脊髄小脳変性症
   ↓
http://www.niigata-nh.go.jp/nanbyo/scd/scdindex.htm  


●神経難病患者のための掲示板(この掲示板は新薬開発に関わる人なら、一度でいいので覗いてみるといい。)
   ↓
http://www.niigata-nh.go.jp/nanbyo/kouryuu/kouryuu.htm



私たちの倫理観、人生観、死生観と科学とのバランスはどこまで保っていけるだろうか?

私たちの精神は、科学の発達にどこまで耐えられるのだろうか?

あるいは、ある日、私たちの死生観が科学によって覆される日が来たりするだろうか?

きっと、やってくると僕は思っている。




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2010年09月18日

■思いつく人は世界で3人。成功するのは1人。

僕が院生だったころ、教授(女性)にこう言われた。

教授「すごいアイデアが出てきたと思った、その瞬間に、世界で同じことを同時に3人が思うのよ。分かる?」

僕「はい。」

教授「その3人のうち、1人は、考えただけで、『無理だ。どうせできっこない』と思って、何もしない。」

僕「はい。」

教授「残った2人のうち1人は、そのアイデアを実践するんだけど、1回やって失敗したら、『やっぱり無理だ』と思って、そこでやめるのね。」

僕「はい。」

教授「最後に残った1人だけが、成功するまで実践して、成功者として世に残るんだから。ね?」

僕「はい。」

だから、最後の1人になるまで頑張りなさい、ということにつながる。


この女性教授のすごい所は、僕を教育してくれたところだ。

たとえば「研究室の中では教授も院生もないから、なんでも議論をふっかけてきなさい。遠慮なくね。でも、一歩、研究室を出て社会にでたら、年長者の私を敬いなさい」

とかだ。


さて、今週、紹介するのは次の2点です。

●21世紀の臨床開発を支える新しい技術(1)
http://www.jpma-newsletter.net/PDF/2010_139_03.pdf


●「未承認薬・適応外薬問題の解消に向けた取り組み」患者会との新たな連携に向け、 第18回患者会セミナー開催
http://www.jpma-newsletter.net/PDF/2010_139_02.pdf


今、どれだけの人が上のアドレスをクリックしただろう?
多分、ここを見た人の1割くらいだろう。

実は、僕のメルマガに載っている広告を分析してくれた方がいて、教えてもらったのだが、大体メルマガ発行数の1割程度の人がその広告のアドレスをクリックされていた。

また、僕は一時期、アフリエイトに凝ったことがあって、いろんな本を読んでみたが(僕は何でも本から入る人なのだ)、一般的にあるサイトである商品を紹介したら、閲覧者全体の1%程度がクリックしてくれて、さらにそのクリックした人の1%がその商品を購入してくれる、という統計データを読んだことがある。

実際、僕もアマゾンの本を紹介してみると、ご覧を頂いた方の5%がクリックしてくれて、そのうち3%程度(この「購買者数/全クリック数」の割合を「コンバージョン」という)の人が商品を購入して頂いていることが分かっている。


●アマゾンの本を紹介して、紹介料を稼ぎたい人は、次をクリック!(アマゾンでは「アフィリエイト」のことを「アソシエイト」と呼ぶ)
     ↓
https://affiliate.amazon.co.jp/gp/associates/network/main.html



さて、話をもとに戻しますが、上記のアドレスの先にある、その情報を読んで何かを考えた人はどれくらいだろう?
もちろん、全員だ。何かを考えた人は。

では、そのうち、何人の人が、自分ならどうするだろう?と思っただろうか。
そして、どれだけの人が、実際にアクションを起こすだろうか?


大事なことは、行動を起こすことだ。
たとえば、同僚に「これ、面白いから読んでみたら?」と紹介してあげることだっていい。
そうすると、今度は、その同僚から面白い情報があったら、教えてもらえたりする。
(面白いことに情報を発信すればするほど、新しい情報が入ってくる。)


情報は広がれば広がるほどいい。
母数が大きくなればなるほど、何か、行動を起こす人が多くなる。

僕のこのサイトの役割の一部は、間違いなく、そういう情報のコネクターになることだ、と思っている。
だから、できるだけ面白そうな、見た方がクリックしたくなるような紹介方法を工夫するよう努力している(これでもね)。
そして、アジテーター(agitator)になるべく、みんなの心を煽(あお)る。
僕は扇動家だ。

できたら、閲覧者の皆さんの魂をわし掴みにして、ぐいぐいとゆり動かしたい。

と、今週も思っているのでした。



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2010年09月11日

■9月10日は「世界自殺予防デー」。『精神病治療薬の歴史』

9月10日は「世界自殺予防デー」だ。
   ↓
http://www.who.int/mediacentre/events/annual/world_suicide_prevention_day/en/index.html


自殺を甘く見てはいけない。
日本での2009年の交通事故死者は4914人。
一方で、2009年の自殺者数は3万2753人。1998年以来12年連続で年間3万人を超えた。
交通事故死の6.7倍である。


世界では、年間100万人近くの人々が自殺により亡くなっている。
これは40秒間に1人地球上のどこかで誰かが自殺しているという数字だ。
なお、死には至らなかった自殺未遂はその20倍の件数とのこと。


もちろん、自殺予防、自殺防止の対策も練られている。


●「いのちの電話」
   ↓
http://www.inochinodenwa.or.jp/04-jisatu.htm


●「自殺予防総合対策センター」
   ↓
http://ikiru.ncnp.go.jp/ikiru-hp/index.html


●WHO による自殺予防の手引き
   ↓
http://www8.cao.go.jp/souki/tebiki.pdf


僕の友人の中にも3人(2人の男性と1人の女性)の自殺者がいる。
そのうち、2人の男性とは、自殺する前日に僕は電話で彼らと話をしている。
それ以来、僕は、電話で変だな、と思ったら、「まさか、この人、自殺する気ではないか?」と考えるようにしている。

また、自殺目的で睡眠薬を大量に飲んだあとで、携帯電話に電話をもらったこともある。(その時、僕は家族でもんじゃ焼きを食べていた。)
この時は、その人の近くの消防署に電話して、救急病院にその人を運んでもらい、胃洗浄などをして、助かった(と、翌日、その消防署に電話で聞いた)。

自殺する理由はいろいろだが、『うつ病』が悪化して自殺される人も多い。
今では、抗うつ薬として色々といい薬が出ているので、うつ病で自殺する人を減らしているとは思うのだが。



■向精神薬の開発の歴史「レセルピン」の場合


ところで、抗うつ薬や統合失調症に効果のある向精神薬は、どのような歴史で開発されてきたのだろう?


(以下、参考図書『薬の話』山崎幹夫著、中公新書)
          ↓
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121010485/horaihonoyomu-22


向精神薬が出るまで、精神疾患に対しては「薬なんて効くはずないよ」というのが一般的な見解だった。
統合失調症については、昔は患者はまず隔離され、世間の眼から隠ぺいされた(今でも、そういう意識が皆無とは言えない)。

治療としては、全身に痙攣をおこさせるための電気ショックや昏睡状態をひきおこすインスリン・ショックなどが行われていた。


一方で1952年、スイスのチバ社(現在、ノバルティス)の研究者が『印度蛇木(インドジャボク)』の根からレセルピンを抽出・単離した。
もともと、インドジャボクは古代の記録では、不眠症や高血圧、それに精神に異常をきたしたときにも用いられていたことが記されていた。

そのチバ社は最初から精神病治療薬としての可能性を探していたわけではない。むしろ、高血圧の薬として開発を進めていた。
1953年、アメリカの医師ネサン・クラインが『ニューヨーク・タイムズ』の記事に、インドの精神科医がインドジャボクを使って精神病患者の治療に効果があったことを見つけた。
この記事に興味を持ったクラインはレセルピンには不安・強迫・抑制等の精神症状を改善することを報告した。

ちなみに日本でレセルピンの治験が正式に開始されたのは1954年なので、結構速かった。(ドラッグラグとしては1年程度)
その結果は1955年の第52回日本精神神経学会で発表された。(同じころにフランスで開発されたクロルプロマジンとの比較試験だった。)

かくして、2000年以上も昔からインドに伝えられた奇妙な形をした薬草の根は、薬では絶対に治らないと信じられ、軽視と虐待にしいたげられた精神病患者を鉄格子の中から救い出すことになった。



■向精神薬の開発の歴史「クロルプロマジン」の場合

レセルピンの発見と同じ頃、フランスで開発され統合失調症の代表的治療薬として登場したのが、クロルプロマジンである。
このクロルプロマジンの起源は植物ではない。決して偶然に発見されたというのはなく、着実はデザインの元に合成され開発の途をたどったのだが、その過程は必ずしも平たんではなかった。

クロルプロマジンの原型になったフェノチアジンは1883年にドイツで合成された。
当時から、メチレンブルーなどの色素の合成原料としても利用されている。
メチレンブルーはパウル・エーリッヒによって殺菌作用を有することが認められ、化学療法の先駆となった化合物でもある。
そこで、このフェノチアジンを原型とする多くの化合物が化学療法の開発を目指すアメリカやフランスの製薬会社の研究所で合成された。

フランスのローヌ・プーラン(現在、サノフィ・アベンティス)研究所でも同じような作業は行われたいたのだが、満足な結果は得られない。
しかし、その作業の中で面白い現象を見つけた。化合物フェネタジンに強力な抗ヒスタミン作用が認められた。
数か月後には、さらに強力な抗ヒスタミン作用を持つ化合物が得られた。この薬には眠気をもたらす副作用(つまり中枢神経に対する作用)があるほかに、乗り物酔いを防ぐ作用があることが分かったが、臨床試験的には失敗した。

ローヌ・プーラン研究所は抗ヒスタミン路線を捨て、中枢神経への作用性を強調する化合物の探索にとりかかる。
その結果、発見されたのが、クロルプロマジンであった。

電気ショックやインスリン・ショックによる療法を受けながら、あまり改善の兆しのみえなかった統合失調症の患者にこの薬を投与し、素晴らしい効果が見られることを発見した。

(ちなみに、このローヌ・プーラン社の日本支社で僕はモニターの道を歩み始めた。)



■うつ病に効果を持つ薬の発見「イミプラミン」の場合

うつ病に効く薬として1957年に登場したイミプラミンは、すでに1948にはスイスのガイギー社(現在、ノバルティス)で40種以上の類似化合物とともに合成された。
その目的もやはり抗ヒスタミン薬の開発であった。
ところが、ガイギー社と、チューリッヒ大学の医師らが、フランスで進行していたクロルプロマジンの研究結果を知ったのは、1953年の11月になってから。
そこで、彼らは抗ヒスタミン薬としての開発路線を見直し、精神疾患に対する薬の作用を追うことにした。

結果は大変、興味があることに、イミプラミンは興奮している患者を鎮静させることはできなかったが、それまでまったく薬では歯が立たなかった内因性のうつ病に対して、特異的な効果を有することを示した。
その結果は1957年のスイス医学雑誌に報告された。
以来、イミプラミンは抗うつ薬としてもっとも頻繁に処方される薬となる。



・・・・・・というように、それまで「鉄格子」の中にいた患者やまじないの範疇だった精神疾患に対しても、科学の光をあてることが1950年代頃から始まった。
まさに、薬の歴史に残る、ブレイクスルーだ。


多くの科学者の努力と偶然による発見をもとに数千の化合物が試されてきた。

さらに抗うつ病に対しては、今ではSSRI等と言う新しい作用機序の薬でも出てきた。

しかし、驚いたことに、なぜ抗うつ薬が効くのかは、明確に分かっていない。
それでも、効いているので、僕たちは使っている。

抗精神病薬の出現は、その意味ではまさに医療上の一大革命をもたらしたと言えるが、“心を動かす”薬のメカニズムはまだ不明の点が多いことから考えても、精神病を治療する医薬品の開発と利用にはまだ改善の余地がある。

自殺を減らそう。
自殺をしない、させない。


「精神薬理学の英雄的な時代、画期的な発見の続く時代はすでに過ぎたが、なすべきことは山積している。」(クロルプロマジンが統合失調症に有効であることを発見したドニケルの言葉。)




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