いわゆる、GMPの世界に入ったわけだ。
実際にやっていた主な仕事は薬の原料、中間製品、最終製品の品質管理(主に定量分析などの分析)だ。
そのGMPの世界で徹底的に叩き込まれたのは「品質は工程内で織り込む」ということだ。
つまり、原料の秤量、混合、打錠などの工程が終わり、打錠された薬(中間製品)を分析したら、その瞬間に「品質」が生まれるわけではない。
原料の秤量を二人の目でダブルチェックする、混合もSOPに従って機械操作する、打錠も同様にSOPやマニュアルに従って機械を設定し、操作する、それを記録に残す、これらの1つ1つの工程ステップの中で品質は織り込まれるのだ。
いいがけんに秤量し、適当に混合し、気の向くままに打錠していたら、一定の品質を持った医薬品ができるわけがない。
プロセスの中で品質が少しずつ生まれる。
これを治験にあてはめてみよう。
まず、治験実施計画書がある。
治験実施計画書の作成もSOPに従って作成される。
そして、この治験実施計画書に従って治験をやらないと、まず、品質が保たれない。
CRCの方が被験者の問診を行い、それを「所定」の書類に「正確」に記載する。
治験責任医師等が「適切」な原資料から必要なデータを「正確」に症例報告書に記載する。(最近なら、入力する、かな。)
モニターがSDVを行う。
このモニターがSDVを行った瞬間に品質が生まれるわけではない。
それまでの様々なプロセスの中で各自が規定のSOP、マニュアル、治験実施計画書に従って治験の仕事を行うことで、その過程の中で品質が織り込まれている。
さらに、最後に「監査担当者」が監査することで初めて「品質保証」ができるわけではない。
監査担当者が監査をするまでに行われた治験のプロセスの中で品質が生まれる。
それらのプロセスに関わったを各自が品質保証するのだ(各担当者が治験実施計画書を守る、正確に記録する、プロセスを守る、マニュアルどおりに作業する、記録するなど等)。
監査は、ただ、その結果を見るだけなのだ(もちろん、監査の仕事も品質保証の一環だ)。
モニターはモニタリング報告書を書いたら、まず、自分でそのモニタリング報告書をチェックする。
正しく事実が記載されているか、モレが無いか、誤字脱字はないか、など等をモニター自身がする。
これがQCの基本だ。
QC担当者がモニタリング報告書をチェックした時に品質が生まれるわけではない。
モニターがモニタリング報告書を書いている間に、そして、一息入れてもう一度、今、書いたモニタリング報告書を自分の目で確認する。
そこに「品質」が生まれる。
治験に係わる全ての人が品質に責任を持つのだ。(僕も含めて。)
QCがチェックするから、とか、監査がチェックするから、と、各自が自分の仕事を確実に全うしていなかったら、品質はボロボロだ。
治験の品質責任者は「あなた」なのだ。
まぁ、これは治験以外の普通の仕事の基本でもあるんだけどさ。
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