それが、ようやく、メドが立ってきた。
私も54歳であり、この業界に入って25年以上も働いているので、本音と建前があることぐらい知っているが、だからといって、「その薬は、開発してもペイしないよ」等という言葉を許すわけではない。
製薬会社の中では「患者さんの声にお応えする」などという意味のキャッチフレーズを使っている所が多い。
『アンメット・メディカル・ニーズ』(未だ満たされない医療上の必要性。患者様や医師から強く望まれているにもかかわらず有効な既存薬や治療がないこと。)に応える、等とカタカナ用語で最先端の医療ニーズに応えるみたいな、ことを言っている会社もある。
その『アンメット・メディカル・ニーズ』を、新規の化合物や新規の対象疾患に求めるのではなく、今、現在、海外では当たり前にように使われていて、日本では使えない薬を日本で使えるようにする、のが先なのだ。
ところで、どうして、こんなに急に『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬』を解消する方向で動きが出てきたのだろう?
学会からの要望というのもあるが、その前に、そもそも、誰かが旗振りをした人がいるはずだ。
それは厚生労働省の官僚やお役人かもしれないし、学会の実力者かもしれない、あるいは、患者団体の代表者かもしれない。
いずれにしても、その旗振りをした人が「一番」偉い!
解決していない問題を看過することなく、そこにこだわりを持つ。
ひとくせもふたくせもある、製薬業界を忍耐を持って説得する、交渉する(あの手、この手で)。
さ、次はきみの番だ。
きみが旗振りをするのだ。
きみの決意と、意欲と情熱さえあれば、できる。(しかも「決意」とか「意欲」とか「情熱」などは全て、無料で手に入る。)
本当に患者が困っていることを、患者本人と患者の家族の立場に立って考えることができる人が私たちには必要なのだ。
奇麗事を言うだけでなく、評論家でもなく、地味で、儲けが少なくても、本当にニーズがある薬を開発しようという強力な意志。
これから、世界を変えるのは、そういう人だ。
そして、それはきみであっていけないことは全くない。