2012年09月30日

今が2度目の「治験の危機」だ

ひょっとしたら、今は、僕が知っている限り、2度目の「治験の危機」かもしれない。

1回目は「ICH-GCP」が導入した時期。

実はこれは「危機」でもなんでもなく、実は日本の治験にとって「飛躍」なんだけれど、とにかく当時は「黒船が来た」と慌てて、国内の治験が空洞化した。

(本当は、それよりも前に「GCPが無かった時代からGCP(旧GCP)ができた時代」というのが最初の治験の「危機」だったという話を先輩に聞いたことがあるのだが。)


そして、2回目が今だ。

何故か? 

何が危機なのか?


医師主導型の治験もそろそろ根付いてきたし、国際共同治験を経験した治験依頼者も医療機関も増えてきた。

治験ネットワークも各地にある(実効ある活動はまだまだというところが多いが)。

治験活性化のアクションプラン(案)もできた。

なんだか順調な感じがするが、実は、そういう慢心こそが危機。

アジアンスタディや東アジアの治験を通して、韓国や中国、近隣アジア新興国での治験がイケると感じ始めた会社も多い。

インドだっていい。


僕は何も日本が「アジアの治験のリーダー」になる必要なんて、さらさら感じていない。

ところで、どうして、そんなに、みんな日本が「アジアの治験のリーダー」になることを強調するんだろう?

どうして日本がリーダーシップを発揮しないといけないと考えているんだろう?

たとえば、それが韓国だと問題あるわけ?

リーダーシップを発揮しなくていいから、自分の国の「ドラッグラグ」をどう解決するかに心血を注いだほうがいい。

ドラッグラグを解決することと、日本がアジアの治験のリーダーシップを発揮することは別問題だ。

患者にとっては、ドラッグラグを解決して欲しいだけで、リーダーだろうが何だろうが構わない。

日本がアジアの治験のリーダーシップを発揮できないとドラッグラグは解決しない、というものでもない。


それで話を戻すけれど、製薬会社は「日本の患者」のことはもちろん考えているが、それ以上に「自社の存続問題」に必死だ。

だからこそ、ICH-GCPが導入されたとき、日本の製薬会社は治験が空洞化している国内を後回しにして海外で治験を先行させたし、今でも、それはあまり変わらない。

ネットのニュースを見ていると、よく見かけるのが「●●製薬会社は、新規糖尿病の治験を世界同時開発を行うこととし、アジアでも来年から実施予定(日本を除く)」というフレーズを見る。

「日本は除く」なのだ。

「日本主導の国際共同治験」はおろか、「日本主導のアジア共同治験」ですら危うい。(日本は除く、なのだから。)

香港主導のアジア共同治験に日本は参加して「他国の足をひっぱらないように努力する(特に登録症例数で)」というのが現状なのではないか?



今こそ、「真剣」に考える時だ。

お茶を濁すのではなく。

そういう覚悟が無いのなら、全て「公知申請」にしちまえばいい。


中国や韓国等で治験が進むのは「医療環境の違いだ」とか、いろんな理由が言われているのは分かるけれど、だから?

あとね「犯人探し」をしてもあまり意味がないと思う。

ムードに流されずに、まず、足元を固めよう!!





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posted by ホーライ at 15:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の改革 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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