2012年03月17日

「企業倫理と治験の倫理」

治験と言えば、まず真っ先に新入社員が習うのは「倫理」についてだろう。

そもそもGCPにこうある。「1) 治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び本基準を遵守して行われなければならない。」

治験は「倫理的原則」を遵守しないといけないのだ。



ところで「企業倫理」という概念もある。

日本経済団体連合会が「企業倫理徹底のお願い」等というのも出している。
 

この上のページを見ると分かるのだが「企業倫理」というと「コンプライアンスの浸透と徹底」というように「コンプライアンス」という言葉が必ず出てくる。

通常、この「コンプライアンス」とは「法律・規制の遵守」という意味で使われる。(医薬品業界、特に医療の現場で「コンプライアンス」という言葉を使うと「薬の服用率」を指す事があるので、新入社員は、この際、覚えておこう。)


では、法律を守っていれば、それで「倫理的」と言えるか、というとそうでもない。
例えば、麻薬に指定されていないが、それに類似する作用を発揮するモノを販売したら、それは直ちに法律違反ではないが、「倫理的ではない」だろう。
逆に、例えば「人種」によって仕事を差別する法律が仮にあったとして、それを守らずに「人種」による差別を無くし、公平に扱うマネジャーがいたら、それは法律違反だが、「倫理的」と言えるだろう。


もし、企業が起こした事故を隠蔽したり虚偽報告をするというのが仮に法律違反にあたらないとしても、それは「倫理的」と言えるだろうか?
もちろん、言えない。

会社ぐるみでそういうことをやっていたら、その会社は信用を失墜し、社会的に制裁される、と思っているが、最近はそれもどうかな?と思い始めている。


ところで「治験」の場合だが、治験で倫理の話になると「インフォームド・コンセント」とか文書による同意とか自発的意思による治験への参加、ということが思い浮かべるが、もちろん、治験における倫理的基準はそれだけではない。

例えば、副作用が発生したら、それを必ず創薬ボランティアに伝えないといけない。
また、治験全体で言えば、有効性だけでなく、有害事象のデータも全て集めて、そのデータをもって、新薬の承認審査を受ける。


人間の命に直接関わる薬のことだから当たり前と言えば当たり前だが、製薬会社から見たら「不都合」な「有害事象」(薬との因果関係を問わない)のデータを全て集めて、それを報告するというのは、とてもいいシステムだと思う。
だけど、そのシステムがどこかで壊れていたら、とても残念な話だ。


一般消費者から見て、「倫理的」というのは、こちらが考えて、やりすぎくらいが丁度いいのかもしれない。
間違っても、「認識が甘かった」とテレビの前でシャチョーが謝らなくて済む。と言うか、謝る、謝らないに関係なく、その事実が広く知れ渡る、渡らないに関係なく消費者の安全を守るのにやりすぎはないのだ。

企業の中で「倫理的」行動の見本、手本を新入社員に見せるのがマネジャーの仕事だ。それも、最も重要な仕事だろう。


「機体の点検・整備に対して認識が甘かった」という飛行機が有ったら、僕ならそれには絶対に乗りたくない、と思うのだ。(違うかな?)







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posted by ホーライ at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の倫理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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