2012年03月03日

臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)についての感想

今週は2012年02月03日の「「治験業界は確実に変わりつつある。」」の続きです。
 

2月3日に紹介した「臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)(仮)」から「仮」がとれて、今、パブリックコメントを求めています
  ↓
「案の公示日 2012年03月01日 」→「意見・情報受付締切日 2012年03月09日 」(わずか9日間ですぞ。)


オリジナルはここにあります。
  ↓
臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)


先日の2月3日はとにかく「治験依頼者」と「治験実施医療機関」との役割分担を明確にしようという言葉がまばゆくて、それ以外は霞んで見えた。

そこで、今回は2月3日で触れた部分以外のところを見ていきたい。


この活性化5ヶ年計画2012の主だったテーマは次のとおり。


●T.臨床研究・治験活性化に関するこれまでの経緯と今後の方向性


●U.臨床研究・治験活性化5か年計画2012


では、まず最初に『T.臨床研究・治験活性化に関するこれまでの経緯と今後の方向性』を見ていきましょう。

ポイントとしては「(2)現5カ年計画の中間見直し」が挙げられる。


まずは、そもそも治験活性化5ヶ年計画は何を目標にしてやってきたかというと・・・・・・・・・



■□■□■□■□ 臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)からの引用文(開始)P1より ■□■□■□■□

@治験のネットワーク化の推進

A医療機関の治験実施体制の充実

B患者の治験参加の支援

C企業における治験負担の軽減

D臨床研究全体の推進、の5つの柱を掲げて治験等の活性化に取り組んだ。


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●(2)現5カ年計画の中間見直し

この項目に「中間見直し報告においては、臨床研究・治験の活性化により達成されるべき最終的な目標は、世界における最新かつ質の高い医療が我が国において患者に提供される体制の実現であることが確認された。」と述べられている。

どう?

現場のモニターやCRCの方は「世界における最新かつ質の高い医療が我が国において患者に提供される体制の実現であることが確認された」という言葉に納得するだろうか?

僕には「確かに!」と感じられた。

でも、結論から先に言うと、「まだまだ、だよね。」というところ。




■□■□■□■□ 臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)からの引用文(開始)P1〜P2より ■□■□■□■□


現5カ年計画は、「国民に質の高い最先端の医療が提供され、国際競争力強化の基礎となる医薬品・医療機器の治験・臨床研究実施体制を確保し、日本発のイノベーションの創出を目指す」ことを目的としており、以下の5つの柱を掲げている。


@ 治験・臨床研究を実施する医療機関(治験中核病院、拠点医療機関等)の整備

A 治験・臨床研究を実施する人材の育成と確保

B 国民への普及啓発と治験・臨床研究への参加の促進

C 治験の効率的実施及び企業負担の軽減

D その他の課題(GCP 省令の見直し等)



また、現5カ年計画の実施により期待される治験・臨床研究の姿として、以下が提示された。

@ 治験・臨床研究のコスト、スピード、質が米国等諸外国並に改善されている。

A 国際共同治験の実施数がアジア周辺国と同等以上の水準まで向上している。

B 質の高い最先端の医療の提供を確保し、国民が安心して治験・臨床研究に参加する

ことができる体制が確保されている。


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上記の例で言うならば、「A 治験・臨床研究を実施する人材の育成と確保」はかなり進んだと思う。

特にCRCが確実に増えてくれて、今では治験にCRCは欠かせない。

今後のCRCさんたちの課題は、「ベテランになりつつあるCRC」の方のキャリアデベロップメントだ。

CRCが導入されて10年がたつ。

当時は「なりたてホヤホヤ」だったCRCさんも、今では立派な「ベテランCRC」さんになっている。

ベテランCRCさんに僕が期待したいのは後進の指導かな。

それと「それなりの処遇」だよね。

役職なり、報酬なりで、優秀なCRCさんを引きとめていかないと、せっかく育ったCRCさんが離れていき治験のスピードと質が落ちてしまう。


それと、「@ 治験・臨床研究のコスト、スピード、質が米国等諸外国並に改善されている。」の点だけれど、特にスピードがまだまだ米国等並にはまだまだ、ほど遠い。


あとで出てくるけれど、1つの病院で多くの創薬ボランティアを組み入れるのがイマイチだ。

このことを解消するためには、各種「治験ネットワーク」が「あたかも1つの病院」のごとく活動することが期待されている。




■□■□■□■□ 臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)からの引用文(開始)P5の7行目より ■□■□■□■□


また、医薬品・医療機器の自立的な開発が我が国における恒常的な安全の確立につながること、医薬品・医療機器の治験を含む臨床研究の国内実施体制の確保及び強化は、我が国の当該産業の国際競争力の基礎となる日本発のイノベーションの創出やこれにより得られたエビデンスの世界への発信に必須であること等が強調されている。


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つい先日、iPS細胞を使った治験が日本ではなく、アメリカで実施されることになった。

日本発の画期的技術が、日本ではなく、アメリカで実施されることを関係者は、真摯に、真剣に、深刻に考えるべきだ。

なぜ、日本発の画期的な新薬・技術なのに、日本ではなくアメリカで実施されるのか?

これは、先に述べたとおり、治験の(開発の)スピードが圧倒的にアメリカのほうが速いからだ。

だから、製薬会社にしてみれば、早いとこ、開発コストを回収するために、アメリカで開発し、アメリカで承認されて、アメリカで発売させる。

(まるで、アメリカの、アメリカによる、アメリカのための新薬開発だ。)

こうなると日本国民が画期的な新薬による治療が受けられない、という悲しい状況になってしまう。


とにかく、日本の治験はスピードの向上が大きく求められている。

そのためには、各種治験ネットワークのさらなる拡充と一般市民の皆さんに対する治験の啓発だと思う。

また、あとで出てくるけれど、患者さんのデータベース化だ。


各種治験ネットワークにおいては、拠点となる病院の治験事務局の強力なリーダーシップだ。

たとえば、10施設の治験ネットワークがあったとする。

その中の拠点となる1施設に治験を申請し、承認されれば、ほかの9施設は治験の審査をしないですぐに治験ができる、というところまで持って行ってほしい。

でも、こうなると、その拠点になる病院のIRB事務局なり治験事務局なりの担当者の負担が増大することは明らかだ。

だから、「情熱」と「マネジメント力」を持った人が必要になってくる。

ただ、「情熱」と「マネジメント力」を持った人は、なにも病院側だけではなく、治験依頼者側や当局側にも必要なんだけれどね。




■□■□■□■□ 臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)からの引用文(開始)P5の12行目より ■□■□■□■□


それまでの我が国における取組としては、開発後期の治験の実施体制整備に重点が置かれてきたが、革新的医薬品・医療機器の創出のためには、より早期段階の治験やPOC (Proof of Concept) 試験等の臨床研究に比重を移し、これらの国内での実施を加速する体制の確実な整備を行うことが必要であることが提言されている。


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引用文に『POC (Proof of Concept) 試験』とあるけれど、POC (Proof of Concept) 試験とは治験薬の有効性や安全性を臨床で確認し、そのコンセプトの妥当性を検証することだ。

あるいはこうとも言える「POCとは基礎的な発見が実際の世界でも起こっていることを確かめて、証明することを指す。」

このPOC (Proof of Concept) 試験とは簡単に言うといわゆるフェーズ2の治験だね。

つまり、新薬のコンセプト(抗がん剤なのか、降圧薬なのか、はたまた、糖尿病の薬として開発できるのか)を調べるため・決めるための重要な治験を指している。

このように治験薬の早期・探索的臨床試験が実施できる病院・拠点が日本にも必要になってくる。

この手の病院を日本でも育てようという動きがある。
   ↓
『早期探索的臨床試験拠点・整備事業について』

この拠点がうまく回ってくれると、随分とドラッグラグが解消されると思われる。



■□■□■□■□ 「早期探索的臨床試験拠点・整備事業について」より引用文 ■□■□■□■□


早期探索的臨床試験拠点・整備事業について

早期・探索的臨床試験拠点病院の主な要件

●以下の3条件をすべて満たしていること

(1)特定機能病院、国立高度専門医療研究センター、又は医療提供体制の観点から特定機能病院に準じる病院であること。

(2)がん、精神・神経疾患、脳・心血管疾患等の疾患分野において、治験、臨床研究に精通する医師がいること。

(3)夜間、休日、を含め重篤な有害事象に迅速に対応できる体制を有していること(遠来の被験者については病院間の連携も重要)。


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最近では、上記の「ヒトに初めて治験薬を投与する」治験(所謂フェーズ1:早期探索的臨床試験)ができるような病院を増やしていくことが検討されている。

そうなると、治験を実施するかどうかを検討するIRBにも特殊な知識が必要になってくる。

たとえば、ヒトに初めて治験薬を投与する場合、その治験薬の有効性や安全性は「動物実験」の結果しかない、という状況で、ヒトへ治験薬を投与することが安全なのかどうか、という判断がIRBで、できないといけない。

今、日本では以下の施設が、この「ヒトに初めて治験薬を投与して治験を行える」場所が選ばれている(下記参照)。




■□■□■□■□ 「治験」ホームページ(厚生労働省)より ■□■□■□■□


早期・探索的臨床試験拠点の体制整備目標については下記のとおり

標記について、当該拠点の体制整備に関する目標を公表いたします。
   ↓
拠点となる病院

(1)国立がん研究センター東病院 (医薬品/がん分野)

(2)大阪大学医学部附属病院 (医薬品/脳・心血管分野)

(3)国立循環器病研究センター (医療機器/脳・心血管分野)

(4)東京大学医学部附属病院 (医薬品/精神・神経分野)

(5)慶應義塾大学病院 (医薬品/免疫難病分野)


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今後は、上記の病院で、治験の早い段階(フェーズ1〜2)を実施できるようにするらしい。

うまく行ってくれると、日本発の画期的新薬の治験・臨床試験をアメリカでやらなくてすむ。

そうなると、ドラッグラグも減少することが期待できる。

期待したい!!



また、活性化5ヶ年計画に戻ります。


■□■□■□■□ 臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)からの引用文(開始)P5の21行目より ■□■□■□■□



上記の治験・臨床研究活性化の必要性・方向性を前提に、中間見直し報告では、現5カ年計画の重点的取組事項(アクションプラン)に関する進捗状況の評価を行い、今後より一層強化すべき課題として以下の事項を挙げている。

@ 症例集積性の向上

A 治験・臨床研究の効率化

B 研究者の育成

C 治験・臨床研究の実施に必要な人材の確保

D 治験・臨床研究の情報公開

E 治験にかかるコスト・スピード・質の適正化



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上記の項目で、僕が最も期待したいのは『@ 症例集積性の向上』だ。


日本の治験のスピードが遅い理由の一番は、「創薬ボランティアが治験に参加して頂けない」という点にある。

そのためには、様々な方策を考えないといけない。

一般市民の方々に対する治験の啓発はもとより、治験に参加して頂いたら、「特別扱い」をして、診察がスムーズになるとか、治験へ参加して頂いたことに対する何らかのお礼をしたい。


最近のニュースで観たけれど、これからは小学校や中学校でも「薬」について教育がされるとのこと。

きっと、その際には「治験」について解説や「治験を実施することの意義」等が解説されると思うけれど、そういう地道な努力が必要になるよね。


それと、難病の患者さんなどが治験に参加したくても、今は、どこに行けば治験に参加できるかが分からない。

治験の情報も公開されるつつある。

たとえば下記のサイト
  ↓
開発中の新薬

臨床試験情報リンク


上記の2つの治験検索サイトでは、どこの製薬会社がやっている治験かは分かるけれど、どこの病院に行ったらその治験を受けられるのかが、さっぱり分からない。

患者さんの視点で作ったサイトとは思えない。

はなはだ不便なサイトだ。


そういう情報が一手に集まるのは実は(と言うか、みなさんご存じのように)、「治験届」だ。

だから、治験届に載っている病院名を公表してもらいたい。

治験に参加したいけれど、どこに行けば治験に参加できるか分からない、というミスマッチはせめて解消して欲しいよね。


・・・・・・ということで、長くなりましたので、残りは次週へ。


ちなみに、こういう「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」や治験に関連するガイドラインが公表されたら、それをどう活かせば自社の治験が促進されるか、ということを検討する組織が治験依頼者にあるといいんだけれどね。

あなたの会社に、そういう部署がありますか?

治験依頼者は、治験を戦略的に推進する部署、そういう役割を持った部署を作るといいと思いますよ。


もし、無かったら、あなたがその役割を担ってください。



これ、来週へ続く(多分)



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posted by ホーライ at 04:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の活性化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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