どんな治験であろうとも、そこには必ず治験に参加してくださる患者がいる。
この点を忘れていては(忘れていないと思うけれど)、どんなにかっこいい言葉が出てきても、日本の治験の現状は変わらない。
自分でこんなことを言いながら、僕は「抗うつ薬」の治験参加を打診されながら、「ウォッシュアウト」があることから、治験参加を辞退した。
他人を全て、僕と同じだと思ってはいけないけれど、よほどのことが無い限り、一般患者が治験に積極的に参加してくれるとは考えにくい。
たとえば、抗がん剤や難病の分野ならば治験に参加してくださる患者も少なくない。
だから、日本中が言っているとおり「画期的な新薬」ならば、治験も遅滞なく進むことだろう。
そこで、今、流行しているのが「アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)」というやつで、いまだ治療薬が十分に充足されていない分野での新薬開発である。
従来より「オーファンドラッグ制度」というものがあったが、今度、「ウルトラオーファンドラッグ制度」とも言うべき制度も検討されているらしい。
いずれにしても治験は患者ありき、だ。
患者がいるから、治験業界は存在意義がある。
地球上から病気が消滅すれば別だが、治験業界の存在意義をもう一度、見直してみる時期じゃないだろうか?
と、そんなことを言っているのは僕ぐらいだけど。
ただ、「産業」という視点だけでいろんなことを考えているだけではいけない、というのが「治験業界」だ。
まぁ、どの産業においてもそのサービスなり商品なりを提供する「消費者」を考えて政策、戦略を練っていることだろうけれど、こと、治験業界においては「治験実施者」の視点が過大に主張されても困る。
今、目の前で病気で苦しんでいる人に、時には既に行われている治療を捨てさせてでも患者に参加して頂かないと進まないのが、この治験業界の特殊性だ。
一度は消えた症状、苦しみ、痛み、不便、不快感、それらを復活させてもらう「ウォッシュアウト」という手法を、どう患者に納得してもらうのか。
「消費者」に苦しみや不便を強要させる「産業界」を僕はほかに知らない。
未来の患者のためにはなるかもしれないけれど、今の私の症状は(命は)どうなるの? という質問に、誰が、どう答えるのだろう?
あるいは答えを考えるのは誰だろう?
もちろん、それは「あなた」だ。
患者が了解しない限り進まない治験。
患者が体をはって、命をかけて、苦痛を覚悟で治験に参加してくださらない限り、治験は活性化しない。
「治験の活性化」策をいろんなところで検討されてはいるが、「本当に」治験が進まない理由を考えてほしいものだ。
患者の視点が消えていなかどうかを確認して欲しい。
僕はどういう理由があれば、抗うつ薬の治験に参加しただろう?
そんなことを自問し続けている。
僕の中でその答えが見つからない限り、僕の中では治験は活性化できない。
あなたなら、どんな理由があれば自分が治験に参加するだろうか?
「新薬開発において、日本が世界をリードするために」という理由は納得できるだろうか?
僕なら納得しないね。
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