2011年09月18日

製薬業界は強い?

「知識やシステムを使い、他の人と関係しながら全体を作り上げていくやり方」が「技術」の意味である。

だから、ひとりだけ技術を覚えても、それだけでは力を発揮することはできない。

日本の企業は1960年代のいわゆる高度成長経済成長期以降、小集団活動(QCサークル活動)や提案活動に代表される「みんな仲良く」を基本方針として進めてきた。

この根底にあるのは、集団に属する個人個人がきちんと考えた上で意見を持ち寄り、意思の疎通をはかりながら、個々人が孤立しているときよりも大きな力を発揮しようという考え方だ。

このような趣旨が理解されてそのとおりに実行されていたとすると、これは素晴らしいことだろう。

しかし、実際には、「みんなでやることに意味がある」という点ばかりが強調されて、「集団でやれば何でもできる」「何かやるには集団でなければならない」という間違った運用がまかり通ってきた。

その結果として見られたのは、自分が考えなくてもグループ内の(組織内の、プロジェクトチーム内の)誰かが考えるだろうという責任転嫁だ。

一方で、会社の中だで誰かが自発的に行動しようとすると、すぐにそれを妨害する風が強く吹くという企業文化を持った会社が多い。

だから、こうした風潮になるのはやむを得ないことだったのかもしれない。

いずれにしても、このような形でみんなが「誰かがやるだろう」と思うようになり、そおじつ誰も何も考えない部分で大きなトラブルが起こっている。

これが、些細なことに端を発する事故の背景だ。


一方で、今までの反動からか「これからは組織ではなく個人である」という傾向が強まり、成果主義の名のもとに、何でも個人という流れも一部で出始めた。

こうした事態になった根本的な原因はまさしく、「みんなでやることに意味がある」ということの本来の趣旨の理解不足にある。

もちろん、多くの人が集まり、その人たちが知恵や力を出すことで、あるひとつの目標を達成するのが企業(組織、チーム)活動の目的なので、集団で何かをするという発想を持つことは不可欠なのだ。

しかし、その活動は、まず一人ひとりが自分でものを考え、自分で行動する上で成り立っているからこそ大きな力になる。


つまり、集団でやることの基本は、「個の独立」なのだ。


ところが、日本の企業では「没個性」が「集団活動」の基本になっていることが多い。


技術の伝導は伝えられる相手が自発的に行動して獲得することが技術の伝承の基本である。

「個の独立」というのは、技術を正しく伝達することにとどまらず、企業活動を活性化させることにもつながる大前提なのだ。

そして、個が独立し自分でものを考え、自分で行動することで得た知識を「個人知」という。



しかし、それだけでは組織は強くなれない。

組織の中にいる人たちが個人知を有している状態は、個々の能力が高い人がいるのとイコールだ。

しかし、高い能力を持つ人たちを集めても、それだけでは駄目だ。

野球でもスター選手だけを集めているチームが強いとは限らない。



これは、個々の能力が高くてもそれぞれが孤立している状態では、大きな力にならないことを表している。

それよりも一人ひとりが多少小粒でもまとまりがあったり、「戦術」への理解が徹底されているチームの方が、組織としての強さが発揮されることはしばしばある。

ここで「戦術」と言っているのはまさしく次に考える「共有知」そのものだ。

そして一人ひとりが理解している共有知の幅や深さが、組織としての力を決めると考える。

つまり、組織を強くするには、個人知を充実にさせることもさせることながら、共有知をいかに幅広く深いものにするかが重要になる。


製薬業界という「組織」は果たして、強い組織と言えるだろうか?

個人知は高いとは思うのだが。




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posted by ホーライ at 03:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 組織・チームについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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