今までは「治験薬との因果関係が否定できないもの」が副作用の定義だったが、これからは「因果関係が肯定されるもの」が副作用ということになる。
ちょっとした定義の違いのように見えるが、この差は大きい。
多分、治験中の副作用が10分の1ぐらいになるのではないだろうか。
何故、このように定義を変えたのかというと、今までの「因果関係が否定できないもの」を副作用としていると、本当の、真の副作用以外もたくさん収集され、本当の、真の副作用を評価しようとすると「ノイズ」が多すぎて、適切に評価できない、という理由からだ。
当たり前と言えば当たり前のことなのだが。
ここで考えて頂きたいことは、治験の世界にはまだまだ「これでいいの?」というものがたくさん有り、それがある日、急に「真逆」の解釈になる、ということだ。
たとえば、僕が監査をやっていた、今から10年位前、それまで医療機関への治験の依頼日は「治験依頼書」を提出した日だと業界の全員が解釈していたが、ある日、規制当局から「治験の依頼日は契約日です」というお達しが出た。
「へ?あら?」って感じだった。
僕たちのいる治験の世界は「固まった世界」ではなく、「暫定的な世界」なのだ、ということを覚えておこう。
「絶対」ということは無いのだ。
有害事象に対するコメントでも、「治験薬との因果関係が否定できる」時に、医師から必ず書いてもらわないといけない、というものでもない。
逆に「因果関係が肯定される」場合にだけ、コメントを書いてもらう、という考えだってありうるわけだ。
だから、フットワーク軽く、柔軟な姿勢で治験に望もう。
ところで、最近、「ファースト・イン・ヒューマンの治験」(世界初のフェーズ1)を行う大学が出てきた。
これは厚生労働省のバックアップで始まったものだ。
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2011年6月17日、厚生労働省は早期・探索的臨床試験拠点整備事業の実施要綱を公表し、ファーストインヒューマンの早期・探索的臨床試験を、企業治験や医師主導治験として実施する医療機関の公募を開始する。
世界に先駆けて臨床試験を実施し、日本発の革新的な医薬品・医療機器を創出することを目指した臨床試験拠点の整備事業で、ライフイノベーションプロジェクトの目玉施策の1つ。
採択されると、整備費として年間5億円程度を5年間、研究費として年1億5000万円程度(医師主導治験として行う場合)を3年から5年継続で補助される。
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たとえば、こちら(慶應義塾大学医学部クリニカルリサーチセンター」
↓
http://www.ccr.med.keio.ac.jp/media/2011.html
あるいは、こちら。
↓
http://www.jmacct.med.or.jp/report/files/news_20110923.pdf
とてもいいことだ。
これまで日本では大学等のアカデミアで行われている基礎研究を臨床の現場に橋渡しするシステムが弱かった。
最近になってようやくトランスレーショナル リサーチを担う企業やベンチャー企業が出てきた。
大学の医学部の中で独自に新薬の開発を行うシステムがようやく出てきた。
アカデミアの方々にもどんどん意識が変わって欲しい。
基礎研究は基礎研究としても、臨床に応用できる研究に大きくシフトして欲しい。
これで新薬が世の中に出る確率が大きくなると同時に「治験」に対する意識も変わってくることだろう。
大学と企業との共同研究ももっと増えて欲しい。
僕の友人にも神経系の難病を長く患っている人もいるし、知り合いの中にも根治療法が無い病気の人がいる。
「アンメットメディカルニーズ」を充足する、そんな新薬が1日も早く出てきて欲しい。
製薬業界もそんな姿勢で立ち向かっている。
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