たとえば、日本の治験を考えた場合、「あるべき姿」は「新薬が世界のどこよりも早く承認される」とするならば、それに対応する現状は「ドラッグラグ」が存在するだ。
では、そのドラッグラグが何故、発生するか、というと、いろんな理由があるが、まず、世界の製薬会社が(ここには日本の製薬会社も入る)、日本の治験はスピードが遅いので、アメリカやヨーロッパで優先的に開発を進めようとする「意志」がある。
じゃ、何故、日本の治験のスピードが遅いかとういと、これまたいろんな理由があるが、患者さんが治験に参加してくれない、という状況がある。
それでは、何故、日本の患者さんが治験に参加してくださらないかというと、治験の意義をこれまで患者さん(一般国民)に知らせてこなかったという過去がある。
で、何故、治験の意義を広く知らせてこなかったかというと、製薬業界が、治験なんていうと、患者さんが怖がる、と思っていた時期があった、ということだ。
これは、旧GCP以前の話だけどね。
これまた、治験に限らず、昔は、診療内容をいちいち患者さんに知らせないという日本の医療環境があったわけだ。
そして、そこには「治療方針は我々、医師に任せておけばいい。素人の患者が口をはさむとややこしくなる」というパタナーリズムがあった。
ところが、これまた医療に限らず、日本では「自分で決める」ということが教育されずにきた。
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●パタナーリズムとは:パターナリズム(英: paternalism)とは、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益になるようにと、本人の意志に反して行動に介入・干渉することをいう。日本語では「父権主義」「温情主義」などと訳される。
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たとえば、簡単な話が、アメリカで朝食をレストランで食べようとすると、卵は目玉焼きにするか、ゆで卵にするか、とか、ゆで卵なら半熟がいいか、固ゆでがいいか、とか、色々と自分で決めないといけない。
一方で、日本の企業の社員食堂では、「定食」で、自分の意思が入る余地はない。
むしろ、「卵はどうしますか?」ときたら、「そんなこと面倒だから、任せる」となる。
小学校の頃から、「自分の意見」を持つことを訓練されるアメリカに比べ、「平等で横並び」が推奨され、「出る杭は打たれる」という日本では、自分なりに意見を持つ、ということがトレーニングされない。
僕の面白い体験として、こんなのがある。
僕は外資系と内資系の製薬会社の両方で働いた経験があるが、この2つの会社では同じ言葉が、全く逆に使われていた。
どういう事かと言うと、たとえば、「治験の被験者募集の広告を行う」という意見が社内から出たとしよう。
すると、「それはよそ(他社)はどうしている?」と外資系の会社で質問された場合に「まだどこもやっていません」と答えると「じゃ、やれ!」となる。
一方で、内資系の製薬会社で同じように「治験の被験者募集の広告を行う」という意見が社内から出たとしよう。
すると、「それはよそ(他社)はどうしている?」と外資系と同じ質問が出たので「まだどこもやっていません」と答えると「じゃ、様子を見よう。よそがやり始めたら、うちもやろう」となる。
外資系では「よそがやっていない」ことは、「今のうちに、うちがやって、よそを出し抜くのだ」となる。
内資系では「よそがやっていない」ことは「うちがやろうとしたら、お上にお伺いを立てないといけないし、まだ、業界の現状を分析しよう」と、いつまでたっても「分析中」なのだ。
お上(当局)にお伺いを立てないと、何もできない、というのもパタナーリズムの一種だ。
いやいや、それを言うなら、自分の人生を会社任せにするサラリーマンのあり方もパタナーリズムの一種だ。
・・・・・・・と、まぁ、日本の治験環境の「あるべき姿」と「現状」の、ひとつをとってみても根が深い。
あなたが、自分の意思で、自分の現状を、さらに将来を会社任せにしないで、自分で決める、という精神構造が、巡り巡って、日本の治験の問題を解決するのだ。
(まるで、「風が吹けば桶屋が儲かる」だけどね。)
ね、冒険してみない?
今は、人生の夏休みだよ。
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