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うれしいね。これからもベンチャー企業に力を貸してあげて欲しい。
ここからが本題。
我が家の一番下のこどもは娘で、小さい時から喘息とアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症に悩まされている。
そんな末娘だが、中学生の時は合唱団、高校ではブラスバンド部のトランペットを吹いて、大学ではオーケストラでホルンを吹いている。
鼻炎と喘息を持ちながらホルンを吹くというのは、普通なら大変だ。
だけど、彼女には強い味方がある。
吸収用のステロイド剤だ。(喘息用)
そんな吸入用ステロイド剤にグラクソ・スミスクラインの「アドエア」がある。
この医薬品ができるまでには、多くのドラマと歴史がある。
1816年、フランス人医師レーヌ・レネックが聴診器を発明し、医学の発展に大きな貢献をした。
この発明により、喘息の特徴であるゼイゼイ鳴る音を聴くことができるようになった。
20世紀に入ってから喘息は外部の様々な因子によって引き起こされることが分かった。
そして、喘息とは複数の原因を持つ肉体的な疾患だと結論づけた。
喘息治療の大きなブレイクスルーは、20世紀に変わる頃に起こる。
フィラデルフィアの医師、ソロモン・ソリス・コーエンが喘息発作の治療に副腎抽出物を使い効果を確かめた。
高峰譲吉が同じころ、ウシの副腎髄質からアドレナリンを精製単離した。(アドレナリンの名づけの親は高峰譲吉・・・タカジアズターゼの発見もやっているし、三共の初代社長(現在、第一三共)でもある。)
このアドレナリンはパーク・デービス社が「アドレナリン」の商品名で製造、販売を始めた。
これは20世紀最初のブロッグバスターである。
このアドレナリンが喘息の激しい発作に対し使われていた。(副作用も多かった。)
そもそも気道と閉塞を起こしている喘息発作は、文字通り息を求めてあえぐ状態である。
喘息の薬は、世紀(19から20への)の変わり目以来、ほろんど進歩がなかった。
しかし、1969年、グラクソがイギリスで「ベントリン(アルブテロール)」を発売する。
これは気管支拡張剤であるが、ブレークスルー医薬品とされた。
最初の選択的β2アゴニストであるために得た名誉である。(副作用がかなり減った。)
ベントリンは気管支の平滑筋を弛緩することにより気道を拡張する。
グラクソは他にも抗炎症薬の分野でも長い歴史があった。
1960年代にはコルチコステロイドの局所適用製剤を作った。
ベントリン発売の3年後、プロピオン酸ベクロメタゾンという抗炎症ステロイドの呼吸器疾患への局所投与を研究していた。
当時の研究所長はデビッド・ジャック卿であった。
独創的なジャックは、ステロイドが皮膚の炎症に居所投与で使えるなら、気道の炎症にも使えるかもしれないという、当時、まったく新しいアイデアにたどり着く。
プロピオン酸ベクロメタゾンを吸入剤として使い、効果を確かめた。
こうして、グラクソは、β2アゴニストの気管支拡張薬に加えて、最初の吸入コルチコステロイドに到達した。
その後、気管支に長時間留まるようにサルメテロールを合成した。
また、グラクソの研究・経営陣は1日2回という長時間作用型の薬を開発するというアイデアを追求していた。
長時間作用型βアゴニストのサルメテロールとステロイド剤で治療している患者を、1つの配合剤で治そうと戦略を固めた。
ここまでで重要なことは、優秀な(あるいは天才的な)研究者の弛まぬ努力とアイデアを持続させるといことだ。
●配合剤の挑戦
配合剤を作るということは、製薬学的なチャレンジでもある。
薬を混ぜるということは、いつも簡単というわけではない。
なぜなら、個々の成分は違った性質、異なる安定性のプロフィールを持っているからだ。
2つを1つにするとき、両薬の安定性を維持するのに、大きな課題を抱えている。
グラクソの研究者のタチ・ヤマダは言っている「釣り餌をいかに早く見限るか、人より早く判断できることにプライドを持っている人々がいるようです。
しかし、製薬業界では、彼らのようにすれば、新しい薬のパイプラインに何もなくなってしまうだろう。難しいのは、勝ち率が有利でないとき、いつまで魚釣りを続けているかを見極めることだ。」
いずれにしても、グラクソはそれにチャレンジし、そして成功した。
サルメテロールとフルカチゾンを同時に喘息患者に吸入させると、気道の周りの筋肉を弛緩させながら、フルカチゾンが同時に炎症を抑えた。
アドエア(両者の配合剤)は、2001年4月、アメリカで販売された。
我が家の末娘は喘息が悪化するとアドエアディスカスを利用している。
みるみるうちに咳が止まるのが分かる。
世界の喘息治療を根本的に変えてしまった薬だ。
多くの発想豊かな研究者と堅実なプランニング担当者と経営陣の忍耐を要求される長い時間を乗り越えて、患者の前に現れた福音。
さ、次はあなたです。
●アドエア
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http://glaxosmithkline.co.jp/healthcare/medicine/adoair/index.html
●ディスカス
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http://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2007_01/P1000410.html
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