2010年10月23日

■例えば、韓国、中国の治験データが無条件で使えたら?

現在、治験環境が急速に改善されつつある韓国や中国。
もし、これらの韓国や中国の治験データが無条件で、日本でも使えるようになったら、日本の治験環境はどうなるだろうか?

まず、患者の立場で考えるなら、どこの国のデータで新薬が承認されようが、構わない。
どこの国のデータを使ってもいいから、とにかく1日でも早く治療薬が欲しい、というのが患者の立場でないだろうか。
たとえば、僕や家族が「がん」になり、アメリカなどで使われている有効な抗がん剤が、日本でまだ承認されていなかったら、まず、間違いなく、どこの国の治験データだろうと構わないから、さっさと日本で使えるようにしろ!と叫びたくなり、厚生労働省や製薬会社へ圧力をかけるだろう。

ICH−GCPが日本に入ってきた時、日本の治験の空洞化が問題視された。(今でも、あまり改善されていにない。)
なぜ、日本の治験が空洞化すると問題なのか?

実は、当時から僕はこの「日本の治験の空洞化」の問題がよく分からなかった。
たとえば、日本の製薬会社が海外で治験を進めることが多くなり、海外での販売が先になる、というものがあった(ドラッグラグの問題)。
これは、確かに問題だが、もし、海外での治験データが完全に利用できるようになったら、こういう問題は消える。

「治験の空洞化」は「臨床試験の空洞化」に繋がり、日本の科学力低下にも繋がり、大学の基礎試験⇒臨床への応用、という流れが停滞する、というのも、当時出された「問題」のひとつだった。

でも、これまた、患者の立場なら、新薬が日本の大学や製薬企業での研究から生まれようが、アメリカやフランス、イギリス、ドイツ、スイス、ベルギー等で開発されたものだろうと、気にならない。

臨床薬理等の医師による日本での臨床試験の空洞化が問題というのは、大学や研究機関内の自分たちで何とかしろ、と言いたくなる。


もし、韓国や中国等のモンゴリアンの国、地方のデータを相互利用可能となったら、僕が今、勤めているCRO業界もオチオチしていられない。
日本での治験が少なくなるのだから、CROの受託数も必然的に減ってくる。

だから、現在、まさにそういうことを考慮して、中国や韓国に進出しているCROも多い。

こういったパラダイムシフトは、企業の思惑とは全く別のところから発生することもある。

「韓国や中国等のモンゴリアンの国、地方のデータを相互利用可能」なんて、あり得ない、という人もいるだろう。
でも、「ブリッジ試験」が登場した当時にも、「そんなことムリだ」と言っていた人も多かった(恩恵をこうむる外資系にいながら)。
日本と韓国、中国とは医療環境も生活環境も違うから、無理です、というのも全く説得力が無いように思う。
下戸の僕と「ザル」の日本人のAさんより、やっぱり下戸の中国人のBさんとのほうが、僕と薬の効き方、代謝のされ方は近い。
ベジタリアンの日本人と肉食系の日本人どうしより、ベジタリアンの日本人と同じくベジタリアンの韓国人のほうが、生活環境は近い。


そもそも、アングロサクソンだろうがゲルマンだろうが、モンゴリアンだろうが、アフリカンだろうが、ヒスパニックだろうが、なんでもありの人種の「るつぼ」のアメリカで治験が成り立っているのだ。
アメリカ在中の時に「がん」になり、アメリカの病院に行ったら、「日本人のデータがないから」といって治療できない、となるだろうか?
それは、ならない。


日本で「命」に関わることが、政治的な判断・権利・権限や一部の企業(しかも製薬企業)の思惑で、失われるようでは、何のための「医薬品業界」なのか、分からない。

大事なのは患者の判断・権利・権限なのだ。







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