先週(と言うか、今週のというか)、ホーライ製薬では「第11回臨床研究・治験活性化に関する検討会」(5カ年計画2012中間報告)を見てきた。
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http://horaiseiyaku.seesaa.net/category/2706497-1.html「大人の事情」か何か知らないが、治験に関連するツールで世の中にはいい物があっても、それが日の目を見ないこともある。
当局の「方針」を見ると「患者の視点」に立ってとか「患者の立場」になって、と言う言葉が目立つが、本当にそうやっているのだろうか?
「患者の視点で」と言われて久しいよね。
例えば「厚生労働省の治験ウェブサイト」があるけれど、患者に役立つ情報は皆無に近い。
「・患者への教育・情報提供については、臨床研究・治験活性化協議会において、各機関における取組事例について情報交換を行い、厚生労働省のウェブサイト等で公表する。」とありますが、どこにもそれらしきものが見当たりません。
(無いことも無いが、患者には分からない言葉で説明している。)
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http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/chiken/文部科学省が中学生や高校生に医薬品に関する内容を教えているのはいいことだ
医薬品や治験の「良い面」と「悪い面」をしっかりと教えて欲しい。(なんなら、僕が講義に行きます^^;)
また、僕が非常に注目したのが下記のアイデアだ。
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「一般利用者の視点に基づく臨床試験コンテンツ作成とポータルサイト構築に関する研究(有田班提出資料)」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000053154.pdf ↓
この研究班では実際に一般市民の方を使って、新しいポータルサイトを検証している。
「有田班」のポータルサイトは下記の「国立保健医療科学院の臨床研究(試験)ポータルサイト」に比べると、はるかに患者(一般市民)に対するハードルが下がっているように見える。
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「国立保健医療科学院の臨床研究(試験)ポータルサイト」
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http://rctportal.niph.go.jp/上記の「国立保健医療科学院の臨床研究(試験)ポータルサイト」は堅物でしょ? ね? いかにもお堅い役人が作った、という感じが全面的に出ています。
そもそも、どこが「検索用の窓」なのかが、ひと目で分からない(これは致命的だ)。
「有田班」では「ポータルサイトプロトタイプの構築」までやっている(21頁め以降)。
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http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000053154.pdf「有田班」の「臨床試験(治験)ポータルサイト」では「言葉の解説・知識を深められる情報」や「用語集や教育コンテンツの充実」まで揃っている。
ところが、奇妙なことが上記の資料の23頁目に記載されている。
プロトタイプを作ったら、それが正常に働くか、実際のデータを利用して確かめたい。(まぁ、それが普通の発想ですよね。)
ところが23頁めには「データを直接利用することができなかった」とあります。
あら?なんで? って感じです。
「国立保健医療科学院の臨床研究(試験)ポータルサイト」に入っているデータとか、「JAPIC」に入っているデータとか使えないのかな?
この点に就いて、厚生労働省のお方はデータを使わせてもらうようご尽力されたのでしょうか?
臨床試験や治験のデータベースを持っている他の機関もデータを利用させなかったのでしょうか?
なんだかな、bureaucratic(官僚的)だなぁ。
「治験活性化5か年計画2012」って、国をあげて、オールジャパンで推進していくものではなかったでしたっけ?(これは大袈裟すぎかな)
少なくとも厚生労働省(場合によっては文部科学省も)は、一致団結して治験の活性化に向かうと僕は思っていました。
でも、研究班どうしでうまく連動していない、というのはどういうことなんでしょうね?
おかしな力が働いているのでしょう?(「しがらみ」とか「縄張り争い」とか。)
また、同じく上記の「有田班」の資料の23頁にはこうあります。
「試作品の公開は許されなかった。本ポータルサイトプロトタイプは公開できなかったため。」
とありますが、ベータ版(β版)であることを明記して、実際のネットの中で、どれだけ利用できるかを検証したほうがプロトタイプの良さが分かりますよね?
普通、そう思いませんか?
公開しないなんて、もったいないな。(かわいいキャラも載せているのに。。。。)
「有田班」の資料の44頁に次のようにあります。
「一般国民・患者のため」にこのような取り組みを行っている国は日本以外にはほとんどなく、日本が世界をリードできる領域になりうる。」
なんですね。
世界に先駆けてやりましょう。せっかくだから。
次に「国民・患者への臨床研究・治験の普及啓発に関する研究(佐藤班提出資料)」です。
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http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000053191.pdfこちらでもなかなかいいことをおっしゃっています。(本当にやってくれるなら。)
でも、何故かしら、「患者の立場で」とか「一般市民の立場で」というのがなくて、あるのは「システムの運営・開発視点から」とかなんですよね。
上記の資料の4頁目以降に次の記載があります。
「臨床試験情報ポータルサイトの要改善点(まとめ)」
・科学院情報ポータルの広報、アクセス向上
・治験・医療情報へのワンストップポータル機能
(治験情報の詳細な収集・公開、ナショナルセンター・大学・医療機関等とのンテンツの相互利用情報連携)
・検索機能の向上、サイト構成・デザイン改善による利便性向上
(技術的検討、構成の単純化)
・ポータルサイト改善に向けた技術的・制度的課題の整理と解消
(解決可能なものには解決の提示、不可能なものには方向性を示唆)
・他機関の情報提供システム構築の支援と、作成コンテンツの参照
・改善に向けて(システムの運営・開発視点から)
・現システムの臨床研究登録情報を有効活用しつつ、登録情報の拡充、
・検索・表示機能の改良を図る。疾患・医薬品情報も同時に表示・提供。
臨床試験情報提供に向けた継続課題
治験情報コンテンツ作成の基盤的機能の向上
JPRN、国立高度医療研究センター、国立病院機構、PMDA、国立大学・研究機関等の治験情報・コンテンツ作成機能の向上
日本製薬工業協会、医師会、学会、患者会の情報発信機能の向上
国立保健医療科学院の情報ポータル運営能力の向上
JPRNメンバー機関のコーディネーション向上
治験登録制度/情報ポータル(運営)に関する法令整備、予算確保
ガイディング機関、情報ハブとしての国立保健医療科学院の機能強化
(医療機関/医療関係者向け広報,学会での広報・情報/意見交換)医療機関、患者会等を含む外部機関との連携
(医療の選択肢として)治験情報を提供するという意識改革、サービス基盤の整備。難治性疾患患者の治験への関心は高い。
こちらの「NIPH 情報提供ポータル」でもプロトタイプ作成の作成を考慮されているようです。(でも、プロトタイプの段階では公開されないんですよね?)
一般的な医療情報の提供
⇒ 一般的医療情報の検索、整理、表示システム
• 臨床研究・治験に関する情報の提供
⇒ 臨床研究・治験情報(項目)の不足を補う追加システムの検討
⇒ 技術的課題の整理、情報連携に向けた課題整理
⇒ 治験情報の多機関串刺し検索と結果の一括(総合)表示システム
• 科学院の臨床試験(治験)情報ポータルシステムの設計(仕様書策定)
⇒ 包括的な情報検索エンジンの開発 (アドオン型)
⇒ 辞書(シゾーラス)機能の改善
⇒ 複数機関の所有・公開情報の総合的検索・表示システム
⇒ 情報項目の見直し、インターフェイスの改善
上記のことが本当にできたら、こちらのポータブルサイトも充実しそうですね。
でも、プロトタイプはやっぱり公開されないんですよね?
どうやって利便性を調べるんだろう?
まぁ、いすれにしても来年の1月には新しい国立保健医療科学院(NIPH)の「臨床試験(治験)情報ポータルサイト」が完成するそうです。
従来からある、下記のサイトを改善するようです。
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http://rctportal.niph.go.jp/どのポータルサイトでも共通して言えるのは、データベースがしっかりとしていることです(当たり前と言えば、当たり前)。
「卵巣がんの治験」を調べようと思っても、抗がん剤を開発している製薬会社がデータベースに登録してくれないのならば、使えるものになりません。
この点をどうクリアしていくか、でしょうね。
現在、各製薬会社が治験を実施している病院の一覧(これがデータベースに成りえます)を提示しているのは総合機構に対してだけです。
なにしろ薬事法で「治験届」を出せ、と言っているわけですから。
でも、JAPIC(日本医薬情報センター)に治験の情報を登録しろって、薬事法等で規定していませんよね?
満足な治験ポータルサイトが1つとしてない日本の治験の活性化はどうなるのでしょう?
何を持って治験が活性化したと言えるのでしょう?
さて、蛇足ながら、「厚生労働省の治験ウェブサイト」には下記のことが記載されています。
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http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/chiken/ ↓
「治験等情報」
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http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/chiken/04.htmlでもって、下記にはっきりとこう書かれています。「一般の方に向けて広告することを目的としたものではありません」
もちろん、「広告」はいけません。
でも、「一般の方に向けての情報公開です」という言葉もありません。
それにしても、下記の内容を読むと、いろんなところに治験・臨床試験情報が散在していることがよく分かります。
一般市民の患者さんや難病患者が泣くのがよく分かります。
絶対に、誰かが、旗振りをして、これらのサイトを統一(あるいはゼロから構築)しないとあなたやあなたの奥さん(旦那さん)、お子さん、パートナーが病気になった時に困りますよ。
でもこれだけ複雑になった(それもサイトの運営母体がバラバラ)ものを統一化するのはまず、ほぼ無理(ゼロからの構築のほうが速い)でしょうね。
何故なら、強力なリーダーシップを発揮するプロジェクトリーダーと優秀なプロジェクトマネジャーが必要だからです。
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我が国で実施されている医薬品及び医療機器に係る治験を含む臨床研究の情報や、開発中の新薬情報について、以下のサイトで公開しています。
なお、各サイトは、研究情報公開を目的としているものであり、特定の医薬品や治療法等について、医療関係者や一般の方に向けて広告することを目的としたものではありません。
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<国内での治験・臨床研究の情報>
UMIN、JAPIC及びJMACCTから構成されるJapan Primary Registries Network(JPRN)が、平成20年10月16日にWHOのPrimary Registryとして認められました。
なお、JPRNの運営にあたっては、国立保健医療科学院も参画しています。
○公表資料 世界保健機関による日本の治験・臨床研究登録機関の認定について(Japan Primary Registries Networkの認定について)」
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http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/10/tp1017-1.html○関連URL WHOのホームページ
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http://www.who.int/ictrp/network/primary/en/臨床研究登録情報検索ポータルサイト
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http://rctportal.niph.go.jp/国立保健医療科学院では、平成17年度から厚生労働科学研究の一環として、一般の方々が必要とされている情報を「正確に」「分かりやすく」提供することを目指した検索システムを開発しました。ポータルサイトでは、以下の3つの登録機関の情報を単一の検索窓口で容易に検索できる機能に加え、結果を分かりやすく閲覧できます。
臨床研究登録情報検索ポータルサイト運営委員会
委員会の資料を掲載しています。
・「第1回 臨床研究登録情報検索ポータルサイト運営委員会」
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http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/09/txt/s0921-1.txt大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)
大学病院等で行われている臨床研究の情報が閲覧できます。
↓
http://www.umin.ac.jp/ctr/index-j.htm(財)日本医薬情報センター(JAPIC)
製薬企業が実施する治験を含む臨床研究の情報が閲覧できます。
↓
http://www.clinicaltrials.jp/user/cteSearch.jsp;jsessionid=37292F692659D725D5E7537D2A60BC82(社)日本医師会治験促進センター(JMACCT)
センターが採択した医師主導治験の情報が閲覧できます。
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https://dbcentre3.jmacct.med.or.jp/jmactr/--------------------------------------------------------------------------------
<諸外国における治験の情報>
国際製薬団体連合会(IFPMA)
↓
http://clinicaltrials-dev.ifpma.org/ ↓
残念ながら、サイトが表示されません。
世界各国で実施されている、医薬品の治験の情報が閲覧できます。
日本語で情報を検索できます。
(米国で有名な臨床試験・治験のデータベースは下記にあります。)
↓
http://clinicaltrials.gov/ct2/home--------------------------------------------------------------------------------
<開発中の新薬情報>
日本製薬工業協会(JPMA)
製薬企業別に現在開発中の新薬に関する情報を閲覧できます。
↓
http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/development/index.html国立がんセンターがん対策情報センターがん情報サービス
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http://ganjoho.jp/public/index.html国内未承認薬(がん関連)に関する情報を閲覧できます。
同サイトではがんの臨床研究の情報も閲覧できます。
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そろそろ、誰かが整理したほうがいいよね。
国は優秀なハッカーを採用すべきじゃないだろうか?