2013年10月26日

日本NIHに本当に必要なものとは?

今週の「ホーライ製薬」は「日本版NIH」を見ています。
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本家のアメリカのNIHの凄い所は「戦略が高度に練られている」というとこ。


よく企業に必要なのは「人」「もの」「かね」と言われていますが、最近は、これに「情報」が含まれますね。

そして、本当は絶対的に必要なのは「戦略」という「知恵」です。

どのような戦略のもと、どのようにして一国の健康関連の予算を分配していくのか。

アメリカではNIHが一手にこれを引き受けています。

言ってみれば「独占企業」ですね。

あまりに権力がその組織に集中しすぎると、その組織が立てた「戦略」の失敗が国レベルに直結します。

ひとつの組織に予算と権限を集中させるのは、うまくいけば縦割り行政の弊害を無くしてくれますが、こういう危険な面ももちあわせてきます。

それも、これも、「戦略」に左右されます。

先見の明とビジョンとリーダーシップと直観力と優秀な参謀。

チームワークと変化を読む力、多様性。

そんなものが、日本版NIHにも要求されると思います。


アメリカのNIHの仕組みをそのまま日本にもってきても成功するとは限りません。

日本の特性にあった組織と仕組みを作っていく必要があります。


あなたがNIHの所長なら、この先、10年の日本の健康・医療戦略をどう組み立てますか?

特に創薬分野に関して。

選択と集中?

人材育成?

いかがです?

結構、悩みますよね。

秋の夜長にひとつ、日本の創薬戦略を練ってみてください。

いい戦略ができたら、総理に提案してみませんか?
  ↓
ご意見募集(首相官邸に対するご意見・ご要望)
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https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html


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2013年10月19日

私たちが望むものは?

信頼を得るには10年かかるが、信頼を失うのは一瞬でことたりる。

上司が部下から信頼を得るのに何年必要だろうか?

こんな言葉がビジネスの世界にある。

「部下を知るには3年かかるが、上司を知るには3日あればよい。」


上司と部下の間柄だけではなく、人と人の関係で言っても、あなたの不用意な言葉が信頼を壊してしまうかもしれない。

一度失った信頼関係を再び構築するのは、それまでの10倍の期間と困難が伴う。


新薬はシーズの段階からおよそ10年かけて世の中に出る。

この間に「信頼」を構築するわけだ。

医師との「信頼」、患者との「信頼」。

さらに、新薬は世の中に出てからも再審査が終わるまでに、信頼を積み重ねる作業が伴う。

しかし、医師との「信頼」も、患者との「信頼」も、一瞬で崩壊することがあることを、僕たちは知った。


業界をあげて、「信頼」の回復に努めたとしても、再び、「信頼」を得るのに何年かかるだろう?

たとえ、何年かかろうと、その努力を放棄しては、二度と、この業界は「信頼」を得ることはないだろう。


人間関係でも一緒だよね。


ところで、11月は「製薬協コード・オブ・プラクティス理解促進月間」らしいですよ。
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http://www.jpma.or.jp/event_media/release/news2013/131017.html


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2013年10月11日

いい汗を流そう!

新しい薬を創るのに、いったい、どれだけのお金がかかるのだろう?

いったい、どれだけの年月が必要なのだろうか?

・・・・・・という質問の答えは、このブログを読んでいる人には自明なことだようね。

シーズから探索して、厳しい非臨床試験を通過して、治験薬となる。

モニターやCRCは治験薬が「医薬品」になる最後のステップを担っている。

もし、自分がシーズを探した基礎研究者だったら、どう思って、モニターやCRCをやるだろう。

きっと、「絶対に薬にしてやるぞ!」という気概と情熱を持ってやることだろう。


もちろん、今のモニターやCRCに気概と情熱が無いとは言っていない。

シーズから関わってきた人に比べて、の話だ。


でもさ、なんか、心の隅で、諦めていることない?

こんな治験薬、きっと承認されないよ、とか、万が一にも思ったことがありません?


まぁ、やむを得ない、という面も否めない。

プロトコルを渡されて、「はい、この治験薬の開発をやって」と言われるのと、「これは、自分が5年もかかって山の奥のカビから見つけたものだ。絶対に市場に出すぞ」と思っている人では温度差がある。


そんなシーズから関わってきた人と同じ気概、情熱を持てとは言わないし、それは不可能だと思う。

でも、せっかく、その治験薬と出会ったのは「運命」なのだから、「絶対に治験を成功させるぞ」というぐらいは思ったほうがいいよね。

特にCROにいると、自社で開発してきた治験薬ではないので、製薬会社のモニターと比較するとちょっと熱量が少ない。(本当は、それではいけない。)

「仕事」はやることに意義がある。

やるからには、全力でやったほうが、爽快だ。

せっかく運命のいたずらで、その治験薬を担当することになったのだからら、その治験薬がどうやって発掘されたかを調べるといい。(治験薬概要書にも概略が書かれているけれど、当の本人から聞くほうが100万倍もいい。)

きっと基礎研究の人たちの汗がにじみ出ているはずだ。


僕たちも「いい汗」を流そうよ。



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2013年10月04日

業界の体質,会社の風​土,SOP,そして裏​マニュアル

まず、最初にクイズです。

「あなたが知っているあなた自身」と「世間が知っているあなた」のどちらが「真実」でしょう?


たとえば、あなたは自分では「僕は人前で話すのが苦手だ」と思っていたとします。

でも、世間の誰がどう見ても、「あの人は人前で話すのが大好きだよね」と思っていたとします。

この場合、「人前で話すのが大好きな人」があなたの「世間における真実」です。

あなたが、自分でどう思っていようと関係なく、大事なことは、「周囲」があなたのことをどう思っているか、です。

特に民間企業で働いていると、上司の評価(あなた自身の自分に対する評価ではなく)が、給料を決定します。



ほかにも、たとえば、あなたは「親切」のつもりでやっていることでも、周囲の全てが「余計なお世話だ」と思っていたら、それは「余計なお世話」です。



さて、ここからが今週のテーマです。

業界には業界特有の体質があるように思えます。

それも、自分が所属している業界ではなく、「よその業界」を見る時に、特にそれを感じます。

たとえば、「TV業界」「電力会社業界」「JR業界」「すもう業界」「航空業界」「IT業界」「自動車業界」「建設業界」「官僚という業界」「政界という業界」・・・・・・など等。

どうですか?



上記の「業界」のいくつかに対して、あなたもその業界の「体質」について感じるものがありませんでしたか?

そこで、「治験業界」です。

あるいは「製薬業界」です。

この業界に対して、世間はどのような「体質」を感じて(考えて)いるのでしょうか?

私たちが感じている(信じ込んでいる)治験業界のことではなく、「周囲」が、「世間一般の人たち」が感じている治験業界の体質が治験業界の「真実」です。


私たち「治験業界」の人が「常識」と思っていることでも、世間一般から見たら「非常識」と思われることもあるかもしれません。

そうなれば、それは社会的には「非常識」です。

私たちが自分たち自身をどう感じているか、どう考えているか、ではなく、大事なことは「世間」から見たら、どう映っているか、です。




次に「会社の風土」について考えてみましょう。

私は下記のルートで今に至っています。

OTCの零細製薬会社で製造の品質管理(GMP)⇒外資系製薬会社で組み替えたんぱく質の製造の工程内品質管理(GMP)⇒調剤薬局の薬剤師⇒外資系製薬会社で治験のモニター、監査、SOP作成、教育(GCP)⇒ 内資系製薬会社で教育(GCP)⇒ 内資系CROで教育担当(GCP)

これまでの、どの会社、組織にも独特の風土がありました。

この風土というのは、とても強力で、場合によってはSOPよりも従業員に対して拘束力があります。

その会社、組織が長い年月を経て培ってきたもの、それが風土です。

公式のもの非公式のもの、明文化されたもの不文律のもの。

暗黙のルール・・・・・・・など等。

先輩から後輩に代々、伝えられているものです。(口頭であれ、あるいは態度であれ。意識的であれ、無意識的であれ。)

社長から部長へ、部長から課長へ、課長から係長へ、係長から班長へ、班長から班員へ。



GCPやGMP、GLP等のいわゆるGXPではSOPの作成を求めています。

ですから、SOPは作るのですが、現場では「それ(SOP)はそれ(SOP)。これ(現場)はこれ(現場)っていうことで」とか「SOPは建前論。現場は本音で動く」とか。

「SOPどおりにやっていたら時間と手間がとられて非効率的だから」とか。

「SOPでは、そうだけど、上からは違う指示が出ているから」とか。

「昔から、こういうやり方でやっているから」とか。

「先輩からは、こう教えられたから」とか。

そういう雰囲気でも許してしまうのが「風土」です。

(もちろん、風土にも「良い風土」と「悪しき風土」があります。)


「悪しき慣習」というのもありますね。

「現場主義」というと、普通はいい意味で使われますが、これが悪い意味で使われることもあります。

「現場優先」もそうです。

そうこうするうちに「裏マニュアル」なんてものができたりすることもあります。

「SOPができたって、現場は昔から、こうやっていたんだからさ」とか「現場を知らない上の人が作ったものなんかでは現場は動けない」などという理由「で裏マニュアル」ができるわけですね。



こういう「業界の体質」とか「会社の風土」は、なかなか変えることができません。

ソートー、難しいです。


GCPであれ、GMPであれ、GLPであれ、違反をする会社は違反を繰り返す傾向にあります。

人間でも一緒ですよね。

犯罪の再犯率を見れば分かります。
  ↓
「一般刑法犯の再犯率過去最悪 11年43.8%、犯罪白書」
  ↓
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1601D_W2A111C1CR0000/

犯罪を犯した人の約半数の人が再犯を犯しています。



では、もし、組織の体質や風土を変えたい場合、どうしたらよいのでしょうか?

一番、手っ取り早いのはそこにいる人間を全て取り替えることです。

それも「新旧交代」ではなく、「社外から、まっさらな人」を連れてきて、「総とっかえ」です。

でも、普通、こういうことはできません。

できたとしても、せいぜいが、「経営陣の刷新」とか「上層部の新旧交代」とか「外部委員の増強」というところ。


人間を「物理的」に入れ替えられないとしたら、残る手は「教育」です。

人間を「精神的」に入れ替えるのです。


「教育」でどの程度、人間の考え方を変えられるか、教育が専門の僕ですら、はなはだ不安なところでありますが、でも、教育に頼るしか残る道はありません。

「新しいルール」を作っても、それは裏マニュアルのある時代から「ルール」はあったのですから、「不正」が発覚したあとで新しいルールを作りさえすればそれでよい、というわけにはいきません。

それだけだったら、「“新”裏マニュアル」ができるのが関の山です。



もちろん、「新しいルール」や「新しいシステム」等が必要になることもあるでしょう。

そしたら、その「新しいルール」を本気で「教える」ことです。

それも、まずは、上層部から始めます。

まずは上の人が本気度を示さないと下の人は変わりません。

「口だけ」から、「態度も」へと変える必要があります。

「本音」と「建前」を一致させる教育が必要です。

そして、これは一朝一夕ではできるものではありません。

そう覚悟したほうがいいと思います。

一番、怖いのは「どうせ、何をやっても変わりっこない」という従業員、一人一人の意識です。

その意識を変えるのですから、これはもう、ほとんど、「洗脳」と呼んでもいいぐらいのことが必要になるかもしれない。




「教育」とひとことで言っても、その教育方法はさまざま。

・講義形式なのか討論形式なのか。

・短時間で行うか2泊3日で行うか。

・社内で実施するのか、社外で実施するのか。

・単発でやるのか、シリーズものにするのか。

・そして、いつまで教育を続けるのか(僕の答えは「永遠に」です。)



業界の体質や会社の風土というのは、結局のところ、そこに所属している個人の意識の総体です。

だから、業界の体質や風土を変えたいのであれば、最終的には個人の意識改革が必要になってきます。

ネットで「従業員の意識改革方法」とか「組織風土の改善」等というキーワードで検索してみると、わんさかとヒットします。

それだけ、どこも苦労している、ということです。



まずは「自分は本気で変わるんだ」という気持ちを一人ひとりが持つことから、それは始まります。

そういう気持ちを全員に持たせる必要があります。


今、私たち、一人ひとりに、それが要求されているのかもしれない。

あなたがどこの会社、どこの病院、どこの組織に所属していようが、あなたが「治験」と「臨床試験」「臨床研究」の業界に所属しているのであれば。

産・官・学、関係無く。






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posted by ホーライ at 19:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 製薬業界の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする